100年を超える伝統校「森村学園初等部」の、学ぶ楽しさが見つかる教育の魅力

ぽてんをご覧の皆さんに特徴的なカリキュラムなどで注目を集める学校の魅力を伝えるこの企画。今回は神奈川県横浜市にある、幼稚園から高校までの15年間の一貫教育を行う「森村学園」の初等部を紹介します。

森村学園は森に囲まれた自然豊かな環境にある100年以上の歴史を持つ伝統校。創業時から一貫して子どもの「自立」と「自律」に、焦点を当てた教育方針を打ち立てており、学力だけにとどまらない子どもの可能性を伸ばしていける環境があります。

初等部ではICT教育や言語教育など、特徴的なカリキュラムも実施している森村学園。校長の田川信之先生にインタビューを行い、授業や行事、施設などの魅力を詳しくお伝えしていきます。

100年を超える伝統を貫く、森村学園の教育への姿勢とは

森村学園は1910年の明治時代の終わりに、陶磁器メーカーの先駆けともいわれる実業家の森村市左衛門によって創立されました。創立当初は数十人という少人数からスタートした同校は、その後いくつかの変遷を経て、横浜の自然豊かな地で15年一貫教育を行う現在の形となりました。

100年以上の歴史の中で学校の形は変わっているものの、森村学園の教育に対する姿勢は一貫しています。まずはその根底にある精神や、それに立脚した初等部での教育方針について伺っていきます。

森村学園の教育に息づく「独立自營」の精神

森村学園初等部校長の田川先生

▲インタビューにご対応いただいた校長の田川先生

編集部

最初に、森村学園の教育方針について教えてください。

田川先生

森村学園は「独立自營」の建学の精神を掲げています。これは本校の創立者である明治の実業家の森村市左衛門が礎としていた精神で、現在に至るまで森村学園の教育の根幹をなすものとなっています。

教育における「独立自營」を体現していくために最も大切にしているのが、子どもたちの「自立」と「自律」です。周りの大人から言われたことをやるのではなく、自分で考えて判断し、行動できる人になってほしい。それが森村学園の幼稚園から高等部までに共通する教育方針です。

初等部では特に“学ぶ楽しさ”を大切に、遊びも重要視

森村学園の敷地内にある森の広場

▲学園の敷地は8万平方メートルを超える広さで、木々や生き物であふれる「森村の森」が自慢

編集部

森村学園全体を貫く「独立自營」の精神に基づき、初等部では特にどのような点を大切に教育を行っているのでしょうか。

田川先生

森村学園が最終的に目指すところは、自立した学習者の育成です。そのための基礎作りとなる初等部では、自ら学んでいくための“学ぶ楽しさ”を見つけてもらうことを大切にしています。基礎的な学力を身に付けることはもちろん大切ですが、こちらから一方的に教え込むのではなく、自分たちで考えて発見してもらうというのが基本姿勢です。

その点で重要になるのが、勉強だけではない「遊び」の部分です。初等部のモットーは「しっかり学び、とことん遊べ」。子どもたちはただ遊ぶのではなく、新しい遊びやルールを考えています。私もよく子どもたちと一緒に遊んでいるのですが、鬼ごっこ一つとっても独創的なんですよ。捕まったらバナナの格好をするという「バナナ鬼」なんてものもあります(笑)。

遊ぶ中で、時にはルールを巡って衝突することもありますが、それも子どもたちにとって良い学びになります。「独立自營」というのは決して一人で頑張ることではなく、周囲の友達や大人と協調してこそ実現できるもの。皆で楽しめる遊びは何か、皆が納得できるルールや何かを考えることは、その上でとても貴重な機会なのです。勉強だけでなく遊びの中からもたくさんの学びや発見ができるようにしています。

子どもの人生を見据えた「本物」から学ぶ教育活動

森村学園の教育方針は、専科制(※)や「総合」の授業など、特徴的な教育活動に体現されています。創立時からの思いが息づく森村学園の教育活動の魅力について、詳しく紹介していきます。
(※)教科担任制と同義で、その教科を専門とする教員が授業を担当する制度

明治から続く「本物から学ぶ」ための教科担任制

森村学園初等部の図工室

▲整理整頓された図工室。専門の先生が図画工作を教えていく

編集部

子どもたちに「学ぶ楽しさ」を見つけてもらうため、具体的にどのような教育活動を実践されているのかを教えてください。

田川先生

教育活動で大切にしているのは「本物から学ぶ」ことです。それを象徴するのが森村学園初等部の特徴である教科担任制、いわゆる専科制です。全学年で英語、音楽、体育、図画工作の専科制を採用しており、中学年からは理科、高学年からは社会と家庭科も専科となります。

「本物から学ぶ」という方針は創立者の森村市左衛門が重視していたもので、専科制も創立当初から始まっています。英語教育でも本物に触れられるよう、その当時からキャサリンという女性の英語教師が教えていました。

編集部

明治時代から外国人教師による英語教育をされていたというのはとても先進的ですよね。いかに本物に触れることを大切にしていたかが伝わります。

田川先生

その姿勢は現在にも引き継がれています。専科以外にも、外部から講師を招いて授業をする機会が多いのもその一環ですね。つい先日も助産師さんを呼んで、6年生を対象に命の授業を実施してもらいました。

ただ口だけで「命って大切なんだよ」と伝えても、本当の意味で理解することはなかなか難しいのが現実です。ですが、普段から「赤ちゃん誕生」の瞬間に立ち会われている助産師さんからリアルな体験も交えて学ぶことで、そのときは理解できなくても、のちのちの人生の中で腑に落ちる瞬間が訪れるのではないかと思っています。

これこそが「本物から学ぶ」ことの意義であり、学んだことを社会に出てからも役に立てることができるのではないかと考えます。

子どもたち発案の取り組みが生まれる「総合」の授業。商店街とのコラボも!

編集部

他にも、特徴的な教育活動があれば教えてください。

田川先生

森村学園では、教科の枠を超えた「総合」の時間にとても力を入れています。「総合」の時間は内容に縛りがなく何をやっても良いため、子どもたちが何をやるか考えるところから始まります。そうすると、大人が考えつかないような取り組みが始まったりするんですよ。

編集部

例えばどのようなことに取り組みがありますか?

田川先生

例えば「商店街の和菓子屋さんで売るどら焼きのレシピを考える」という取り組みを行ったことがあります。それは実際に販売にもこぎつけることができました。

その他にも、中古衣料を学校に集め、回収業者を呼んでリサイクルを行う取り組みなども行っています。これも業者さんを呼ぶところまで全部子どもたちが実施しています。

編集部

すごいですね。社会で働いている方との接点も生まれ、ビジネスや環境問題に対する視点も身に付けられそうです。

田川先生

本当にその通りです。商店街を始めとするいろいろな方との交流は、まさに「本物の中から学ぶ」という姿勢が体現されている部分だと思います。

子どもの未来を育む、先進的な教育プログラム

創立当時から続く教育に対する一貫した姿勢を貫きつつ、子どもの未来を見据えて先進的な教育プログラムを実施しているのも森村学園初等部の特徴です。森村学園初等部の3つの柱である「ICT教育」「言語技術教育」「英語教育」のそれぞれの特徴を伺っていきました。

1年生からiPadに親しみ、プログラミングも学べるICT教育

森村学園初等部の図書室にある検索用PC

▲図書室にある検索用PC。森村学園ではコロナ禍以前からICT環境を整えている

編集部

森村学園ではICT教育に力を入れていらっしゃるとのことですが、具体的な内容を教えていただけますか?

田川先生

森村学園のICT教育は2017年からiPadを導入したところから始まり、その後2020年にICT専科がスタートしました。そのタイミングでコロナ禍により一斉休校となったのですが、ICT専科の準備を整えていたためにすぐにZoomを使ったオンライン授業を実施でき、その後の休校期間中もずっとオンライン授業で対応できました。

編集部

ICT専科ではどのような内容の授業を行っているのでしょうか。

田川先生

1年生のときからプログラミングを学べるカリキュラムをしっかりと組んで実施しています。最初はお絵描きから始まり、描いた絵を動かすところから最終はロボットを動かすところまで、プログラミングを系統立てて学べる内容となっています。プログラミングだけでなく、iPadのソフトでポスターを作ったり映像コンテストに作品を出したり、レーザーカッターで作品を作ったりと、学年が進むごとに高度な内容を習得できるようになっています。

編集部

なるほど。子どもたちは皆iPadを使って授業を受けているのですか?

田川先生

はい。森村学園ではロイロノート・スクールというクラウド型授業支援アプリを導入しており、iPadを活用した授業を行っています。4年生くらいになると、私が隣で見ていても何をやっているのか分からないくらい使いこなしていますよ。

iPadは机に向かう授業だけでなく、体育や図工、音楽の授業でも活用しています。例えば体育で縄跳びをするとなったら、お手本の跳び方を動画で見て練習を始めて、自分の練習の様子もiPadで撮影するんです。その動画をロイロノートで先生に提出すると、先生がチェックするのも効率的になるんですよね。図工の場合も作品を作り終えたらiPadで撮影して、見どころや苦労したところを書いて提出し、共有しています。

iPadで提出することで先生だけでなく皆に共有できる、というのは子どもたちの自己表現の面でも有効活用されています。例えば授業中に手をあげて発言するのが難しい子どももいますよね。そういう子どもたちはロイロノートで提出する際に自分の意見も書き込んで提出すると、誰かがそれを見て「〇〇さんが良いことを書いている!」と言ってくれることがあるんです。それを言われたその子もニンマリしていて(笑)。そういうところから子どもの自信につながる場合もあるので、その点でも良い使い方ができていると思います。

編集部

単に便利なだけでなく、自己表現やコミュニケーションツールとしての魅力もあるんですね。iPadの使用にあたって注意していることはありますか?

田川先生

よくiPadばかり使うと鉛筆を使う機会が減るという声もありますが、そこはまったく減らさないように、iPadだけでなく鉛筆を使って書く機会も確保しています。

あとは良くない使い方をするのではないかという懸念もありますよね。確かに気づくと子どもたちが思いがけない使い方をしていることもあります(笑)。でもそれはそれで良いと思っているんです。「これをしたらだめ」と教え込むことも大切ですが、失敗を恐れずに使うからこそ、使いこなすことができている面もあると思います。

とはいえインターネットに触れる上でリテラシーはとても重要です。そのため、リテラシー教育も並行してしっかりと行っています。

「言語技術」で、すべての学習に役立つ論理的思考力を育む

森村学園初等部の授業風景

編集部

森村学園のカリキュラムの特徴の一つである「言語技術」について教えてください。

田川先生

言語技術は体系的に言葉の学習を行うための、母語教育のプログラムです。分かりやすい例だと、1年生に行う『問答ゲーム』というものがあります。簡単にいうと、質問に対して答える練習をするためのゲームで、例えば「あなたはカレーライスが好きですか」といった質問に回答していきます。

最初のうちは「好きです」と答えるのがやっとだった子どもも、1年生の終わりくらいになると「あなたはうどんとラーメンのどちらが好きですか」と聞いたら「私はラーメンの方が好きです。理由は3つあります」というように回答できるようになっているんです。回答の最後は「以上の理由により、私はラーメンの方が好きです。今すぐに食べたくなってきました。」と締めくくります。

始めに結論があって、説明があって、最後にまとめがある。これは完全に小論文の型と同じなんですね。これによって、言葉で話すときだけでなく作文を書くときも論理的に組み立てられるようになり、また文章の読み取り能力も向上していくことができます。

編集部

言語技術を通して、物事の構造を論理的に理解できるようになるんですね。国語だけでなく、いろいろな勉強の土台をつくっていく上でも重要ですし、将来的にも役立つスキルにつながりそうです。

田川先生

そうですね。あとは日本人は海外の人と比べて議論や弁論の力に弱い部分があるため、その点も伸ばしていけるのではないかなと思います。

「本物」に触れる英語教育で、言語能力だけでなく異文化理解も育む

編集部

先ほど創立当初から外国人教師が英語を教えていたというお話がありましたが、現在森村学園で実施している英語教育にはどのような特徴がありますか?

田川先生

現在は、1年生のときからイギリスの公的機関BRITISH COUNCILの講師3名による授業を実施しています。それも「本物」から学ぶという思いから実施している取り組みです。

森村学園の英語教育で大切にしているのは、ただ英語を話せるようになることではなく、英語を好きになってもらうこと。外国人講師と毎日触れ合う中で英語を楽しんでもらうとともに、異文化理解も進めることができるのが良いポイントだと思っています。

普段から英語に親しむことでヒアリング力が育っています。授業のレベルでいうと、5・6年生で英検3級・4級レベルのことをやっていることもありますね。ただし英検に受かることを目的としているわけではないため、言語技術などを通して日本語をしっかりと学んだ上で英語を学ぶ、という前提を大切にしながら英語教育を進めています。

子どもたちの成長を大きく後押しする行事の数々

森村学園初等部の体育の授業風景

普段の授業だけでなく、校外活動を含む行事が多いのも初等部の魅力です。ただ楽しいだけでなく、森村学園の教育方針に基づく、子どもたちの成長を促すための工夫がたくさんある行事についても紹介します。

自分のことは自分でする。「自立」につながる林間学校

編集部

森村学園では行事も活発に行われているとのことですが、その中でも特に子どもの成長の機会になっているような行事はありますか?

田川先生

夏の林間学校は、最初にお話した「自立」につながる行事となっています。元々4年生から実施していましたが、今ではより早い3年生のときから始めて、学年が上がるにつれて宿泊日数を増やすようにしています。

初めての林間学校では、宿泊経験が少ないためにいろいろと困難に直面します。しかし基本的に「自分たちでやる」という方針を立てているため、経験を重ねていくことでどんどんできることが増えていくんです。

6年生のときには何も教えなくてもすべて自分たちでできるようになっていて、さらに林間学校の中身まで子どもたちで考えるようになっているんですよ。「今日は山登りに行きます」など大枠のイベントは学校側から提示しますが、林間学校での集会や持ち物などはすべて子どもたちが決めていきます。

宿泊行事は中等部でも実施するのですが、外部から中等部に入学した子は、初等部からあがってきた子たちが宿泊に慣れていて自分たちで楽しんでいる様子に驚くようです。初等部から積み重ねた経験が活きているのだと思いますね。

編集部

子どもたちにとっては楽しいだけでなく、いつ何をするのかも含めて自分たちで考える機会になるわけですね。

田川先生

そうですね。林間学校は皆で行うものなので、「自分のことを自分でやる」ということに加えて、友達のことも考えられるようになる点もポイントです。最初にお伝えしたように、「独立自營」というのは決して一人で頑張ることではなく、周囲と協調しながら成し遂げていくものでもあります。その点でも、友達と協力して行う林間学校は良い体験になっているのではないでしょうか。

行事に失敗はない。「自分たちで考える」過程を重視

編集部

他にも特徴的な行事があれば教えてください。

田川先生

運動会、展覧会、音楽会、学芸会の4つの行事を行っています。行事に対する我々の考えは、「行事に失敗はない」というものです。

普段の学習と同様、行事に関しても自分たちで考えて実施するのが初等部の方針です。例えば学芸会で劇をやるにしても、演目を考えるところから台本づくりまですべて子どもたちで話し合ってつくっていくんです。低学年の場合は方向性を示すことはありますが、私が2年生の担任をしたときには話もすべて子どもたちでつくったオリジナルの劇をやりました。

編集部

2年生でお話から考えるというのはすごいことですよね。

田川先生

もちろん大変なのですが、やはり自分たちでやり遂げたことなので達成感が全然違いますよね。こちらからやらせたことはあまり覚えてなくても、自分たちでやったことはよく覚えているものです。当日の成功も大切ですが、自分たちで課題をつかみ、それを解消するための工夫をするというそれまでの過程を大切にしています。

森村学園の魅力的なキャンパスや授業風景を公開

森村学園のキャンパスの様子

森村学園は総面積81,587㎡というおよそ東京ドーム1.5個分の広大な敷地の中に、幼稚園から初等部、中等部・高等部までが立地しています。校舎は森に囲まれており、遊び場や図工の授業のスケッチなど幅広く利用されています。木々が生い茂った道を抜けた先には季節ごとに表情を変える広場があります。

そんな素敵な空間が広がる校舎を巡りながら、森村学園での学校生活をイメージできるような各スポットを紹介していきます。

幼稚園から高校までの一貫校だからこそ生まれる、異年齢との交流が魅力

編集部

森村学園は同じ敷地内に幼稚園から高等部まであるんですよね。初等部では幼稚園や中等部・高等部との交流の機会はあるのでしょうか?

田川先生

1年生が幼稚園生をお迎えして、中等部・高等部の部活体験に行ったりといろいろな交流機会があります。それらは学校側がつくった交流機会ですが、それ以外にも、中高生が遊びに来ることが良くあるのでそこで初等部の子どもとの交流が生まれることもありますよ。

通学経路もほぼ同じで、初等部と中等部・高等部は同じ制服なので、電車に乗っていたら同じ学校だと分かります。そのため、電車の中で具合が悪くなった初等部の子を、中高生の子が学校まで連れてきてくれることもあります。電車が止まってしまった場合には、中高生が初等部の子を集めて迂回経路で回ってきてくれることも。そういう自然発生する交流は意外と多いですね。

編集部

森村学園が実践されている、「自立」や「周りへの思いやり」という教育が活きていると感じる、素敵なエピソードですね!

陶芸の窯にメディアルーム。蔵書がいっぱいの図書室が知的好奇心を刺激!

森山学園初等部にある陶芸の窯

▲校内にある陶芸の窯

編集部

学校施設内の特徴についても伺っていきたいです。まず陶芸の窯があることに驚きました!

田川先生

創設者の森村市左衛門が陶磁器業に携わっていたことから、陶芸の授業を全学年で実施しています。窯で作品を焼くこともできるんですよ。子どもたちの作品は校内の各所に飾り付けられています。

図工と家庭科がコラボして、「自分のつくったカップでお茶を飲む」という授業も行いました。お茶が漏れてしまった子もいましたが、それも貴重な経験となっています。

森村学園初等部の児童がつくった陶芸作品

▲校内には児童のつくった陶芸作品がたくさん!

編集部

メディアルームの前にはQRコードが掲示されていますが、こちらは何でしょうか。

田川先生

メディアルームはICT授業のための教室で、このQRコードを読み込むと児童たちの映像コンテストの作品などが見られるようになっています。ICT教育は1年生から実施しているので、メディアルームでは今も1年生がiPadを使って授業を受けていますよ。

森村学園初等部のメディアルーム

▲児童の作品を見ることもできるメディアルーム

編集部

図書館にも来てみましたが、蔵書数がとても多いですね。

田川先生

司書が活動的なので、どんどん本が増えています。図書室を飾り付けするなど、子どもが本に興味を持つような工夫もたくさん仕掛けられているんですよ。

森村学園初等部の図書館

▲司書さんの工夫がつまった森村学園初等部の図書館

田川先生

これからはデジタルで読める本も増えていくと思いますが、やはり紙媒体も必要だと考えています。森村学園は通学範囲が広い学校なので、通学の行き帰りで本を読む子どもも多いんですよ。

対話を重視した活発な授業風景。そこから生まれた驚きのエピソードも

森村学園の授業中の様子

編集部

熱心に授業を受けている教室の様子ものぞかせていただきます。授業中は普段どのような様子なのでしょうか?

田川先生

授業は対話形式で行うことが多いです。6年生くらいになるとほとんど対話を通して行っていますね。何かしらの課題に対して、隣の人や前後の人と1分間で相談しましょうという機会を多く設けています。

授業は、いかに一人ひとりが考えるかが大切です。対話形式にすることで、一人で考えるよりも分かることが増えていくんです。子ども同士で対話して、教員が何もしゃべらないまま授業が進むことも少なくありません。だから賑やかな授業が多いと思いますね。

編集部

対話を大切にする授業を行っていく中で、印象に残っているエピソードはありますか?

田川先生

2年生の担任をしているときの話ですが、授業中に出した問題で子どもたちが議論になったことがあります。ある児童が「絶対にこうだ」と主張を始めたのですが、それが間違っていたんですね。周りの子たちも違うことに気が付いて議論が始まったのですが、その子に対して、間違っていると責めるようなことはしないんですよ。「〇〇さんの考えはわかるけれど、きっとこうだと思うよ」というような言い方をずっと続けていくわけですね。

そうしていく内に、その児童も「自分が違うような気がしてきた」といって意見を取り下げました。そうしたら、周囲の子どもが「でも〇〇さんのおかげでこんなにいっぱい話し合いができたんだよ」と言ったんです。2年生の子どもがですよ。

もう一つおまけで言うと、その15分くらいの間、私はまったく話していません。「あれ、先生いたんだ」くらいの感じです(笑)。これはとても驚いたと同時に、私にとって授業の理想の姿だと思いました。

編集部

子どもたちも素晴らしいですし、途中で止めなかった先生も素晴らしいと思います。

田川先生

子どもたちが発言できるようにするためには、まずは子どもたちのいうことを否定しないことが肝心です。もちろん間違った発言をすることもありますが「良いところに気が付いたね」「それもそうだね」と言い続けていくことで、失敗を恐れずに発言できるようになるんです。それを2年生の子どもたちが体現してくれたことが、とても印象的な授業となりました。

森村学園からご家族・お子様へのメッセージ

森村学園初等部校長の田川先生

編集部

最後に、記事をご覧の子どもたちと保護者の皆様にメッセージをいただけますか?

田川先生

失敗を恐れない子どもであってほしいと思います。ちょっとくらい失敗しても良いんだという思いを持った子どもは、いろいろなことにチャレンジするようになります。

だからこそ我々も指示や命令ばかりすることはしたくないと思っています。子どもの気持ちを大切にし、子どもの発言を否定しない。その上で子どもたちを認める発言をしています。

ご家庭でもぜひ、それを実践していただけると嬉しいです。玄関で靴を揃えたり、家に帰ってすぐに着替えたりという当たり前のことでも、声をかけることで子どもたちのやる気は全く違ってきます。周りの大人に認められているんだ、という思いを持ってのびのびと成長していけるような環境を、私たち学校も、ご家庭でもつくっていけたらと思っています。

編集部

森村学園初等部の授業内容やカリキュラムすべてに、子どもの「自立」と「自律」を想う精神が息づいていることがインタビューから伝わってきました。基礎学力の向上も大切にしつつ、その先の子どもの未来を見据えた教育を実践されているのが印象的です。ただ成績を上げるだけでなく、子どもの総合的な人間力を育んでいきたい方にはとても合う学校なのではないでしょうか。

森村学園初等部に通う児童の保護者の声

森村学園初等部に通うお子様を持つ保護者の皆様の声の一部を紹介します。

緑豊かで、子どもらしくのびのびとできる学校。先生たちも一緒になって遊んでくれる。

自分で考え、行動できるように先生たちが導いてくれる。指導方法が一貫しているから安心できる。

1年間を通じて数多くの行事が開催される。行事は必ず子どもたちで話し合って協力し合うようになっているので、それを繰り返すことで子どもが成長しているなと感じる。

勉強だけができる子どもを育てるのではなく、人間的に必要な力を身に付けることに重点を置いているのが魅力。子どもの個性も大切にした上で指導してもらっていると感じる。

文字の反復練習をしっかり行ってくれる。授業でも丁寧に教えてくれるのはもちろん、毎日宿題が出るので自宅での学習習慣も身についた。

一人ひとりの個性を大切にしながら、先生たちが温かく指導してくれるという声が多く聞かれました。森村学園の初等部に通うことで、勉強や行事、遊びを通して子どもたちの「自立」の芽が育まれていく実感を多くの保護者が得ているようです。

お問い合わせ

学校名 学校法人 森村学園
住所 神奈川県横浜市緑区長津田町2695
電話番号 045-984-2509(初等部)
公式サイト https://www.morimura.ed.jp
公式Instagram ▼Instagramでも学校生活の様子をお伝えしています
https://www.instagram.com/
morimura_shotobu/