特色ある教育に取り組む「注目の学校」を紹介する本企画。この記事では、1891年に創立された中高一貫の男子校「海城中学高等学校」を紹介します。
東京都新宿区にある海城中学高等学校は毎年、東京大学への合格者を30〜40人ほど輩出するなど、高い進学実績を誇る伝統校です。男子校の「新御三家」の一角として数えられています。
「国家・社会に有為な人材の育成」を建学の精神とする同校の生徒は、中学から取り組む社会科論文執筆や、設備の整った「サイエンスセンター」での実験授業を通して、課題を解決する力、多角的・批判的に考える力などを培います。また、演劇などの体験型学習プログラムを通してコミュニケーション能力や他者と協働する力も養います。
今回は、そんな海城中学高等学校の校長特別補佐兼入試・広報室長の中田大成先生に、学校の教育理念やカリキュラムについてお聞きしました!
自由な精神と公正さを重んじ、社会に寄与する人間を育む海城中学高等学校
▲インタビューに応える海城中学高等学校の入試・広報室長の中田先生
まずは、海城中学高等学校の教育において大事にしている価値を教えていただけますか?
「国家・社会に有為な人材の育成」という建学の精神と「リベラルでフェアな精神を持った『新しい紳士』の育成」という教育目標、この2つが本校の教育の拠り所となっています。
「国家・社会に有為な人材の育成」とは、創立者の古賀喜三郎が1891年の創立の日にスピーチで語った言葉です。つまり、「社会で活躍できる人材を育てよう」ということです。
「リベラルでフェアな精神を持った『新しい紳士』の育成」は戦前、海軍を背景としていた本校がともすると国家のために命を捧げることをよしとするような教育を行っていたことを反省し、戦後にリベラリズムの立場を取ったことから生まれた教育目標です。「生徒一人ひとりにとっての善きこと・幸せ」は、生徒一人ひとりの自由意思によって選択・実行・実現されるべきだという自由主義の理念に根差しています。
ただし、それはなんでもありの自由主義ではありません。互いの自由を尊重し、承認し合う「フェアネス(公正さ)」を前提とする自由主義です。
自主性と協働性を持って日本社会を支える人材の育成を目指しているのですね。
コミュニケーション力や他者と協働する力を身に付ける体験学習
これからの社会で活躍できる人材には、どのような能力が求められているのでしょうか?また、その能力をどのように育成するのでしょうか?
現代社会は社会システムが複雑化し、内部矛盾的に様々な問題が生じています。先ずはそうした問題を解決するための「課題設定・解決能力」―我々はそれを「新しい学力」と呼んでいます―が必要とされます。
次に、グローバル化が進み、価値観が多様化した現代社会においては、互いの違いを乗り越えて「共生」するための「コミュニケーション能力」や、違う者同士互いの良いところを引き出し合って「共創する」「コラボレーションの能力」が必要になります。我々はこうした能力のことを「新しい人間力」と呼んでいます。
1つずつ伺いたいのですが、「新しい人間力」はどのようにして育成するのですか?
「このような時には、こうしなさい」と言った徳目主義的な座学では、「新しい人間力」は育成出来ません。そうした知識をいくら頭に詰め込んだところで、いざという時に体は動かないからです。そこで本校では「身を以て知る」二つの体験学習プログラムを用いて「新しい人間力」の育成を行っています。
1つめは「プロジェクトアドベンチャー(略してPA)」というアメリカ発祥の体験学習プログラムです。学外に設えられたPA専用の施設(エレメント)を用いて、グループで課題に取り組むことによって「コミュニケーション能力」や「コラボレーションの能力」を養います。
例えば、丸太の上に1グループ10数名の生徒をランダムに乗せます。そして、「全員丸太から降りずに端から生年月日順に並び直しなさい」という課題を与えます。ただし、並び直す際、一切言葉は使ってはいけないという条件を加えます。
すると、生徒たちは先ずは身振り手振りで自分の生年月日を周囲の者に伝えます。そして、入れ替えが必要だと判ったら、色々と工夫して入れ替えを試みます。ですが、なにぶんつるつる滑る丸太の上なので、時に足を滑らせて丸太から落ちてしまう生徒も出ます。そうなったら、全員元の位置に戻って最初からやり直しです。
時間内に見事に並び直すことが出来るグループもあれば、そうでないグループもあります。結果はともあれ、PAでは1つのアクティビティに取り組んだら、その後必ず全員で振り返りをします。そこで得た「気付き」を類似した場面でも応用できる汎用性のある知恵にまで昇華して日常の生活に持ち帰るのです。
▲丸太を使用したプロジェクトアドベンチャーで生徒は多くのことを学ぶ
この丸太を用いた活動で、生徒たちは、「人と人は言葉を介さなくても、工夫すれば何とか自分の意思を相手に伝えることが出来る」ということに気付きます。と同時に「言葉を用いることが出来れば容易く人に思いを伝えることが出来る」のだということを改めて実感するのです。
このことから更に広げて、実質世界の公用語となっている英語が話せれば、海外の人とも容易にコミュニケーションが取れるはずだと考えるようになります。また、背の低い子が屈み、高い子がそれをまたいで立ち位置を入れ替えるなど、一人ひとりの特性を考慮して行動することで、他者との協働の仕方も学ぶのです。
コミュニケーションや特性を活かして協働することの大切さを、身をもって体感できる機会はあまりないので、この体験はとても貴重だと感じました。
もう1つの体験学習は、「ドラマエデュケーション」という文字通り演劇の手法を用いたプログラムです。
▲「新しい人間力」を身に付けるドラマエデュケーション
「世田谷パブリックシアター」等でファシリテーターを務める方や、平田オリザ門下の劇作家の方など、そうそうたる方々が劇団員を連れてきて授業をしてくださいます。中には「演劇界の芥川賞」と呼ばれる「岸田國士戯曲賞」を受賞した方もいらっしゃって、中学生にとってはものすごくぜいたくな体験です。
生徒はこういった方々から指導を受けながら、自分たちで作品(芝居)を作り上げていきます。様々な登場人物や、ナレーターといった役割を生徒同士が話し合って決め、観客に自分たちの思いをいかに届けるかといったことも考慮しながら、台本や演技に工夫を凝らしていきます。
こういった作業を通して、生徒たちは互いのイメージの擦り合わせ方や即興的な創作の方法、的確で説得的な表現のあり方などを学び、「新しい人間力」を身に付けていくのです。
さきほどの「プロジェクトアドベンチャー」とはまったく違うアプローチなので、さらに気づきや理解が深まりそうです。
課題を設定・解決する力を培うため中学で論文執筆に取り組む
「新しい人間力」とともに、社会で活躍するために必要だという「新しい学力」とは、どのような力を指すのでしょうか。
課題を設定する力とそれを解決する力だと捉えています。学習指導要領に示されている資質・能力の3つの柱に照らしていうならば、基礎的認知能力である「知識・技能」の次に位置する「思考力・判断力・表現力」といった高次の認知能力に該当します。
高次の認知能力は、どのように養うのですか?
代表的な取り組みが、中学の「社会科総合学習」です。中学1・2年の社会科の授業では毎学期、特定のテーマについて自分で調べ、自分で考えて、その内容をレポートにまとめる学習を続けます。そして、中学3年になると、自分で設定した社会的課題について、1、2学期をかけて調査・考察して卒業論文を書き上げます。
本校のこの取り組みの特徴は、中1の途中から、生徒に取材を行わせる点にあります。テーマに関わる企業や役所、病院・大学等に自分でアポを取り、リアルな話を聞いてくる。そこで得た情報に文献やネットの情報を組み合わせてソリューションを導き出す。そうやってありきたりの情報だけによって考察するのとは異なる、独自の結論を導き出すのです。
▲生徒の論文を集めた海城中学校の「社会科卒業論文集」
この「社会科総合学習」では段階に応じてかなりきめ細やかな指導が行われます。中1ではまず文献を1冊読むことから始め、そこからどう情報を抜き出しまとめるのか、さらにウェブサイトから情報をどう探すのか、インタビューをどう行うのかを学びます。レポートの執筆にあたっては、パラグラフや段落をどう組み立てていくのかなどの論文リテラシーについて、順を追ってかなり細かく指導を受けます。
そうした学びの成果である卒業論文は、タイトル、サブタイトル、序論、本論、結論からなり、本論は第1章第1節、第2節~と章・節仕立てで構成されます。また、巻末には剽窃・盗作が起こらないように引用注を必ずつけ、参考文献や取材先、参考にしたサイトも記します。分量は最低で原稿用紙30枚、多い生徒は40〜50枚に至ります。
レポートや論文のテーマはどのように決めるのですか?
最初は、学期ごとに教員から様々なテーマを与えられます。その中で、各人が興味・関心をより強く抱くテーマがおのずと見えてきます。例えば、戦争体験の継承や地域医療の推進などです。
取材前後の段取りについても指導されているのでしょうか?
中1の段階で、アポの取り方、電話のかけ方、挨拶の仕方、取材後の礼状の書き方などをきっちりと教えます。
大変な課題かとは思いますが、かなり手厚いサポートが行われているのですね。
そうですね。中学で身に付けた論文作成能力は、その後の人生のなかでも文系・理系問わずとても大きな力になります。卒業後に大学の演習やゼミでリーダーシップを取るような生徒も多いです。
また、レポートや論文の執筆は、受け身ではなく自ら課題を設定して能動的に学ぶ機会となるため、「学校生活で最も勉強になった」「仕事にも活きている」と語る卒業生も少なくありません。
新設された「サイエンスセンター」で行う実験で批判的思考力を培う
▲「中学幾何学」や「化学実験書」といった海城中学高等学校独自の教材
そのほか、「新しい学力」を身に付けてもらうために取り組んでいる特徴的なカリキュラムがございましたらお聞かせいただけますか?
数学では本校独自の教科書を使い、中学1、2年の「幾何」で、徹底した公理主義(※)的な授業を行っています。例えば、生徒たちは中学受験の段階で三角形の内角の和が180度であることは知っていますが、なぜ180度なのか?それを公理に基づき論理的に証明できるようにしていきます。
(※)論証を必要とせず正しいとされる根本の命題「公理」を起点に、あらゆる理論は説明されなければならないという考え方
授業では、グループに分かれて課題について考え、代表が前に出て発表する。それをみんなで共有した上で、どれが一番スマートな回答なのかを考える、といった取り組みを繰り返します。
これによって、ロジカルシンキング(論理的思考)の力を養います。これは前出の「思考力」のベースとなるものなので、徹底的にやります。
土台となるロジカルシンキングの力を築いた後、より上位の思考力となるクリティカルシンキングの力はどのように鍛えるのでしょうか?
クリティカルシンキングは、2021年に新設した「サイエンスセンター」で頻繁に実施する実験を通して養います。
▲新理科館として2021年に完成したサイエンスセンター
自然科学のオーソドックスな手続きは、ある現象を観察し、その現象がどうして起こるのかについて仮説を立て、それが正しいかどうかを多角的・複眼的に検証するプロセスを踏むことです。クリティカルシンキングの力は、他ならぬこの検証作業を通して養われます。
試行錯誤の過程でさまざまな角度から、批判的に物事を見つめることが必要なのですね。
そうですね。そして、これまでお話したような「新しい人間力」と「新しい学力」に、知識や価値などを統合したものを、2023年4月に就任した大迫(弘和)校長は「海城知」と名付け、生徒たちに6年間で身に付けてもらうことを目指しています。
指導力と教育理念への共感を持った教員がそろう
海城中学高等学校では生徒に求めるレベルが高い分、教員にも高い指導力や専門性が必要とされるのではないでしょうか?
おっしゃる通りです。例えば論文の授業であれば、自らが学術論文を書いたことがあったり、今でも書いたりしているような経験がなければ、なかなか指導はできません。ですので、多くの教員はマスターやドクターの学位を持っています。
教員の採用はどのように行なっているのでしょうか?
本校が求める水準に達しない方を採用することはまずありません。応募者の中に十分な人材がいなければ、その年の採用を見送り、2年、3年と待ってでも期待にかなった人を採用するようにしています。
また、本校の教育理念に賛同・共感してくれる人かどうかはもっとも大事にしている点です。受験生やその保護者も、その理念に共感して入学してくださるわけですから、とうぜん教員も同じ理念をベースとする必要があります。
なので、採用面接では、応募者がこれまでどのような人生を歩んできて、どういった出来事が人格形成に影響してきたかといったことも含め、慎重に話を聞いています。
海城中学高等学校の「サイエンスセンター」
ここからは中田先生に加え、入試広報室の塩田顕二郎先生にも同行してもらい、2021年7月に完成し、9月から運用がはじまった校内の「サイエンスセンター」を案内していただきました。
生徒の好奇心を刺激する仕掛けがあちこちに
▲サイエンスセンターのエントランス
サイエンスセンターは、どのような理由で新設されたのでしょうか?
探究型の授業をより推し進めていくためです。先ほど中田が申し上げた通り、本校では実験・観察の授業をとても大切にしています。
ところが、元々あった旧理科館は大きな実験室が3つほどしかなく、実験ができる教室が不足していて、老朽化も進んでいました。そのため、理科教員を中心に設備の充実を望む声が根強く、教員や理事会が議論を交わしながら、構想からおよそ10年がかりで開設に至りました。
このサイエンスセンターには、計9つの実験室があります。化学が2つ、生物が2つ、物理が2つ、地学が1つ、加えて共同実験室が2つです。
また、「建物自体を教材に」というコンセプトのもと、あらゆる場所に学びの仕掛けがあります。代表的なものが、1階の足元にある地層の標本です。
▲サイエンスセンター1階の床下に埋め込まれている地層の剥ぎ取り標本
サイエンスセンターは基礎工事の際、10m近くの深さを掘っていて、そこから出てきた地層をそのまま剥ぎ取って展示しています。深さ10mの地点には、約10万年前の武蔵野礫層という石がゴロゴロした地層があり、このことからこの場所には昔、古多摩川が流れていたことが分かります。
また、サイエンスセンターの壁には、温度や湿度を一定に保ちやすい性質を持つ「大谷石」を使っているのですが、このことを解説したサインボードも館内に飾っています。
▲サイエンスセンターの大谷石が使われた壁と、石の性質を解説したサインボード
サイエンスセンターは、大谷石のように環境に配慮した建材を使っていることや、屋上に風力発電設備やソーラーパネルを設置していること、冷暖房設備には100mの地下から取り込んだ地中熱を利用していることから、施設内の一次エネルギーを52%カットしています。こういった環境面での取り組みや効果も、施設の温度や発電量を表示するモニターで可視化させています。
さらに、通路の一部の天井は配管をあらわにして、建築や設計に興味がある生徒の好奇心を刺激するようにしています。
▲サイエンスセンター3階の屋上に向かう通路にある、配管があらわになった天井
このように、物事に熱中しやすい男子生徒の知的好奇心をくすぐるフックをたくさん用意しています。
ちなみに、海城には物理・化学・生物・地学の各科目に専門の教員がいます。地学の専任教員が2人いることは、かなり珍しいと思います。さらに、物・化・生・地にそれぞれ1人ずつ、計4名の実験助手がいるので、それだけ多くの実験ができます。
クラブ活動も物理・化学・生物・地学でそれぞれ分かれているため、生徒は専門の教員から指導を受けられます。
海城中学高等学校が目指す『社会で活躍できる人材』に必要な「新しい学力」を養うために、これだけの設備・環境を整えられているということに驚きました。また、ただ設備を用意するというだけでなく、その1つ1つに関しても細部にこだわって作られているので、そこに強い思いが感じられます。
国内20台しかない実験装置を備えた地学実験室
▲サイエンスセンターの地学実験室
ここは地学実験室ですね。教室の後ろに大小たくさんの石が並んでいます。
地中深くに埋まっている深成岩を同じ体積のブロック状にしたものを、右から地表に近い順に並べています。かんらん岩や鉄は密度がとても高く、かなりの重さがあります。
▲地学実験室に展示されている深成岩をブロック状にした展示
うわっ、すごく重いですね!片手で持ち続けるのは大変です。
展示を通し、生徒に地中の構造を体感してもらいたいという狙いがあります。
アンモナイトやイノセラムスといった化石も置いています。中学生なんかは、授業前に興味深そうに見たり、触ったりしていますし、文化祭に学外から来た子どもたちはこの場を離れなくなりますね。
▲地学実験室に展示されているアンモナイトやイノセラムスといった化石
この装置は 「エムリバー」というアメリカから取り寄せた流水実験装置です。普通は大学や研究所が持っているもので、国内には20台ぐらいしかありません。
▲地学実験室にある流水実験装置「エムリバー」
砂のように見えるのが4種類のプラスチックチップで、それぞれ重さが微妙に違います。ここに水を流すと、軽いチップから動き出して、扇状地や河岸段丘のような形ができていきます。この装置を使って、川の氾濫の仕組みを教えるなど、防災教育にも役立てています。
ほかにも、この教室には鉱物の観察などに使う偏光顕微鏡が40台以上あったりしますよ。
余談ですが、今の高校3年生で昨年度、国際地学オリンピックで金メダルに輝いた生徒がいます。彼は今年度、国際天文学・天体物理学オリンピックでも金メダルを獲得しているんです。
異なる分野で2年連続金メダルを取るなんて快挙ですね!サイエンスセンターの充実した環境も、快挙の後押しになったのではないでしょうか。
化学実験室には、有毒ガスを使った実験が安全にできる装置が複数台
地学実験室以外の各実験室には、どのような特徴がありますか?
化学実験室は他の教室と違い、エアコンが風が強く出ないタイプとなっています。実験で使う薬品やガスバーナーに影響が出ないようにするためですね。これは他校の理科の先生には羨ましがられる設備です。
さらに、有毒ガスが発生するような実験が安全にできる「ドラフトチャンバー」という装置が、1つの化学実験室だけで2台あります。本校ではここ以外にも7台、計9台のドラフトチャンバーがあるんです。
▲化学実験室にある2台の「ドラフトチャンバー」
生物実験室は天井からモニターを吊り下げています。先生が顕微鏡で覗いているものなどを、教室内の全ての生徒にはっきりと見せるためです。
▲サイエンスセンターの生物実験室
また、それぞれの実験室の前には展示スペースを作っていて、ちょっとしたミニ博物館のようになっています。例えば、物理実験室の前には海城の倉庫に眠っていた古い物理の実験装置を並べています。アンティークのインテリアのようですよね。
▲物理実験室の前に並んでいる古い実験装置
生物実験室の前にある剥製の中には、都内で駆除されたアライグマなどを本校の生物部がもらってきて、自ら処理したものがあります。
どの展示も思わず見入ってしまうほど興味深いですね。
大学の講義室のような「階段教室」や、壁一面がホワイトボードの教室も
ほかにも、サイエンスセンターで特徴的な設備がございましたら教えていただけますか?
階段状に座席を置いている約60名入る教室があります。演示実験では後ろの座席が高い位置にあるので、どの位置からでも先生の手元が見られるつくりになっています。
▲サイエンスセンターの階段教室。空調の一部には地中熱を活用している
まるで大学の講義室のようですね。
200インチのスクリーンで天体や宇宙の迫力ある映像を流したり、天井の高さを活かした振り子の実験をしたりもできます。
理科の授業だけでなく、社会科の模擬裁判、OBによる講演会などにも使っていますね。
また、3階には壁が全てホワイトボードになっている教室があります。海城はグループワークやプレゼンテーションをおこなう機会が多いので、そのような場面でこの教室を活用しています。壁は映像を投影しても反射しない素材を使っているのでプロジェクターも使いやすいです。
▲壁一面がホワイトボードになっている教室
屋上には、生物の教員や生物部が植物や生物を管理している温室があるのですが、この温室を囲っているガラスは、海城の卒業生が開発に関わった世界初の無色透明の発電ガラスです。
このガラスは、表裏どちらの面でも発電ができ、遮熱効果もあります。一般的な太陽光発電設備よりも安価な素材を使っているため、大量生産も可能だそうです。
まだ発電量自体は微々たるものであるため実用性は高くはありませんが、さらに発展させた技術を海城生が考えていってくれないかという思いを込めて採用しています。
▲サイエンスセンター屋上にある温室。海城OBが開発に関わった世界初の無色透明発電ガラスが使われている
在校生が卒業生の功績を身近に感じ、刺激を受けられそうですね。
海城中学高等学校からのメッセージ
最後に、記事をご覧の子どもや保護者に向けて、メッセージをお願いできますでしょうか?
変化の激しい現代では、大学や大学院で学んだことは、すぐ陳腐化してしまいかねません。ですが本校では、尊敬できる先輩や先生との出会いを通し、根本的な学びの楽しさや充実感、意欲、モチベーションを提供できます。
中高の6年間を大学受験のためだけに費やすことはもったいないと思います。おそらくそれは本人の将来にはつながらないと思います。ですから、本校では、生徒たちに何でも良いので一生学び続けていくエンジンとなるような原体験を積んでいただきたいと思います。
充実したカリキュラムや設備があり、専門性の高い教員もそろっている海城中学高等学校では、生徒が一段と学びがいを感じられると感じました。本日はありがとうございました!
海城中学高等学校の進学実績
海城中学高等学校は、都内の中高一貫校の中でも有数の進学実績を誇ります。
2023年度は、現役と卒業生を合わせ東京大学に43人、京都大学に7人、一橋大学に10人、東京工業大学に12人の合格者を輩出しています。また、早稲田大学には143人、慶應義塾大学には111人の合格者がいました。
また国公立大学医学部には52人が合格しているほか、海外の大学に合格している生徒も7人います。
■進学状況(海城中学高等学校公式サイト)
https://www.kaijo.ed.jp/career/
海城中学高等学校の卒業生・保護者の声
最後に、海城中学高等学校の卒業生や保護者の声を紹介します。
(保護者)子どもが論文の授業を通して社会的問題への関心を高めました。取材のアポの取り方を含め、学んだことは多かったようです。
(保護者)学校から出る課題は多くないですが、生徒それぞれが自覚を持って勉強に取り組んでいます。
(保護者)教師はおおらかに見守ってくれるタイプの方が多いです。受験勉強だけではなく、社会で求められることを学べると思います。
周囲に強制されず、自由に学習を進められることに好意的な意見が多くありました。学力だけでなく、社会に出た後も役立つような力を身に付けられることや、部活動にも一生懸命取り組んでいるという声も目立ちました。
お問い合わせ
問い合わせ先 | 海城中学高等学校 |
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住所 | 東京都新宿区大久保3-6-1 |
電話番号 | 03-3209-5880 |
公式サイト | https://www.kaijo.ed.jp/ |