ぽてん読者の皆様に、注目の専門学校をご紹介するこの企画。今回は、東京都江戸川区にある医療の総合学校「学校法人滋慶学園 東京医薬看護専門学校」をご紹介します。
同校には医療・薬・バイオ・化粧品分野の11学科があり、それぞれの分野で高度な専門技術を習得するため学生たちが切磋琢磨しながら学んでいます。
学科単体だけでなく学科を超えて学ぶ授業も積極的に導入しており、職種を超えて広い視野で考える力が身につくのも魅力です。
本記事では、11の学科の中から「医療・医薬品バイオ研究学科(3年制)」と「臨床工学技士科(3年制)」の2つの学科にスポットを当てて、小林先生と木曽先生にインタビュー。カリキュラムの特色や充実した設備、卒業生の進路など、学校選びの参考となる情報を詳しくお伝えします。
この記事の目次
将来性抜群!最先端医療の分野で求められる人材を育てる「医療・医薬品バイオ研究学科」
まずは、医療・医薬品バイオ研究学科にスポットを当てて、小林先生にお話を伺っていきたいと思います。医療・医薬品バイオ研究学科は、どのようなことが学べる学科なのでしょうか?
医療・医薬品バイオ研究学科は、細胞や遺伝子を扱うことができるバイオ技術者を養成する学科です。3年間で、再生医療や遺伝子治療などの最先端医療に貢献できる人材を育てます。
専門的な分野ではありますが、高校の基礎レベルの生物・化学からスタートしますので、これまで生物や化学に触れてこなかった文系学生でも安心して専攻いただけますよ。
医療・医薬品バイオ研究学科の学生さん達は卒業後、どのように活躍されているのでしょうか?
製薬会社や研究所で病気のメカニズムを解明する研究をするなど、薬の開発に携わる卒業生は多いですね。製薬会社が作った薬の安全性試験を専門に行うCROと呼ばれる企業で、薬の開発に貢献する卒業生も増えています。
また、ここ数年で明らかに増えているのが、再生医療の分野で活躍する卒業生ですね。昔は再生医療というと夢のような技術でしたが、今は肌から取り出した細胞を増やして移植するというような治療は実用化に至っています。将来的に皮膚だけでなく人間の臓器の再生も実現できればかなりのお金が動く業界になり得ますので、再生医療に取り組む病院や研究所はどんどん増えているんです。
かなり将来性もある分野だということですね。
はい。再生医療分野の世界市場規模は、昨年は5,300億円だったものが2050年には57兆円に達するという予測もあります。今(2024年)高校生の皆さんが40代50代という働き盛りのときに向けて、どんどん拡大していくと考えられます。
一方で、細胞を育てることができるという特殊な技術を持っている人材は不足しているというのが現状ですから、本校でしっかりと学んでいただければ、即戦力として重宝される人材になれると思いますよ。
全授業の60%が実験&実習。実践重視でバイオ技術者を育てるカリキュラム
カリキュラムの魅力や自慢のポイントがあれば教えてください。
本学科で大事にしていることは、1年生のうちから「実践で学ぶ」ということです。実験・実習の授業が全授業の60%を占めているので、楽しみながら知識や技術を身につけることができます。
実験を通して「どうしてこうなるんだろう」という疑問や興味を持つことが「もっと知りたい」という気持ちを生み、自ら学びを深めていくことにつながると考えているんです。
疑問や興味を引き出すような実験の事例として、学生さんから好評だったものがあれば教えていただけますか?
私が担当している生物の授業では消化器系、呼吸器系、神経系など人間の体のメカニズムについて学ぶのですが、まずはそのメカニズムを自分で体感できるような授業を取り入れています。
例えば脳や感覚器も含む神経系のメカニズムを学ぶ際には、味覚と感覚を再認識するために「ミラクルフルーツという果物を一口食べた後にレモンをかじるとレモンが甘く感じる」ということを実際に体感してもらいました。ミラクルフルーツに含まれている味覚修飾物質というものが人の味覚を狂わせるのですが、これを体感することによって、「脳の判断が必ずしも正しいとは限らない」ということがわかります。
本来生物学は暗記物が多い学問なので、ただ機械的に暗記するだけだと苦痛に感じる学生もいると思います。ですが、実験を通して興味を持った状態で勉強すれば、理解が深まりますし記憶にも残りやすいですよね。
実際に授業を受けている学生さんたちからはどのような声が聞こえてきますか?
とても楽しいという声が聞こえてきますよ。その成果もあって、授業の満足度がとても高くて退学者も少ないというのが本学科の自慢のポイントでもあります。
即戦力人材に成長!研究所や大学での1年以上にわたる現場実習
医療・医薬品バイオ研究学科のカリキュラムには、1年間以上の現場実習が含まれていると伺っています。具体的にどのような内容なのでしょうか?
1年生のうちにさまざまな機械や実験器具の使い方、細胞培養実習や遺伝子工学実習などの実験技術を身につけたうえで、2年生になると1年間以上の現場実習に行きます。あくまでも学生という立場なので、週に1日から2日程度は学校に来て資格のための勉強をするなどしていて、残りの日は現場実習に取り組むというようなイメージですね。
具体的には、国立がん研究センターや国立国際医療研究センターをはじめとする国立の医療系研究所、病院付属の研究所、大学の研究所などで、医療や薬の研究の業務に携わらせていただいています。業務の内容は研究所によってさまざまですが、「がんの研究をしたい」「再生医療に興味がある」など、それぞれの興味や目的を聞きながら、なるべく要望に合った実習先を提供できるようにしています。
1年以上となると、かなり実践的な力が身に付きそうですね。
はい。現場実習を終えて学校で卒業論文を書く頃には、知識として知っていただけの専門用語をしっかりと使いこなして研究に取り組めるようになっていますし、専門家とも会話が成り立つようなレベルになっています。
もちろん技術面もかなりレベルアップします。授業で触ったことがあるというレベルだったものが、何回も何回も現場で繰り返し使うことになりますので、応用的な使い方もできるようになりますよ。
医療現場さながらの充実した施設や設備も魅力
▲1年生のうちから、クリーンベンチで細胞を扱う作業をスムーズに行うための知識と技術を学んでいく
校内を歩いていると、本当にたくさんの実習室や機器があって驚きました。医療・医薬品バイオ研究学科の学生さんたちがよく使用する実習室があればご紹介いただけますか?
細胞を扱う作業は、主に「クリーンベンチ」のある無菌室で実施します。菌のない空間に手だけ入れて細胞を育てるという無菌操作技術を学んでいきます。
他の専門学校にはあまりないような機器があればご紹介いただけますか?
リアルタイムPCRと呼ばれる機器ですね。バイオ技術者を養成する学校がそもそも少ない中、普通のPCRは持っている学校は多いかと思いますが、リアルタイムPCRまで持っている専門学校はほぼないのではないかと思います。
通常のPCRが遺伝子の種類を調べることができるのに対して、リアルタイムPCRは、どの遺伝子のどの部分がどう働いているかというところまでを調べることができるので、「この病気の原因はこの遺伝子の動きによるものではないか」「病気の原因となるウイルスや細胞の検出」といった研究に使えるんです。
このような、病気の原因解明や薬の開発に関係する専門器具をそろえている学校は珍しいと思いますので、そういう分野に興味がある方にとっては魅力的なのではないでしょうか。
▲実験室には、リアルタイムPCRなどの機器が揃う。
医療機器のプロを育てる「臨床工学技士科」
続いて、臨床工学技士科にスポットを当てて、木曽先生にお話しをお伺いします。臨床工学技士科ではどのようなことを学べるのでしょうか?
臨床工学技士科は、医療機器の管理・操作・メンテナンスなどにより医療現場を支える臨床工学技士を養成するコースです。3年間で、臨床工学技士国家試験の合格に向けての学習を進めながら、さまざまな医療機器を使って実践的な技術を磨きます。
また、医療に関する幅広い知識を身につけることを目的として、他の学科と連携した授業も積極的に行っています。医療現場には医師や看護師、医療事務などさまざまな職種の方との連携が必要ですから、他職種の業務について理解し、広い視野を育むことがとても大切だと考えているんです。
3年生になると、医療現場での臨床実習があります。1か月間の実習で、実際の治療の現場に立ち会わせていただいたり、お手伝いをさせてもらったりします。
臨床工学技士としての技術をさらに磨くということはもちろんですが、看護師をはじめとしたさまざまな職種の方々がどのような働き方をしているのか、その中で自分たちがどのような立ち位置で働くのかということを学ぶよい機会になっていると思います。
病院やメーカーとの強い連携により、最新機器に触れる機会や就職の機会が充実
▲人工心肺装置、人工呼吸器、ECMO、血液浄化装置などたくさんの医療機器が完備された実習室
東京医薬看護専門学校の臨床工学技士科ならではの強みがあれば教えてください。
病院やメーカーさんと強い関係があることは、私たちの強みの1つだと思っています。
各メーカーさんの医療機器を増やすこともでき、本校には医療機器がかなり充実しています。メーカーさんから直接医療機器の取り扱い説明や機能説明などを行っていただくこともあります。充実した機器の確保によって授業で医療機器を扱う際に学生が手持ち無沙汰にならず授業の時間を有効に使うことが出来ています。
また、ここにあるもの以外に、メーカーを訪問して最新の機器を触らせてもらうような機会も設けています。やはりメーカーさんによって機器の基本的な構造に違いがあったり制御の仕方が違ったりしますので、それを学生のうちから実際に触って体感できるのは大きなメリットなのではないかと思います。
また最近では、訪問したメーカーさんから就職説明会をさせて欲しいというお声をいただくこともありますし、就職という観点からもメリットが生まれていると感じています。
こまめな声掛けなど誰一人置き去りにしないサポートを後押しに国家試験に臨む
学生さんにとって国家試験というと、その結果によっては人生の岐路に立たされるくらいの大きな壁なのかと思うのですが、国家試験合格に向けてサポートはどのようにされているのか、また進路指導に関しても重点的に取り組んでいることはありますか?
国家試験に合格して臨床工学技士免許を取得するためにこの学校に入学してきたわけですから、絶対に合格を手にしてほしいと日頃から強く思いながら学生対応を行っています。一人ひとり個性の違う学生をどうすれば合格に導くことができるのか?迷いなく学生指導、学生対応するためにはどうしたらよいのか?とても悩ましいところではありますが、私は学生のことをよく知ることがとても大事であると思っています。
そのためには日々の声かけ、表情の観察、態度などから異変を早く察知することが出来るよう、日々一人ひとりの学生との関りに時間を要しています。そういった、心構えで学生対応をすることで、学生との距離感や対応方法が分かり、また学生にとって居心地の良い環境づくりというものにも重きを置いています。それが、学生のモチベーションやいずれ迎える国家試験に対する意気込みなどに繋がっていると感じています。
「就職」については、学生の価値観や目標に適した就職先を提案できるよう、学生としっかりと対話の時間をつくるようにしています。
学生だけで就職活動を行うと、どうしても大企業や名の知れた病院に目が行きがちですが、「自分がどんな価値観を持っているのか」「何を目指したいのか」という根本の部分に目を向け、学生が納得して就職先を選択できるよう、面談など対話を大切に行うようにしています。
実は、離職率も比較的低いというデータもあるんです。卒業・就職がゴールではなくて、10年後とか20年後どうなりたいかというところが大事ですから、それを一緒に考えて全力でサポートしていきたいと思っています。
これまで、木曽先生が進路の支援をしてきた学生さんの中で印象的だった学生さんのエピソードがあれば教えてください。
学校に来る目的を見失ってしまって出席日数も取得単位もギリギリな状況で、就職活動にも出遅れてしまった学生がいました。それでも何とかしてしがみつきたいという気持ちを感じたので、国家試験合格まで個別にサポートしたうえで、しっかりと対話をして働く意味や目指す姿を一緒に明確にしました。
「スペシャリストではなくジェネラリストを目指したい」という意思も明確になったので、その時点で募集をしていた総合病院に応募して、採用にまで至りました。今でもその病院で仕事を続けていますよ。
「臨床工学技士国家試験の合格率は2年連続で100%」についてはどのようなサポートをされているのでしょうか?
「誰一人置き去りにしない」というポリシーのもと、学生一人ひとりを大切に育てています。日頃から、教員全員で学生一人ひとりにしっかり目を配り、こまめに声掛けをするように心がけていますので、相談しやすい雰囲気が作れていると思います。
強い希望を持って入学しても、途中でモチベーションが低下してしまったり、家庭の事情で壁にぶつかってしまったりする学生もいます。そんなときにしっかりとフォローしてあげたいというのが私たち教員の共通の想いです。
また、授業中にわからないことがあったらすぐに近くの人に聞けるように、6~7人のグループで席を固めて授業を行うというような工夫もしています。
授業外でも校内の医療機器は使用可!教員から個別指導を受ける学生も
▲おしゃれなラウンジには学生が集まって自主学習に取り組んだり談話したりしている。
授業以外の時間は、学生さんはどのように過ごしているのでしょうか?
授業のない時間の使い方はそれぞれですが、図書室やラウンジで自主学習をしている学生も多いですよ。校内の医療機器も自主学習のために使えますし、教員が個別に指導する場合もあります。もちろん、お友達と談笑してリフレッシュしている人もいますね。
中には、病院でアルバイト実習や病院・大学との共同研究に充てる学生もいます。臨床工学技士は医療機器のスペシャリストですが、その先にはさまざまなバックグラウンドを持つ患者さんがいます。学生のうちから学校以外の場所でさまざまな経験をしてさまざまな人たちと出会うことは、将来お仕事をするうえで必ず役に立つはずです。
医学と工学は決して簡単な分野ではなく、勉強を難しく感じることは当たり前だと思いますが、知らないことを知り、さまざまな経験を積むことがこの専門学校での「学び」であり、将来の土台になると考えています。
東京医薬看護専門学校からのメッセージ
▲インタビューに答えてくださった医療・医薬品バイオ研究学科の小林先生(左)と臨床工学技士科の木曽先生(右)
最後に、進路をご検討中の高校生や保護者の皆さんに向けてそれぞれメッセージをお願いします。
細胞や遺伝子を扱うことができるバイオ技術者という人材は、再生医療や生殖医療などの最先端医療がどんどん拡大していく時代において、非常に求められる人材です。
もし興味を持っていただけた方がいれば、これまで皆さんが学んできたことにかかわらずしっかりとサポートしていきますので、ぜひ一度遊びに来てください。
「学生に幸せになってほしい」というのが、私たちの願いです。
3年間を通して、臨床工学技士として活躍できる知識や技術はもちろんのこと、社会で生き抜いていく力をもしっかりと育てていきたいと思っています。全力でサポートしていきますので、進路に不安を抱えている方にもぜひ来ていただきたいですね。お待ちしています!
ありがとうございます。インタビューを通して、御校には知識や技術を身につけるための充実した環境と、しっかりとしたサポート体制があるということがとてもよく伝わってきました。
本日は、たくさんの貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!
東京医薬看護専門学校の卒業生・在校生の口コミ
ここでは、東京医薬看護専門学校に通う学生や卒業生の口コミをご紹介します。
今回ご紹介した学科に限らず、「卒業後すぐに役立つ実践的な技術が身につく」「就職に強い」という口コミが多数見られました。先生方の手厚いサポートにも満足している学生が多いようです。
東京医薬看護専門学校へのお問い合わせ
運営 | 学校法人滋慶学園 東京医薬看護専門学校 |
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