特色ある教育に取り組み、注目を集めている学校を紹介するこの企画。今回ご紹介するのは、山口県山口市にある私立の共学中高一貫校「野田学園中学・高等学校」です。
野田学園中学・高等学校には、医師や次代のリーダーをめざす「医進コース」と、自分の興味・関心を探り深めることを軸に進路実現をめざす「探究コース」があり、それぞれに特色ある教育を行っています。
そんな野田学園中学・高等学校の、カリキュラム内容や学校生活の雰囲気について、栗林正和校長、医進・探究コース主幹 髙田裕治先生、広報課の2名(天川勇二先生、福間健志係長)と、探究コースに在籍する生徒の石國聡也さんにお話を伺いました。
この記事の目次
生徒の“人間的な成長”を見守る野田学園中学・高等学校
▲取材にご対応くださった、栗林校長先生
まず最初に、野田学園中学・高等学校の理念や教育方針について教えていただけますか?
校訓は「誠実」「感謝」「勤労」。教育方針は「生徒一人ひとりの個性を尊重し、高い知性と豊かな人間性をはぐくみ、社会の発展に貢献できる次世代のリーダーを育成する」と掲げています。生徒たちの将来につながる“人間的な成長”を見守り、明るく自由な校風のもと、あらゆることに果敢に挑戦する態度を養う学校であり続けたいと考えています。
生徒たちには行動目標として「予習・復習を欠かさず、確かな学力を身につけよう」「知的好奇心と探究心を持ち、高い知性を身につけよう」「強い心と優しい心を持ち、豊かな人間性を身につけよう」などを示しています。
今年度は新たにプラスワン目標として「師を求めよ!書を求めよ!友を求めよ!」をこれらに加えました。人間的に一回りも二回りも大きく成長してほしいという思いを込め、具体的に100人の先達から教えを請い、100冊の良書から多くを学び、100人の友人とふれ合おうと呼びかけています。
系統的カリキュラムで、6年間をとおして着実に成長
ここでは、野田学園中学・高等学校のコースとカリキュラムの内容、それぞれのコースで生徒がどのように学びを深めていくのかについて紹介します。
少人数制でハイレベルな授業が特徴の「医進コース」
▲医療体験研修では、医療現場の実情や課題を知ることもできる
医進コースのカリキュラムはどのようなものでしょうか。
医進コースでは、医師や将来のリーダーをめざす人材を育てるため、少人数制でハイレベルな授業を行っています。特に英数国3教科は、個別指導等によって重点的に強化しています。
5年次からは東大・京大と国公立医歯薬に対応した授業を展開することで、個々の希望進路に寄り添った、より細やかな指導を行います。
具体的には、医療体験研修や医療系講座など、大学医学部や医療の現場と連携した学びを実施しています。また「国境なき医師団」の外科医師や、大学医学部の教授を講師として招いた講演会なども行いました。
とても貴重な機会ですね。実際に現場にいらっしゃる方のお話を聞くことは、未来の自分を具体的に思い描くことにもつながりそうです。
そうですね。また学力向上のためには、東大生・京大生・医学部生から学習法のアドバイスをもらったり、鉄緑会(東大専門塾)による受験学習指導を受けたりします。そのほか、予備校や通信教育が主催する特別講座、添削問題なども積極的に利用していますよ。
▲取材にご対応くださった、髙田先生
クリエイティブな探究活動を深める「探究コース」
▲探究活動では、一人黙々と行うことを好む生徒も、みんなで和気あいあいと取り組む生徒もいる
探究コースのカリキュラムについても教えてください。
探究コースでは、中高一貫の特色を活用し、1年生~5年生まで系統立てて探究学習を実施します。問題の発見、課題の設定、そして解決という過程をとおし、思考力・判断力・表現力を身につけるとともに、自らの適性を見極めていくことが目標です。
探究のテーマはどのようなものですか?
1年目は自分の興味・関心を見つける、2年目は地域に目を向けるといったふうに、成長段階を踏まえた大枠の設定があり、その中で各自でテーマを設定します。身近なところからはじまり、徐々に世界へ目を向けていくという流れです。
1年間の学習の集大成「探究学習発表会」では、一人ひとりがプレゼンテーションを行います。
テーマ決めは難しいのではないでしょうか。
問いの設定の仕方は重要だと思います。自分ごととして捉えられない問いでは探究のモチベーションも上がりませんし、検索してすぐに答えが出るような問いを立ててしまうと探究として深みが出ません。「わたしは、この問いを探究してみたい!」と思える問いになってほしいなと思いながら、生徒と対話して、アドバイスをしています。
そのため日頃から、生徒には定期的にマインドマップを書いてもらい、自分の好き・得意や、価値観を洗い出す時間をとっています。また、学年の異なる生徒が同じ部屋で相談しながらテーマを考えるなどの試みも行っています。
たくさんの問いを見つけ、「世の中楽しいことがいっぱいある!」ということに気づいてほしいなと思っています。
▲中学3年生の探究学習「チョコレートの街山口の認知度向上のために」。山口市商工会議所と連携し、チョコレート教室を実施
探究学習をとおして、どのような力が身につくのでしょうか。
自分の身近なものと向き合える力だと思います。生活の中で普段何気なく通り過ぎてしまうようなことにも疑問を持つことができるようになります。
調べても簡単には答えが出ない問いに踏み込んでいくことは、自分が何が好きか、どのように生きていくのかを考えるきっかけにもなります。
ベネッセコーポレーション主催「全国探究コンテスト2022」で、貴校の生徒さんがグランプリを受賞したとお聞きしました。タイトルが「忙しい朝の敵”寝癖”の撃退方法を伝授します!」と、とても身近なトピックであり、ユニークですね。
はい。やはり、身近なところから問いを設定できた点と、化学の視点を持って自分で実験をして結論を導き出した点が評価され、受賞に至ったと聞いています。
石國さん、現役の探究コース生として、ご自身の探究テーマや授業の様子を聞かせて頂けますか?
僕は、野田学園中学校と、近隣で交流のある野田学園幼稚園の関係をこれからより良くするために、どうすべきかということをテーマにしています。来年以降も、このテーマを掘り下げていく予定です。
▲取材にご対応くださった、天川先生(広報課および、中学校技術科、高校情報、探究 担当)
自ら考え、自ら動く。野田学園生のスクールライフ
ここからは、野田学園中学・高等学校ならではのイベントや取り組み、学校生活の雰囲気について紹介します。
「探究リーダー」を中心に、イベントを企画・実施
▲探究学習発表会の準備も、生徒たちが自ら行う
野田学園中学・高等学校独自の行事や取り組みを教えてください。
生徒たちが自分で考えて実施する機会が多いところが、本校の特徴です。
例えば、特に積極的に探究に取り組む「探究リーダー」という有志生徒たちがいて、探究学習のサポートや、各イベントの企画運営を行っています。2泊3日で実施する「探究リーダー研修会」では、自然を活用した遊びを作るなど探究心を養う取り組みをしています。
生徒さんが運営するイベントにはどのようなものがありますか?
一例として、生徒たちの企画運営によるオープンスクールがあります。体験講座や座談会、ARを活用したスタンプラリーなど、すべてが生徒の手作りです。“自分の力で来場者の方々をハッピーにする”を目標に頑張っています。
小学6年生に探究を体験してもらう「探究セミナー」もあります。こちらも探究リーダーを中心として、参加者の“幸せ”を考えながら企画運営します。
外部の方に向けた企画も生徒さんが行うのですね。とてもやりがいがありそうです。
▲小学6年生に向けた「探究セミナー」の様子。テーマは「身近なあの人に『究極の幸せ』をプレゼントしよう!」
“考えること”や“作ること”を楽しむ雰囲気
▲知識が増えることに喜びを感じるという石國さん。学習に取り組む様子は真剣そのものです。
学校生活について、生徒さん目線からもお聞きしたいです。日頃の学校生活の中で、楽しいことや大変なことはどんなことですか?
さっきのお話に出た「探究リーダー研修会」が近々あり、今はそれが楽しみです。でも、生徒同士はみんな仲が良くて、特別な行事の日でなくても日々楽しく過ごしています。
大変なことはやはり勉強ですね。中学3年生で高校の学習内容を学ぶなど、進度が速かったり内容が濃かったりという部分はあります。とはいえ、授業も堅苦しい雰囲気ではなく、知識が増えることにワクワクするような授業です。
なるほど。先生方でも、生徒さんが楽しめる授業になるよう工夫されているのでしょうか。
教員が仕掛けているというより、生徒たち自身が授業をサポートしたりイベントを運営したりと、自分で作ることや考えることを楽しんでくれているんだと思います。
探究をとおして、生徒たちや生徒たちが関わってきた人たちの笑顔をみることができて、とても嬉しいです。
野田学園中学・高等学校からご家族・お子様へのメッセージ
▲取材にご対応くださった、福間係長(広報課)
それでは最後に、野田学園中学・高等学校からメッセージを頂けますか?
本校に通うのは、私たちにとってみんな自慢の生徒たちです。その生徒たちが個々としてだけでなく、お互いに関わり合うことで一層の成長をしていく姿が、何より楽しみです。
これから入学を希望される方にも、ぜひ、多くの友人と出会い関わり、共に成長していくんだという気持ちを持っていただきたいと思います。
ありがとうございます。石國さんも、先輩としてぜひお願いします。野田学園に入学して良かったなと思うことや、この学校に入ったからこそ成長できたと思う部分はありますか?
いろいろな地区から入学してくる人がいるので、公立の中学校に進学していたら出会えなかった同級生や先輩後輩にたくさん出会えたことが、良かったことの1つです。
それから、探究活動で知識を増やせたり、自分たちで企画・運営をしたりする機会をとおして、意見が違う人との認め合い・譲り合いを学べると思います。
授業の進度は早いのですが、先生たちは親身になって分かりやすく教えてくださるので、入学を希望する方には、あまり心配しなくて大丈夫ですと伝えたいですね。
皆さま、本日は貴重なお話を、本当にありがとうございました!
野田学園中学・高等学校の進学実績
野田学園中学・高等学校では、生徒一人ひとりが目標にたどり着けるよう、個性を伸ばし、人間力を育み、可能性を広げる教育を行っています。
また、自主的・主体的に取り組める学習環境を完備するとともに、進学に関する情報収集や進路担当教員への相談ができる進路指導室も設置。
そうした指導・環境両面での取り組みの結果は、高い大学入試実績となって表れています。
2023年度の実績としては、九州大学や広島大学といった難関大学をはじめとする国公立大学、また難関私立大学へも多数進学しています。
参考:2023年度進路状況(野田学園中学・高等学校公式サイト)
野田学園中学・高等学校に通う生徒の保護者の声
生徒一人ひとりの個性を大切に、成長をしっかりとバックアップしてくれる学校という声が多く見られました。
また、設備・環境面の充実度も高く評価されています。野田学園中学・高等学校は、環境共生型の施設(エコスクール)で、省エネルギーで快適な空間。学園建築そのものが、環境共生を学ぶ教材にもなっています。
お問い合わせ
問い合わせ先 | 野田学園中学・高等学校 |
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住所 | 山口県山口市野田56 |
電話番号 | 083-922-5000 |
公式サイト | https://www.nodagakuen.ed. jp/ |