ぽてんをご覧の皆様に、注目の学校をご紹介する本企画。今回ご紹介するのは、東京都東村山市にある私立の中高一貫校「明法中学・高等学校」です。
1964年の創立から60周年を迎える同校は、広い敷地と充実の設備の中で行われる少人数制教育が特徴です。10年以上の歴史を持つGSP(グローバル教育プログラム)、理数教育のサイエンスGE(グローバルエンデバーズ)など、独自の教育を通じてグローバルに活躍できる人材の育成を目指しています。
もともと男子校として創立された同校ですが、2019年度に高校を共学化、さらに2025年度からは中学校の共学化も予定しており、さらなる多様性の実現を目指しています。今回はそんな明法中学・高等学校の教育理念やカリキュラムの特徴について、校長の岡田先生、教頭の新井先生にお話を伺いました。
この記事の目次
生徒の“創造的精神”を育む明法中学・高等学校の教育方針
御校の建学の精神や、それに基づく教育方針を教えてください。
「この世に生を受けたことに感謝し、知性を磨き、よい習慣を身につけ、社会のため、国家のため、人類のために役立ち、世界平和に貢献できる人間を育成する」というのが明法中学・高等学校の建学の精神です。その中でも特に本校では「感謝の心」を大切にしています。多様な個性を尊重し、高い共感力を持つ生徒を育成していくためにも、本校の教育を通じて「感謝の心」を培っていけたらと考えています。
この建学の精神のもと、教育方針として重点を置いているのが「創造的精神」です。これは1964年の創立当初から掲げているキーワードなのですが、自ら課題を見出して解決する力が求められる今の時代だからこそ、一層必要になっているものだと考えます。
「創造的精神」とは具体的にどのようなことを意味するのですか?
例えば自分の好きなことを突き詰めている子どもをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。そういう子は、大人顔負けの知識を持っていて、そしてそれをいきいきと周囲に伝えるコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力を備えていますよね。
受動的に学ぶのではなく、自身の興味・関心を原動力に主体的に学んでいくその姿勢が、創造的精神を育んでいきます。そんな豊かな創造性の源泉となる生徒の興味・関心を引き出していくためにも、本校では生徒にさまざまな経験を提供していきたいと思っています。
共学化に合わせ、中学1年生からグローバル教育・理数教育を学ぶ新カリキュラムを導入
御校は2025年度から中学校が共学化されるとのことですが、それに伴って教育プログラムの変更なども予定されているのでしょうか。
本校では従来から、中学校でロボットプログラミングなど先進的な理数教育を行う「サイエンスGE」、高校でカナダへのターム留学を中心としたグローバル教育を行う「GSP」のプログラムを推進してきました。中学校を共学化するタイミングに合わせ、このGSP、サイエンスGEの両方を中学校から推進していきたいと考えています。
具体的にはGSPの基礎を学ぶ「GSP foundation」のコースを中学校に新設し、中学1年生でGSP、サイエンスGEの基礎的な内容を学ぶ新カリキュラムを導入しました。2025年度の共学化に向けて万全の受け入れ体制を整えるため、この新カリキュラムは今年度から前倒しで実施しています。
また高等学校では2019年度から既に共学化を行っています。すでに3回女子卒業生を送り出している実績を踏まえて中学校の共学化を行うため、その点でも安心して女子生徒の方に入学いただける環境が整っているのではないかと考えています。
▲既に共学化している高校の実績を踏まえ、中学校も万全の受け入れ体制を準備
中学校から実践的な英語力を身につけるグローバル教育プログラム『GSP』
続いてグローバル教育のテーマについて伺います。まずは明法中学・高等学校において特徴であるGSPの概要を教えてください。
本校のGSPは、来年で15周年を迎えるオリジナルプログラムです。高校のGSPは、入学時点で英検準2級程度の英語力を持っていることを目安に、一定の基準をクリアした生徒たちを対象としています。建学の精神の中にある「世界平和に貢献する人間の育成」のため、カナダへのターム留学をはじめ、語学力にとどまらずグローバルに活躍していくためのさまざまなスキルを身に付けていくための学びを提供しています。
そして2025年度からの中学校が共学化されるのに合わせて新設したのが、先ほどもお話した中学校の「GSP foundation」です。高校のGSPに向けた基礎を学ぶプログラムとして、英語を使ってさまざまな分野を学ぶ機会を提供していきます。
明法中学校の「GSP foundation」では、具体的にどのような内容を行うのでしょうか。
「GSP foundation」では高校のGSPの基盤づくりとして、単に英語を学ぶだけでなく「英語で物事を考え発信する力」を身に付けていくことを目指しています。4技能をしっかりと高めながら、ネイティブ教員とのコミュニケーションを通じて発音や文法だけでなく、ジェスチャーやリアクションも含めた英語での表現方法を学んでいきます。
また特別講座として「English Shower Camp」など集中的に英語漬けの生活を送る機会を設けているのも特徴です。中学3年次には3年間の学びの集大成として、福島県にあるBritish Hillsでの宿泊研修に参加します。そこで英語でコミュニケーションを取る楽しさ、海外の文化を体感し、高校1年生のターム留学の素地を養っていきます。
最終的にどの程度の語学力を身につけることを目指しているのでしょうか。
高校のGSPコースは英検準2級以上が参加条件のため、中学校でも3年次修了までに英検準2級レベルの語学力を目指します。「GSP foundation」の設置以前にも、明法中学校では準2級はもちろん2級や準1級の取得者も多く生まれているため、これまでの英語教育の成果を活かしてさらに発展的な学びにつなげていきたいと考えています。
高校のGSPではカナダへのターム留学等を通じ、英語力・グローバル感覚を高める
▲高校1年生のターム留学の様子
高校のGSPの特徴もご紹介いただけますか?
高校のGSPには大きく「ターム留学」と、オリジナル教科「21世紀」の2軸があります。
ターム留学は高校1年生の3学期に、最長3か月カナダの学校に留学をするものです。原則として1校に1人ずつ派遣し、ホームステイをしながら現地の学校に通う中で実践的な英語力を身に付け、さらに異文化に触れることで広い視野と国際感覚を培っていきます。
ターム留学は、留学に向けた事前学習、帰国後の事後学習をしっかりと行っているのも特徴です。事前学習として毎週1コマの特別授業を設け、留学先での日常会話やトラブル時の対応方法を学び、実践的なコミュニケーション力を養成しています。留学後の事後学習としては、英語プレゼンテーションコンテスト形式での留学体験の報告会、留学報告書の作成を通じて、1年間にわたる留学プログラムの振り返りを行ってもらっています。
ターム留学を通じて、生徒の皆さんにはどのよう変化や成長がみられますか?
留学報告会の場で生徒が英語の発表を行っている姿をみると、成長を感じて嬉しくなりますね。出発前は不安でいっぱいだった生徒たちが、帰国後に「また行きたい」「将来は本格的に留学したい」と話してくれることも多く、プログラムの価値を実感しています。
英語をネイティブ言語とする国特有の、簡潔な表現やボディーランゲージといった日本的なものとはまた違う表現力が身に付いているのも感じますね。海外ならではの価値観に触れ、日本の良さを改めて実感する生徒も多いようです。
高校のGSPのもう1つの軸であるオリジナル教科「21世紀」はどのような内容なのでしょうか。
「21世紀」は高校2、3年生の選択科目として実施しているGSPのプログラムです。「21世紀」はオールイングリッシュで授業を行うため、ターム留学を経て英語力を身に付け、グローバルな学びへのモチベーションを高めた生徒が主に参加しています。
「21世紀」の目的は、高い英語力からさらに発展して、クリティカルシンキング・クリエイティブシンキングなどの「21世紀型スキル」を身に付けていくことです。そのため、SDGsをテーマとした探究学習を中心に、生徒が主体的に議論や協働を行うアクティブ・ラーニングを行い、英語力だけでなく問題解決力などの力を高めています。
コンテスト出場を目指しプログラミングを行う中学校の『サイエンスGE』
▲夢中になって取り組む生徒が多いというロボットプログラミング
続いて理数教育のテーマについて伺います。明法中学校で実施しているサイエンスGEの概要を教えていただけますか?
サイエンスGEは、2014年に「真のグローバル教育」の実現を目指して導入した本校オリジナルのSTREAM教育です。ロボットプログラミングを中心に、生徒の科学的思考力の育成を行っています。
元々は中学2、3年生の希望者を対象とした週2回の課外授業という位置づけで実施していましたが、新カリキュラムの再編によって、今年度からは中学1年生の全員がプログラミング授業を体験し、そこから興味を持った生徒が中学2年生以降にサイエンスGEコースを選択する形に変わりました。サイエンスGEでは最終的にスペースロボットコンテストやロボカップジュニアといったコンテストへの出場を目指しています。
ロボットプログラミングに取り組む生徒さんの様子はいかがですか?
生徒たちは皆、ロボットをいじりながら「ああでもない、こうでもない」と本当に楽しそうに取り組んでいます。特に理系分野に興味がある生徒たちは目をキラキラさせていますね。
中には放課後も残って熱心に取り組む生徒もいます。コンテスト前になると、夜遅くまで、あるいは休日も学校に来て準備する生徒もいるんですよ。
専門の実験室と充実の実験器具や教材で「本物に触れる」理科教育を推進
▲充実の設備で生徒一人ひとりが主体的に参加する理科実験
御校は理科教育を推進する上での設備面も充実していると伺ったのですが、その点について具体的に教えていただけますか?
本校の理科教育は、充実の設備を活かした「本物に触れる教育」が特徴です。それを象徴するのが、創立当時からある理科専門棟です。古いながらも伝統あるこの理科専門棟には、階段状の講義室や、物理・化学・生物・地学の専門実験室が揃っています。
観察用の顕微鏡は単眼顕微鏡や双眼顕微鏡を生徒数以上に用意し、さらに岩石標本などの教材も豊富に取り揃え、生徒たちが直接手に取って観察できるようになっています。これらの施設・設備を活用して、生徒たちに本物の科学に触れる機会を多く提供しています。
さらに少人数制の強みを活かし、一人ひとりが実験に主体的に参加できるのも魅力です。グループ実験の際にもただ見ているだけでの生徒はおらず、全員が役割を持って取り組んでいます。
中学3年間を通じて学ぶ『器楽』で生徒の感性を育む
▲中学3年間取り組む器楽の授業
その他にも、御校ならではの特徴的な教育プログラムがあればご紹介ください。
特徴的なのが、音楽専門棟で中学校3年間を通じて行う「器楽」です。管楽器なら金管楽器や木管楽器、弦楽器ならバイオリンやビオラ、チェロ、コントラバスなどの中から生徒が1つ楽器を選び、週に1回プロの演奏家から演奏を学んでいます。
生徒さんが楽器演奏を披露する場もあるのでしょうか?
中学校では秋の文化祭「明法祭」で毎年披露します。保護者の方も演奏を聞くことができるのですが、皆さん本当に感動されていますね。入学時には全く楽器を触ったことがなかった生徒が立派な演奏を披露する姿を見て、成長を実感されるようです。
器楽を通じて、生徒の皆さんはどのような学びを得ることができると思われますか?
音楽の楽しさを実感することで、豊かな感性が養われていると思います。また皆で1つの音楽をつくり上げる過程で協調性や表現力を身につけることができ、人間的成長にもつながっているのではないでしょうか。
実は私自身、3年ほど前からテナーサックスを始めたんです。今では吹奏楽のメンバーと一緒に文化祭などの場で演奏を披露しています。こうして演奏を通じて教員と生徒がつながることができるのも音楽の良さですね。
▲皆で楽器を演奏する経験を通じて豊かな感性を養う
明法中学・高等学校からのメッセージ
▲インタビューにご対応いただいた岡田校長(左)と新井教頭(右)
最後に、明法中学・高等学校の学校生活に興味を持った保護者やお子様へのメッセージをお願いします。
本校の大きな強みに、広大な敷地の中で行う伝統的な少人数制教育があります。教員は生徒と近い距離間で寄り添い、成長を後押ししています。ぜひ明法中学・高等学校に入学し、さまざまな経験を通じて自分のやりたいことを見つけ、その実現に向けてチャレンジしていっていただけたらと思います。
岡田先生、新井先生、本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました!
明法中学・高等学校の進学実績
明法高等学校では少人数制のメリットを活かしてきめ細かな進路指導を実施しており、2023年度では現役合格率約95%となっています。2023年度の合格実績をみると、東京学芸大学をはじめとする国公立大学や、早稲田大学、東京理科大学といった最難関私立大学への合格者を輩出しています。
一般入試に加えて学校推薦型選抜、総合型選抜など多様な形で進路が実現しており、高校の共学化に伴い東京女子大学や昭和女子大学といった女子大学の指定校推薦枠も徐々に増えてきているのも特徴です。
■明法高等学校の進学実績(公式サイト)
https://www.meiho.ed.jp/career/
明法中学・高等学校の卒業生・保護者・在校生の口コミ
ここでは明法中学・高等学校に寄せられた口コミを一部抜粋して紹介します。
全体的に、充実の施設・設備や、自由・自律的な雰囲気、少人数制によるきめ細かな指導への高評価の声が多く聞かれました。また海外留学や器楽教育など、同校ならではの多彩な教育プログラムの魅力を挙げる声が多いのも印象的です。
明法中学・高等学校へのお問い合わせ
運営 | 学校法人明法学院 |
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住所 | 東京都東村山市富士見町2丁目4-12 |
電話番号 | 042-393-5611 |
公式ページ | https://www.meiho.ed.jp/ |
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