ぽてんをご覧の皆様に、注目の学校を紹介する本企画。今回ご紹介するのは、東京都町田市にある共学の私立中高一貫校「桜美林中学校・高等学校」です。
1921年の前身校の創立から100年を超える桜美林中学校・高等学校は、キリスト教の精神の下、加速するグローバル社会において活躍できる人材の教育に力を注いでいます。これまで実施してきた語学留学のほか、今後は探究学習を取り入れた留学カリキュラムも視野に入れるなど、より充実したグローバル教育を展開していく構えです。またデジタル教育をはじめとした理数教育にも定評があります。
今回、桜美林中学校・高等学校の教育への考え方や、具体的なカリキュラムなどについて、校長補佐の川原田先生にお話を伺いました。
この記事の目次
国際社会に目を向け、貢献できる人材に。桜美林中学校・高等学校の建学の精神
▲桜美林中学校・高等学校にあるチャペル。各学年が週1回、ここで礼拝を行う。
桜美林中学校・高等学校の成り立ちや、建学の精神について、お聞かせください。
本校は、今年103年目を迎える学校で、ルーツは創立者である牧師で教育課の清水安三が1921年に中国・北京に設立した学校「崇貞学園」にあります。
清水は大学卒業後、キリスト教プロテスタントに属する組合教会から第1号海外宣教師として中国に渡ったのですが、現地で貧困で十分に教育を受けられていない子どもたちを目の当たりにして、崇貞学園を設立しました。敗戦後、清水は日本に戻り、北京での経験をもとに、東京・町田市に桜美林学園を設立しました。
建学の精神は「キリスト教精神に基づく国際人の育成」です。キリスト教の精神を大切にし、他者の心の痛みに共感できる人間、国際社会に目を向け、世界に貢献、奉仕できる人間の育成を目指しています。
さらに桜美林学園のモットーとして「学而事人(がくじじじん)」という言葉があります。これは創立者が残したもので、「学ぶ目的は立身出世にあるのではなく、広く世界の人々に奉仕するため、社会のために役立てることにある」という意味です。
学んだことを世のため、人のために役立てましょうということは、常々生徒たちにも伝えています。
キリスト教の教えについては、生徒はどのように学んでいるのでしょうか。
本校のなかでは学校生活の中心に礼拝があり、一日は毎朝の礼拝から始まります。全学年、週1回は学園のチャペルを使い、他の日は教室で行います。チャペルで行うときには、校長や外部講師などが、奨励と呼ばれる聖書に基づくメッセージを20分ほど行います。聖書の言葉やメッセージの中から自分を振り返ったり、自分を内省したりしながら、大切なことは何なのかを考える時間としています。
また、中高6年間で「聖書」という授業も設けています。聖書の普遍的真理を学び、社会を多面的に深く見つめる視野や思考力を養っていきます。
礼拝などでは、生徒さんはどのような様子でしょうか。
今日、私も参加したのですが、高校3年生の礼拝の様子はとても整然としており、賛美歌を大きな声で歌うなど、最上級生らしい振る舞いがあって、とても感動的な時間でした。日頃より、キリスト教の教えに触れて、お互いを認め合うような雰囲気が生徒たちの間で醸成されてきた結果ではないかと思います。教員としてそのような生徒たちを目の当たりにするのを、毎年楽しみにしています。
多彩な海外留学プログラムやオンライン交流も。桜美林中学校・高等学校のグローバル教育
▲語学教育では、ネイティブの先生と交流しながら、会話を重視したカリキュラムを実践している。
桜美林中学校・高等学校のグローバル教育について、特色をお聞かせいただけますでしょうか。
本校のグローバル教育は、国際理解教育として、留学を中心に実施してきました。留学を通して、語学力の向上はもちろんですが、異なる文化や価値観に触れることで、生徒たちの視野が大きく広がると考えています。
留学については、10ヶ月の長期留学、3ヶ月の中期留学、それから2~3週間ぐらいの短期留学があり、米国や英国、シンガポールやオーストラリアなどが行き先となっています。例えば、長期の留学はカナダが行き先で、高校1年生が対象です。2019年度から始まったもので、カナダの一般家庭にホームステイをして、現地の高校へ通う、独自のプログラムです。
中国にある姉妹校とは、オンラインを使っての交流も活発です。一昨年はオンラインで文化を紹介し合うような交流を行いました。手軽に海外との接点を持てますので、同様の機会は、今後も拡大していきたいと考えています。
さらに、2024年度から、語学にとどまらず、探究学習を取り入れたスタイルの留学プログラムを本格化していきたいと考えています。ハワイ大学と協定を結び、例えば、エコシステム(生態系)について学び、日本ではどう課題解決をしていくか、自分たちは何ができるのか、などを考えるという学習に取り組む方針です。語学中心から、その語学を使って、新たな学びにつなげられればと考えています。
海外留学、海外交流を通して、生徒にはどんな変化が表れているのでしょうか。
留学をしたから、進路が大きく変わる、というわけではないかもしれませんが、異文化に触れることで、異国について理解したり、関心を深めたり、という流れは間違いなくあると思います。
もちろん、留学を経て、海外の大学に進学する生徒も増えてきています。先日カナダの留学から帰ってきた女子生徒が、帰国して早々に、英国の大学である専門分野について勉強したいと言っていました。留学に行ったことでやりたいことが見つかり、そのための勉強に励む、という流れができてきています。
語学学習についての取り組みについて教えていただけますでしょうか。
留学などと同様に、英語などの語学教育にも力を入れており、例えば1クラスを3つに分け、少人数で習熟度別のグループを作って指導しています。ネイティブの教員は中学、高校に3人おり、授業以外でも日常的に英語に触れられるようにしています。
また、毎日行っている礼拝ですが、年1回は「ENGLISH CHAPEL」という、英語だけ使って祈りをささげる礼拝もあります。「ENGLISH CHAPEL」(英語礼拝)では、司会、祈祷、聖書朗読などをすべて生徒が英語で担当し、ネイティブによる英語のメッセージが語られます。さらに、中学3年から高校3年までは、選択教科ですが、第二外国語として、韓国語、中国語を学ぶこともできます。
大学教授や経営者が登壇。イノベーションを起こす人材を育む桜美林中学校・高等学校の理数教育
桜美林中学校・高等学校では理数教育に定評があるとうかがっています。まず、理数教育に対する考え方について、お聞かせいただけますでしょうか。
本校では、これまで理数教育は授業のなかでしっかり取り組むことがメインでした。例えば、中学校では、理科で実験をする機会が非常に多いです。私もよく授業風景を見るのですが、皆、白衣を着て楽しそうに学習しており、充実した授業を通して、理科の面白さが生徒に伝わっていると実感しています。
理系を志望する生徒が増加傾向にあるなか、理数教育をさらに発展させていくにはどうすればいいのかを考えていたところ、高等学校が、国の2024年度DXハイスクール(高等学校DX加速化推進事業)に採択されました。それを踏まえ、デジタル領域を舞台に、より人間力、コミュニケーション力、多様性を尊重していく力を養うようなプログラムに主眼を置いていくことになったのです。
具体的にどのような取り組みをしているのでしょうか。
デジタル技術を活用してイノベーションを起こすような人材を育てることを目標に据えています。文系、理系に関係なく、様々な場面でデジタルを活用することは大前提の時代に突入します。生徒たちには、デジタルの素養を身につけ、当たり前のツールとして理解してもらう必要があります。
そのために、2024年度秋をめどに、国内外の様々な大学でデジタルについて研究している先生や、大手企業トップの方をお招きして、例えば、デジタル思考や、リーダーシップ教育などのテーマで、お話しいただく予定です。同時に、生徒が新たな発想や視点を持てるようワークショップも行いたいと考えています。第一線の方々にお越しいただくことで、生徒たちの刺激や、応援になればと期待しています。
デジタルを学ぶ学校環境はどのようになっていますか。
生徒たちが手を動かして、デジタルに接したり、自由に議論したりできるように、アクティブラーニングができるような場所「ラーニングイノベーションスペース」を新たに作る予定です。
中学校の1階の吹き抜けスペースを使い、大きな電子黒板や可動式の机と椅子を置いて、授業だけでなく、発表会、講演会などがいつでもできるようにします。生徒が能動的に考え、気づきを得られるような場所にしていきたいと考えています。
桜美林中学校・高等学校からのメッセージ
▲インタビューに応じてくださった桜美林中学校・高等学校の校長補佐である川原田先生
最後に、読者の方にメッセージをお願いします。
本校では今年から、高校に広報委員会がありまして、メンバーの生徒が、学校の魅力が伝わる写真や動画を撮影し、教員の許可の下でインスタグラムに掲載するという取り組みを始めました。ぜひ生徒が主体になっている媒体もご覧いただき、本校への関心を深めていただければありがたいです。
先ほど申し上げましたように、デジタルに関する教育プログラムや、探究的な留学プログラムも計画しています。本学園では、在校生や卒業生を「オビリンナー」と称していますが、新しい価値を創造するオビリンナーを育成していきますので、ぜひ本校に入学いただき、一緒に学んでいただければと思います。
本日は、ありがとうございました。
桜美林中学校・高等学校の進学実績
桜美林中学校・高等学校では、例年様々な大学に合格者を輩出しています。2024年3月時点の合格実績では、国公立は東京大学、北海道大学、一橋大学(以上、それぞれ1人)、東京外国語大(3人)などで、私立は早稲田大学(12人)、慶應義塾大学(11人)、上智大学(15人)などとなっています。
医歯薬系の学部への合格実績も目立っており、医学部医学科では、北里大学、岩手医科大学、聖マリアンナ医科大学、日本医科大学にそれぞれ1人が合格しました。また、系列の桜美林大学には22人が進学しています。
■桜美林中学校・高等学校の進学実績(公式サイト)
https://www.obirin.ed.jp/course/result/
桜美林中学校・高等学校の保護者・在校生の口コミ
▲キレイに整備されたグラウンドで活動するサッカー部
口コミでは、留学制度をはじめとしたグローバル教育、放課後の臨時講義など、多様な学習カリキュラムを支持する声が多く寄せられました。また理数教育に関しては、公立校に比べて実験の機会が多く、用具の種類も豊富である点も魅力的との感想もありました。
そのほか、雰囲気がアットホームである点を評価するものが目立ち、桜美林中学校・高等学校では、落ち着いた雰囲気、充実したサポートのもとで勉強に励める環境があることがうかがえました。
▲体育祭も大盛り上がり!
桜美林中学校・高等学校へのお問い合わせ
▲修学旅行で沖縄を訪れたときの様子
運営 | 学校法人 桜美林学園 |
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住所 | 東京都町田市常盤町3758 |
電話番号 | 042-797-2668(中学校)/042-797-2667(高等学校) |
公式ページ | https://www.obirin.ed.jp/ |
※詳しくは公式ページでご確認ください