ぽてん読者の皆さまに、特色ある教育プログラムで注目を集める学校を紹介するこの企画。今回紹介するのは兵庫県尼崎市にある私立中高一貫校「園田学園中学校・高等学校」です。
海外研修や日本の伝統文化を学ぶ授業に宿泊学習など、体験型の学習に力を入れている同校。さまざまな体験を通して生徒たちの興味を広げ、好きなことを伸ばしていきます。そんな同校は、2026年度から共学化が決定しています。
今回は、同校のグローバル教育や体験型教育にスポットをあてて、校長の厚田先生と中学主任の川邊先生にその特色や得られる学びについてお話を伺いました。
この記事の目次
生き生きと活力のある生徒を育てる園田学園中学校・高等学校
まずは、園田学園中学校・高等学校の設立の経緯や建学の精神について教えてください。
本校は1938年に設立された学校で、建学の精神は「捨我精進」です。これには、「相手の身になって考え、誠実に行動してほしい。そして仲間と協力して幸せな社会を作るために努力できる人になってほしい」という想いが込められています。
この建学の精神を礎にして、本校が掲げている校訓は「明るく、清く、正しく、強く」です。健康で明るく活き活きとした活力ある生徒を育てたい、生徒1人ひとりの個性を伸ばし夢の実現をサポートしたいという想いを持って、日々の教育活動を行っています。
園田学園中学校・高等学校のグローバル教育
▲授業の風景。ICT教育を推進しており、生徒は1人1台タブレットを持って学習に取り組んでいる。
中学・高校ともにグローバル教育に力を入れている同校。ICTを活用して英作文の添削などを効率化し、その分話す力・聞く力を強化しています。
例えば中学では週に1回英検対策講座の授業を行ったり、朝のホームルームの時間を活用してALTによる英語レッスンを行うなど、毎日、生きた英語に触れる時間を設けています。このように実践的な英語力を日常的に身につけた上で、中学3年生・高校2年生では海外研修も実施されています。
ここからは、同校のグローバル教育の中でも中学3年生で行くニュージーランド研修、高校2年生で行く海外への修学旅行について紹介します。
中学:ニュージーランド研修で、共同生活や現地の小学生との交流で話す力をつける
園田学園中学校・高等学校では、グローバル教育に力を入れているとお聞きしています。具体的なカリキュラムについてご紹介いただけますか?
中学校では3年間を通じて、生きた英語に触れ、話す力、聞く力を養い実践力を高めてきました。その集大成として中学3年生の11月にはニュージーランドに行き、10日間の海外研修を行います。国立カンタベリー大学の敷地内 に「そのだクライストチャーチキャンパス(SCC)」という本校の海外キャンパスがあるのですが、そこの寮に滞在して異文化に触れる体験をするんです。寮で共同生活を送りながらほかの寮生との交流もできますので、海外旅行ではできないような体験ができます。
ちなみに、キャンパスがあるクライストチャーチは、”ガーデンシティ”とも呼ばれるくらい咲き乱れる花が美しい都市です。11月にはちょうどキャンパス内の庭園も満開になっていて、素晴らしい環境の中で学ぶことができます。
ニュージーランドの海外研修では、滞在期間中にどのようなプログラムが用意されているのでしょうか?
現地の小学校を訪問して文化交流を行ったり、姉妹校であるVilla Maria College( ヴィラ・マリア・ カレッジ)に行って、そこの生徒と2人1組になって一緒に授業を受けたりなど、さまざまな年代の方と交流し、実践的に英語を使う機会を設けています。
▲ニュージーランド研修では姉妹校であるVilla Maria Collegeを訪れて、同世代の学生たちとの交流も楽しんでいる。
年下の小学生との交流の機会を設けていることには何か目的があるのでしょうか?
中・高校生にもなるとニュージーランドでは大人びている方が多いですし、交流する際にも引っ張ってもらうことが多いんですよね。ですが、小学校ではそうはいきません。自分たちが頭と体をフルに使ってコミュニケーションを取りにいかない限りは、子ども達が退屈してしまいます。その積極的な姿勢こそが大きな学びにつながると思い、小学校にお願いして交流の機会を設けているんです。
具体的にどのようなことをやっているのですか?
まずはとにかく盛り上げなければならないので、日本の歌を歌ったり、体育祭で自分たちが創作したダンスを披露したりするところからはじめます。
盛り上がったところで、日本の遊びや伝統文化を紹介して交流します。日本伝統の遊びには、かるたやけん玉、竹とんぼなどいろいろありますが、特に折り紙を教えると喜ばれますね。新聞紙で折った兜をかぶって、強そうなポーズをして写真を撮っている楽しそうな様子も見られました。
伝統文化では着付けが人気で、浴衣を着せてあげるととても喜ばれます。書道も興味を集めるので、「ダニエルという名前にこんな漢字をあてると素敵な意味になるよ」といった具合で名前を色紙に書いてあげるなどして、とても盛り上がっていました。
本校では、マナーや礼儀を学ぶことを目的として、中1のときから 茶道、華道、着付け、書の作法などの日本の伝統文化に触れる体験学習の機会を設けているんです。ニュージーランド研修に行くときには、着付けや書の作法、マナーはできるようになっています。
他にも、ニュージーランド研修に向けて、何か準備はするのでしょうか?
4月から準備を始めて、11月の出発までに15回ほど研修に向けた授業を行っています。
具体的には、1人1台所有しているタブレットを使って、ニュージーランドの文化や学校、自然、先住民族など、自分が興味があることを調べます。そしてそれをほかの生徒の前で発表するなどしてモチベーションを高めていきます。
また、ALTの先生との授業では、現地でレストランや買い物に行くことを想定した英会話のレッスンも行っています。
実際に行ってみて、10日間でどのような学びを得て帰ってくるのでしょうか?
「文法が正しくなかったとしても、喋ってみたら伝わった」という経験が、英語がもっと好きになるきっかけになったり、もっと勉強しようというモチベーションにつながったりしているようです。
ですが、何が一番の学びだったかは、生徒それぞれで異なるのではないかと思います。例えばニュージーランドのバリアフリーの状況を見て福祉問題に興味を抱くようになった生徒もいます。
それぞれが10日間で自分なりの気付きや学びを得て帰ってきていると感じますよ。
高校:修学旅行で海外へ。その他、希望者制でニュージーランドへの留学制度も
高校でも海外へ行く機会はあるのでしょうか?
高2の修学旅行では海外に行きます。年度により行き先は変わりますが、2023年度はグアムへ行きました。中学の研修旅行同様、現地の人との交流もあり、これまでに培った英語力を発揮できます。
その他、希望制ですがニュージーランドへの留学制度もあります。こちらは学年に関係なく参加できるもので、3週間の短期留学と5ヶ月の中期留学があります。どちらも現地の高校や大学を訪れ、現地の生徒と一緒に過ごします。
園田学園中学校・高等学校の心を磨く教育
心を磨く教育にも力を入れている園田学園中学校・高等学校。キャリア教育の一環で、将来の糧となる体験型学習に力を入れ、着付けや書の作法、マナーなどを学びます。
ここからは、キャリア教育の一環として実施されている体験型学習の中でも宿泊学習の取り組みを紹介します。
思いやりや協調性を育む、宿泊学習&農村体験
園田学園中学校・高等学校ならではの学習プログラムがあれば教えてください。
特徴的なものとしては、各学年で実施している宿泊学習があります。中3のニュージーランド研修のほかにも、中1・中2それぞれで国内での宿泊学習の機会を設けているんです。
中1では、入学したばかりの時期に2泊3日の合宿研修を行います。自然の中での集団生活を通してお互いのことを知ることができますし、協調性を育むよい機会にもなっています。
中2では、滋賀県で2泊3日の農村体験を行います。農業を営んでいる各御家庭に3人ずつに分かれてホームステイし、農家の方々の生活やお仕事を体験します。朝起きて農家の方が収穫に行くとなれば一緒に行きますし、散歩に行くこともあります。もちろんご飯もご馳走してもらうのではなく一緒に作ります。収穫したものを天ぷらにしたり、その地域ならではのお菓子を作ったりして食べるんです。
とても視野が広がる体験になりそうですね。
そうですね。こうした体験を経て、自分たちが食べている農作物への感謝の気持ちが生まれているように感じます。最近は野菜があまり食べられないなど偏食の子も多いのですが、農家の方々の想いを知ったら食べることができたという子も多いです。
また、農家のおじいちゃんやおばあちゃんたちに孫のように接してもらって温もりを感じることで、優しい気持ちが育まれていると思います。帰りのバスに乗る際には涙を流して別れを惜しんでいる姿も見られます。
園田学園中学校・高等学校のスクールライフ
園田学園中学校・高等学校では、中学と高校で大きく雰囲気が変わります。中学校は1学年30人ほどの環境で、少人数教育が行われています。一方高校は、高校からの入学も受け入れており1学年250人以上。
ここからは、そんな同校の学校生活の様子、校風について紹介します。
中学:1学年約30人。少人数ならではのサポートの手厚さが学力を伸ばす
園田学園中学校の校風について教えていただけますか?
中学校は、1学年につき生徒数が十数名ほどというアットホームな環境ですので、生徒たちは家族のように和気あいあいと過ごしています。
少人数だからできる手厚いサポートが強みで、習熟度別の授業で生徒の理解力に合わせた授業をしています。また、放課後には補習講座や検定対策講座をするなど、さらに学力を伸ばしたい生徒のサポートもしています。
その他「ファミリー活動」と呼ばれる学年を超えた活動にも力を入れていて、他学年の生徒との交流の機会も多いです。例えば体育祭や文化祭では学年を超えて1つの班を作り、上級生がリーダーシップをとって下級生を指導しながら競技を行ったり劇の準備をしたりしています。
学校全体が文武両道。スポーツに強く、県総体では女子の部3連覇!
▲活力ある人材の育成を目指して、スポーツにも力を入れている。
園田学園高等学校の校風はいかがですか?
活力がある生徒が多く、スポーツも盛んです。高校は、「特別進学コース」「進学コース」「総合コース」と3つのコースを選べるようになっているのですが、国公立大学や難関私立大学を目指す「特別進学コース」の生徒も部活動に励み、文武両道の生徒が多いです。
高等学校は、兵庫県の高校総体で学校対抗女子の部(※)3連覇を果たしています。2024年度も、6月に発表された中間報告の時点では暫定の1位となっています。
(※)さまざま種目の結果を点数化し、学校対抗で総合得点を競う。
個別の競技では、バトミントンの団体・シングルス・ダブルスでそれぞれ全国大会出場、陸上競技で4種目3名が全国大会出場を決めています。
園田学園中学校・高等学校からのメッセージ
▲インタビューに答えてくださった厚田校長(左)と川邊先生(右)
最後に、園田学園中学校・高等学校に興味を持たれた方に向けてメッセージをお願いします。
本校では、子ども達が成長できるようなさまざまな経験の機会を用意しています。体験を通して自分が好きなものを見つけて欲しいと思いますし、同時に他者が好きなことも聞いて受け入れられるような人になってほしいと願っています。
お互いの好きなことから次は何が生み出せるかを考え、新しい発想ができる力を育てていきたいと思っていますので、興味を持たれた方はぜひ一度足を運んでいただければと思います。
本校は、「明るく、清く、正しく、強く」という校訓にもあるように、元気で明るく、そして将来に向けて積極的に行動するような生徒を育てていくことを目指しています。
教師が生徒に寄り添って丁寧に指導しながら子ども達の成長をサポートしていきますので、ぜひ一度学校説明会にお越しいただいて、本校の魅力を感じていただけたら幸いです。
ありがとうございます。インタビューを通して、さまざまな体験の機会が生徒たちに活力を与えているということがよくわかりました。
本日はたくさんの貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!
園田学園中学校・高等学校の進学実績
園田学園中学校・高等学校には、園田学園大学(園田学園女子大学/園田学園女子大学 短期大学部)(※)への内部進学制度があり、毎年多くの生徒が合格を果たしています。2023年度の実績では、園田学園女子大学の合格者は58名、園田学園女子大学 短期大学部の合格者は36名でした。
(※)園田学園女子大学は2025年度から順次共学化へ移行し、園田学園大学へと名称変更する予定。短期大学部は今年度より募集停止している。
関西近郊を中心とした外部の大学に挑戦する生徒も多く、2023年度の実績を見ると関西学院大学3名・関西大学1名・立命館大学2名など、難関私立大学に合格している生徒もいます。
また、指定校推薦枠が多いのも特徴で、4年生大学で約45校・約261名以上、短期大学で約17校・約85名以上の推薦枠があります(2023年度実績)。
■園田学園中学校・高等学校の進学実績(公式サイト)
https://www.sonodagakuen.ed.jp/entrance-exam-guide/passing/
園田学園中学校・高等学校に通う生徒の保護者口コミ
ここでは、園田学園中学校・高等学校に通う生徒の保護者の口コミをご紹介します。
勉強にもスポーツにも積極的に取り組む生徒の姿勢が伝わってきました!
園田学園中学校・高等学校へのお問い合わせ
運営 | 学校法人 園田学園 |
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住所 | 兵庫県尼崎市南塚口町1丁目24番16号 |
電話番号 | 06-6428-2242 |
問い合わせ先 | https://www.sonodagakuen.ed.jp/contact/ |
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