「関東学院中学校・高等学校」の生徒を夢中にさせる独自の探究学習や理数教育とは|中高一貫校

特色ある教育や校風で注目を浴びる学校を紹介する本企画。今回は、神奈川県横浜市にある中高一貫校及び共学校の「関東学院中学校・高等学校」を紹介します。

キリスト教プロテスタントの精神を重んじる同校では、独自性のある探究学習を通して、SDGsの課題解決に取り組んでいます。また、実験の時間を重んじる理数教育により、非常に高度な実験環境も用意されています。

今回は、そんな同校の校訓、探究学習や理数教育の特色、学校生活の様子などについて、入試広報部長の山本先生にお話を伺いました。

聖書に基づく校訓に関東学院中学校・高等学校創設者の”思い”が滲む

関東学院中学校・高等学校の中学1年生が参加する修養会の様子

▲修養会でゲームを楽しむ中学1年生たち

編集部

まず初めに、関東学院中学校・高等学校の校訓について教えていただけますか?

山本先生

本校の校訓には「人になれ奉仕せよ」という言葉を掲げています。1919年の創設時に初代校長が残した言葉を、140年もの月日を経て大切に受け継いできました。

「人になれ」とは言うものの、そもそも人じゃないかと、生徒に指摘されることがあります。キリスト教の学校である本校では、校訓の「人」は文字通りの「人」ではなく、「聖書に基づいた人」と位置づけているのです。つまり、「人になれ」という言葉には、「神様の求める人を追い求めなさい」という意味が込められているというわけです。

こうして本校は、聖書に基づいたこの言葉の意味を考え、実践する中学・高校の6年間の学校生活を用意しています。しかし、この言葉の価値が生徒自身の中に根付いていくのは、本校を卒業して大学生や社会人になってからという場合も多いにあります。

実際に生徒たちが社会の一部になってこそ、6年間蓄積し続けた学びが開花するのだと感じています。

「横浜学 横浜ロゲイニング」とは?関東学院中学校・高等学校独自の探究学習

関東学院中学校・高等学校の校舎

関東学院中学校・高等学校は、オリジナリティのある探究学習が魅力です。ここでは、「横浜学 横浜ロゲイニング」という課外授業とSDGsに関する取り組みについて伺いました。

「横浜学 横浜ロゲイニング」で日常に隠れた課題を見つける

関東学院高等学校の2年生が制作した「はまロゲ」のマップ

▲関東学院高等学校の2年生が制作した「はまロゲ」のマップ

編集部

続いて、御校の探究学習の特色についてお教えいただけますか?

山本先生

本校では、「探究学習」が高校のカリキュラムとして組み込まれる2年ほど前から、プログラムの内容を積極的に練りつつ実施し始めていました。

その中で、探究学習をスタートさせた当初から「横浜学 横浜ロゲイニング(通称はまロゲ)」という取り組みを続けています。ロゲイニングとは、地図やコンパスを使い、山野に設置されたチェックポイントを巡り、得点を競う野外スポーツの一つです。

このアプローチを取り入れたのが「はまロゲ」です。SDGsの「視点」と共に実際に横浜の街を歩き、自ら街の課題を見つけ、ロゲイニングマップを制作していきます。一つのグループがマッピングした多数ある場所のうち、他のグループがどれくらいの数の場所に辿り着けるかといったゲームも楽しみつつ、街に隠れた課題と向き合っています。

編集部

ロゲイニングを取り入れることで、生徒のみなさんにどのような変化がありましたか?

山本先生

本校からごく近い地域で行うこの取り組みは、生徒たちにとってこれまで気にも留めなかった当たり前の街の風景がとても新鮮に見えてくる機会になっているようです。

編集部

ロゲイニングは色々なシーンに活用できそうですね。

山本先生

はい。高校生たちがロゲイニングを通して良い学びを得られていたため、現在は中学生のプログラムに落とし込み、同様のアプローチで実践しています。

例えば中学2年生には、京都に本社を構えている京セラさんや任天堂さんなどの有名な企業を訪れる機会を作っています。どのような課題を抱え、どのような工夫をされているのかなど、実際に企業の方からお話を聞くことで、中学生の生徒たちが社会的な視点や好奇心を持つきっかけになっているんです。

本校は中高一貫校ですから、このように教育カリキュラムでも中高で繋がりが生まれることに意識しているんですね。中学校では、やったことがないことをやりたがる人の育成に、高校ではやりたいことを追求する人の育成に焦点を当てています。

自治体や企業とタッグを組みSDGsの課題を向き合う

編集部

その他、SDGsの取り組みに関して、具体的にお教えいただけますか?

山本先生

高校1年生の希望者を対象に、横浜の企業や団体の方々とタイアップしてSDGsのPR動画の作成にも取り組んでいます。企業や団体がどのようなSDGsの取り組みをしているのか、生徒自ら現場に赴き、インタビューを実施します。PR動画の作成を通して、生徒たちのSDGsの理解が深まるだけでなく、その企業の取り組みも学ぶことができるため、奥行きのある探究学習が実現できていますよ。

また、2024年の探究学習では、SDGsツアーを組み、SDGsの活動が盛んな14ヶ所の現場に足を運ぶことを計画しています

編集部

これまでにどのような団体や場所を訪れたのでしょうか?

山本先生

日本で初めてゼロ・ウェイスト宣言をした徳島県上勝町の「ゼロ・ウェイスト運動」の自治体や、長崎県平戸市の隠れキリシタンの施設、映画『下町ロケット』の題材になった北海道赤平市の企業「植松電機」など、九州から北海道までさまざまな団体や企業、施設にこれから訪れます。

どのような人たちがSDGsの取り組みと向き合っているのかを実際に目にした生徒たちは、教室の授業では得られない感動や理解を深めています。私たちからも、彼らの気持ちが大きく動いていることを直に感じられるのが嬉しいですね。

編集部

生徒のみなさんからは、どのような感想がありましたか?

山本先生

「ゼロ・ウェイスト運動」の上勝町のゴミステーションを訪れた際、全然ゴミの臭いがしなかったという感想がありました。このように生徒たちは、実際にその場所に訪れないとわからないことを、繊細に察知しているんですね。現地に足を運ぶことの重要性を、私たち教員も気づかせてもらえる良い経験になっていますよ。

顕微鏡は1人1台!中学生から充実した実験環境が用意された理数教育

関東学院中学校・高等学校の実験の授業

▲5つの実験室を設け、特色である充実した実験環境を実現させている

編集部

御校が力を入れている理数教育についてもお教えいただけますか?

山本先生

本校の教育ビジョンとして、「STREAM」という言葉を掲げています。これは「STEAM教育(※)」にキリスト教のR(Religion)をさらに足したものです。
※STEAM教育:科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)、芸術・リベラルアーツ(Art)の分野を総合的に学ぶ教育のこと。

この6つの学びの中で、特に実験を重要視しているのが本校の特色です。15年前に建設した本校の中学校舎には、物理・化学・生物・地学それぞれ一つずつの専用実験室と、実験が重なった場合に活用できる総合理科室という実験室の、合計5つの実験室を設けているんです。

理数教育では、カリキュラム自体も実験中心に組み立てています。例えば、中学1年生では、1~2週間に1度は実験を行い、実験から学びを得る視点を養います。また、生徒1人に対し1台の顕微鏡を用意するなど、実験のための設備も充実させていますよ。

関東学院中学校・高等学校の実験の顕微鏡を使用した授業

▲1人1台顕微鏡が用意されているので、待ち時間なく集中して学ぶことができる

編集部

実験室や設備を充実することで、どのようなメリットがありますか?

山本先生

生徒全体の実験スキルを高められていますね。例えば、グループで1台の顕微鏡を扱うとなると、ピント合わせなど、グループで得意な子がどうしても率先して行ってしまうという状況が生まれてしまうかと思います。

一方で本校では、中学1年生の段階から実験器具の扱い方を丁寧に教える時間を取るので、1人で実験を進められるようになります。また、実験の授業では担当する先生の他に、助手の先生が2人つきます。このように、生徒たちの学習の遅れを防ぎ、安全面にも気を配りながら個別に対応ができるので、質の良い実験環境を作ることができているんです。

中学生のうちに実験の基礎を身に付けたあと、高校生で始まる生物の授業では、理系大学で行われているゼミのような授業を行います。自分の興味のある分野において、仮説を証明していく実験に取り組んでいくことができるのです。理科の実験に関しては、このように非常にレベルの高い授業ができていると思っています。

編集部

特に印象的な実験についてお教えいただけますか?

山本先生

一番驚いたのは、放射線を可視化する実験ですね。修学旅行として広島と長崎に訪れることから、原爆について学ぶ時間を作っています。その学びの一環で、放射線とは一体どういうものなのか、微細な放射能を実際に見る実験が行われました。生徒たちが非常に高度な実験に取り組んでいて大変感心しましたね。

編集部

生徒のみなさんからは、実験の授業に関してどのような反響がありますか?

山本先生

こんなに不思議なことがあるんだと、素直に実験に興味を持ってくれる子が非常に多いですね。こういう生徒たちを見ていると、本校の実験授業は、理科が自然に好きになっていく内容なんだなと思います。最近では、理系を選択する女子生徒も徐々に増えてきていますね。

編集部

生徒全体の文系理系の比率はどのような状況でしょうか?

山本先生

本校では、高校2年生で文系と理系の選択をします。コロナ以前だと、文理の比率はおよそ7対3で文系の方が多かったのですが、最近ですと5対5に近づいている印象です。工学系の学部に進む生徒も増えてきていますね。実験を充実させるなど、理数教育に力をいれている取り組みの効果が現れてきているのかなと思います。

また、実績としてはこれからな部分もあるのですが、最近では医学科を志望する生徒も増えてきています。

編集部

その他、理数教育で力を入れている取り組みについてお教えいただけますか?

山本先生

数学では、受け身の授業ではなく、自分たちで課題を解決し、互いに教え合うことを重視したカリキュラムに移行し始めています。導入を始めている中学1年生の授業では、いろいろな解き方がある数学だからこそ、生徒同士で話し合ったり、解き方がわからない子には回答の導き方を示してあげたりなど、生徒たちが積極的に授業に参加する雰囲気が形作られていっています。

行事や留学で生徒の主体性が育つ関東学院中学校・高等学校

関東学院中学校・高等学校の運動会の様子

▲運動会も熱く盛り上がっている

編集部

御校の学校生活の様子や生徒のみなさんの雰囲気についてもお教えいただけますか?

山本先生

先生との距離がかなり近いというのも、本校の特徴かなと思います。先生方は、丁寧に生徒たちのことを見てくれていますね。複数の目で生徒たちをしっかり見ていきましょうという方針にしているので、生徒たちにとっても安心して学校生活が過ごせているのかなと思います。

また、本校では生徒会も活発に活動しており、さまざまなプログラムを提案・開催してくれているんです。本校の食堂で、生徒たちが考えたメニューを販売したり、本校のエントランスにある誰でも自由に弾けるピアノを使ってコンサートを開催したりと、生徒たちが主体となっていろんなことが進んでいますね。

生徒たちからは、学校説明会を企画したいという声まで上がったんです。自分たちが入学前に聞いていた説明会は子どもからすれば難しく、退屈な時間が多かったので、子どもたちが一緒に楽しめる説明会を企画してくれたんですよ。

生徒会を中心としつつ、時に生徒会ではない生徒たちも巻き込みながら、楽しい取り組みや行事が生まれています。こうしたことが実現できているのも、本校が生徒たちのやってみたいという気持ちを第一に尊重する校風だからだと思っています

編集部

御校の留学制度についてもお教えいただけますか?

山本先生

海外留学制度に参加する生徒たちも少しずつ増えています。生徒の中には、留学に行くのが難しい生徒もいるかと思います。そのような場合、交換留学で本校に来る留学生とホストファミリーとして関われる機会も用意しています。留学生が自宅に滞在するので、学校の登下校も一緒にすることができますよ。

こういった留学制度を始め、国際的な理解を深めるためのプログラムも多岐に渡り用意していますので、本校での生活を十分に楽しんでもらえるんじゃないかなと思います。

関東学院中学校・高等学校のオーストラリアターム留学での様子

▲オーストラリアへの留学で現地の生徒たちとも仲睦まじい様子で過ごす生徒たち

関東学院中学校・高等学校のカナダターム留学での様子

▲カナダへの留学を満喫する生徒たち

関東学院中学校・高等学校からのメッセージ

関東学院中学校・高等学校のマーチングバンド部の定期演奏会

▲舞台を華やかに飾るマーチングバンド部の定期演奏会

編集部

最後に、関東学院中学校・高等学校に興味をお持ちのお子さま・親御さまに向け、メッセージをお願いします。

山本先生

受験において、偏差値やカリキュラムを重要視する傾向がありますが、お子様に一番合った学校を選ぶことが重要だと思っています。そのためにも幅広い情報を吟味し、どんなことがその学校でできるのか、しっかりと見定めていただきたいです。そしてもし、その学校が本校であればなにより嬉しいですね。

ぜひ、本校に足を運んでいただき、学校の雰囲気や授業カリキュラム、部活動など、本校の魅力を実際に感じてもらえたらと思います。

編集部

生徒のみなさんが主体的に活動できているのも、生徒たちの希望や好奇心を第一に考えている先生方たちの存在あってこそのものだと感じました。貴重なお話をありがとうございました!

関東学院中学校・高等学校の進学実績

関東学院中学校・高等学校の2024年度の大学合格実績としては、東京外国語大学1名、東京都立大学1名、横浜国立大学1名を含めた9名が、国公立大学に合格しています。

また、早稲田大学に11名、慶応義塾大学に13名、上智大学に7名、国際基督教大学に1名、青山学院大学に10名、明治大学に30名、立教大学に25名、中央大学に8名、法政大学に23名、学習院大学に2名と、私立大学でも多数の合格者を輩出しています。

■進路実績(関東学院中学校・高等学校の公式サイト)
https://www.kantogakuin.ed.jp/results/pass.html

関東学院中学校・高等学校の卒業生の口コミ

最優秀賞に輝いた関東学院中学校・高等学校のダンス部

▲ダンス部は最優秀賞に選ばれた実績も

関東学院中学校・高等学校の卒業生から寄せられた口コミを紹介します。

体育祭では1~6組合同のチームに分かれて競技に参加するので、他クラスの生徒とも仲良くなれました。部活動も充実しており、熱中できるものが見つけられる環境が整っていました。

中学1年生から高校3年生までの教室が同じ階に位置していたので、友達がとても作りやすい環境でした。クラスの団結力も強かったです。

丘の上にある校舎は、雰囲気がとても良く、学校生活も楽しく過ごすことができました。面白い先生も多く、印象に残っている授業が多くあります。

口コミからは、関東学院中学校・高等学校の和気あいあいとした雰囲気に満足する様子が見られました。また、学校行事や部活動に関しても前向きな評価を残しています。

関東学院中学校・高等学校の行事風景

▲生徒主体で企画された謎解きイベント。生徒自身も来校者も楽しめるイベントとなった

関東学院中学校・高等学校へのお問い合わせ

運営 関東学院中学校・高等学校
住所 神奈川県横浜市南区三春台4
電話番号 045-231-1001
問い合わせ先 https://www.kantogakuin.ed.jp/contact/
公式ページ https://www.kantogakuin.ed.jp/

※詳しくは公式ページでご確認ください