英検準1級合格者多数!聖心学園中等教育学校のグローバル教育で身につく力とは|完全中高一貫校

特色あるグローバル教育や探究学習で注目を集める学校を特集するこの企画。今回は学校法人聖心学園が運営する私立中等教育学校「聖心学園中等教育学校」を紹介します。

聖心学園中等教育学校は奈良県橿原市にある、私立の完全中高一貫共学校です。同校のグローバル教育では実践的な英語力を高める点に特に力を入れており、普段の英語の授業を中心に海外研修プログラム、夏期集中プログラムを組み合わせながら“コミュニケーションツール”としての英語力を育んでいます。また、独自性の高い探究学習も特徴で、中等5年生が参加する探究の全国大会では多数の実績を残しています。

今回はそんな聖心学園中等教育学校の教育方針やグローバル教育、探究学習の特徴について、入試広報室室長の伊藤先生に詳しくお話を伺いました。
※同校では中学1年生から高校3年生までの学年を「中等1年生~中等6年生」と呼称しているため、記事内の学年表記もそれに準じています。

聖心学園中等教育学校では挨拶や礼儀作法など「礼節」を学びの根幹に据える

校舎に向かって一礼する聖心学園中等教育学校の生徒たち

編集部

最初に、聖心学園中等教育学校の建学の精神を教えていただけますか?

伊藤先生

聖心学園中等教育学校では「豊かな特性と広く深い学識を持ち、世界的視野に立つ、心身ともに明るく健康的な紳士淑女を養成する」という言葉を建学の精神に掲げています。この建学の精神に基づいて「礼節・誠実・勇気・創造」という4つの校訓を設定しています。中でも重点を置いているのが「礼節」です。礼節は本校のあらゆる教育活動の根幹をなすものとして、教員や生徒が普段の学校生活の中でその重要性を認識できるよう意識しています。

編集部

礼節の重要性を浸透させていくために、どのような取り組みを行っているのでしょうか。

伊藤先生

挨拶や言葉遣い、礼儀作法、掃除など「当たり前のことを当たり前にできる」習慣を育むための指導に力を入れています。特に挨拶は大切にしており、登下校時に校舎に向かって一礼することを習慣化しています。

そんな生徒の姿を学校外の方に評価していただく機会も多くなっています。例えば生徒と一緒に海外研修に行く際に、飛行機の中のお客様や現地の方に、挨拶や礼儀がしっかりしているというお褒めの言葉をいただくことも多いんです。国内だけでなく海外でもそういうお声をいただくことで、礼節を大切にする本校の教育方針が、グローバルな価値観とも合っていることを実感します。

生徒にとっても学校外の方からお褒めいただくことで、改めて礼節の大切さを感じられるようです。

全校250人!小規模校だからこその、生徒間や教員との距離の近さが魅力

聖心学園中等教育学校入試広報室室長の伊藤先生

▲インタビューにご対応いただいた伊藤先生

編集部

学校全体にはどのような雰囲気があるのでしょうか。

伊藤先生

生徒の特徴としては、穏やかで真面目、何事に対しても一生懸命取り組む生徒が多いと感じます。

また聖心学園中等教育学校は全校で約250人程度の小規模校ということもあり、学年を問わず交流しやすい雰囲気があり、先輩と後輩の関係性がとてもフラットなのが特徴です。実際に、探究学習などの際に後輩が先輩に相談に行き、先輩も快くそれを受け入れてしっかりと相談に乗る姿を良く目にします。

生徒同士だけでなく、教員と生徒の距離感もとても近いですね。一生懸命物事に取り組む生徒の姿に教員が触発される場面も多く、良い意味で教員と生徒の間にもフラットな関係性が築かれていると思います。

一方で「礼節」を大切にしていることもあり、距離感が近い中でも教員に対してきちんと礼節をわきまえ節度を持って接している姿が特徴的です。

英検準1級合格者も輩出!アウトプット重視の英語教育

編集部

続いてグローバル教育のテーマについて伺います。聖心学園中等教育学校のグローバル教育の特徴を教えていただけますか?

伊藤先生

本校ではコミュニケーションツールとしての英語を身につけていけるよう、6年間一貫の英語教育プログラムを展開しています。普段の英語の授業を英語教育の中核に位置付け、6年間の授業の中でしっかりと英語力を身につけられることを大切にしています。

中等1年生から3年生の英語の授業では、横浜市立南高等学校附属中学校で考案された「5ラウンドシステム」を取り入れています。これは「英語を聞いて音に慣れる」「英語の音と文字を結びつける」「英語を書く」「自分の言葉で語り直す」という英語学習に必要なステップを踏み、英語を身につける学習法です。

中等4年生以降では、徹底的に英作文の授業を行います。日本語で書いた内容を英語にするという方法で基礎を身につけていき、その後は英語で書くエッセイライティングに移行します。「自分の10年後」「自分の好きなこと」など身近な話題をテーマに何本もエッセイライティングを行い、さらにそれを皆の前でスピーチして発表するという機会を多く設けています。

編集部

聖心学園中等教育学校の英語教育で意識しているのはどのような点ですか?

伊藤先生

英語を身につけるための段階をしっかりと認識し、一足飛びにならないようスモールステップを心がけ、その中でいかにアウトプットの機会を増やすかを意識しています。これまでの英語教育は文法や読むことに特化したインプット型の教育でしたが、それだとなかなか英語をコミュニケーションツールとして自分のものにしていくのが難しい部分がありました。

そのため、できるだけ生徒にはアウトプットをしてもらい、英語で話すことに対して自信をつけていってもらいたいと考えています。エッセイライティングの発表以外にも、英語でのディスカッションやペアワークで行う1分間スピーチなど、自分の考えを英語で話す機会を多く設けています。

編集部

アウトプットを繰り返すことで、生徒の皆さんの英語力に変化はありますか?

伊藤先生

人前で原稿を持たずに英語のスピーチを行うために、生徒は皆5、60回は練習しているそうなのですが、そうやって繰り返し練習するからこそ、自分の言葉として英語を話せるようになっているのだと思います。本校にいるカナダ人の教員も、違和感のない英語でコミュニケーションができる生徒が増えてきていると話してくれていますよ。

またスピーチなどアウトプットを意識するようになって、英検の成績も大きく向上しました。卒業するまでに準1級に合格する生徒が毎年10%から20%ほど出ています。英検の受検は必須ではないのですが、皆自主的に一生懸命取り組んでいるため、面接のある2次試験前などは教員総出で練習をサポートしています。

英語漬けの生活で自信をつける、聖心学園中等教育学校の海外研修プログラム

聖心学園中等教育学校のオーストラリア異文化交流研修の様子

▲オーストラリア異文化交流研修での様子

編集部

聖心学園中等教育学校のグローバル教育は、海外で行うプログラムもあるのでしょうか。

伊藤先生

全校生徒が体験するものとしては、中等4年生のヨーロッパへの修学旅行があります。ヨーロッパの現地の学校との交流を通してグローバルな視野を培う機会となっています。

希望制の海外研修として実施しているのが、セブ島の語学研修やオーストラリアの異文化交流研修の2つです。セブ島の語学研修は主に中等4年生、中等5年生を対象としており、毎年約30人が参加しています。オーストラリアの異文化交流研修は中等1年生から5年生までを対象としており、毎年さまざまな学年から約20人の生徒が参加しています。

編集部

セブ島やオーストラリアでの海外研修プログラムを体験した生徒の皆さんにはどのような成長が見られますか?

伊藤先生

どちらも約2週間のプログラムなのですが、行くときと帰ってきたときでは生徒の顔つきが変わっており、やり切ったことで自信をつけているなと感じます。自分の気持ちを英語で伝え、しっかりとコミュニケーションを取れるようになったことが生徒たちの自信につながっているようです。

特にセブ島の語学研修では毎日1対1の授業を5、6時間受けるという英語漬けの生活を送ります。そのため1週間くらい経つと、頭の中でも英語で考える“英語脳”になる生徒もいるほどなんですよ。それくらい、短期間でも集中して英語に浸かる経験というのが大切なのだいうことを、自信をつけた生徒の姿を見て実感しています。

海外学生とディスカッションする集中講座を通じて、さらに英語での表現力を高める

聖心学園中等教育学校のエンパワーメントプログラムの様子

▲「エンパワーメントプログラム」の様子

編集部

その他にも特徴的なグローバル教育のプログラムがあれば教えてください。

伊藤先生

本校では普段の英語の授業で行う英語教育に加えて、夏期休暇期間に教育旅行の専門会社「ISA」さんのオールイングリッシュの英語研修プログラムを導入しています。

中等1年生から4年生までは「英語集中プログラム」として3日から4日程度、英語でのアウトプットの練習を行います。1年生は初めてなので少し緊張する生徒もいますが、毎年実施することでどんどん慣れて、4年生では多くの生徒が積極的に外国人講師の方とコミュニケーションを取るようになっていますね。

中等5年生も同じISAさんのプログラムに参加するのですが、海外の大学生や日本にいる留学生とディスカッションを行う約1週間の「エンパワーメントプログラム」に内容が変わります。エンパワーメントプログラムでは、環境問題や海外と日本の価値観の違い、男女のジェンダー問題といったことをテーマに、自分たちの意見、海外の学生さんの意見を交換し、最終的にまとめて発表するということを繰り返していきます。

海外大学の学生はプリンストン大学やハーバード大学、日本の大学の留学生は京都大学や早稲田大学など、一流の大学の方にご協力いただいています。生徒たちも優秀な海外の学生の意見に圧倒されてしまうこともあるのですが、一方で国や年齢などが違っても同じ人間として分かり合える価値観を実感する機会にもなっているようです。

編集部

ディスカッションのテーマもかなり難しいものだと思いますが、それを英語でディスカッションするというのはさらにレベルが高い取り組みですよね。

伊藤先生

実はこのエンパワーメントプログラムは、セブ島での語学研修の後すぐのタイミングに実施しているんです。セブ島の語学研修に行った生徒はそこでの経験を経てすぐに参加できるため、難しいテーマであっても割とスムーズにコミュニケーションを取っています。

そういう生徒に刺激を受けて、海外研修に行っていない生徒も一生懸命取り組んでいるため、生徒の間でとても良い相乗効果が生まれているなと感じますね。

ビッグデータを分析。聖心学園中等教育学校の本格的な探究学習

編集部

続いて、探究学習のテーマについて伺います。御校では中等1年生から5年生の5年間を通じた探究のカリキュラムを組まれているとのことですが、具体的にどのような内容に取り組んでいるのでしょうか。

伊藤先生

聖心学園中等教育学校では探究に必要なスキルを積み上げていけるよう、中等1年から5年の5年間を通じてさまざまな探究プログラムを実施しています。その内の1つが、中等1年から3年にかけて取り組む、隣村である明日香村の活性化を目的とした「飛鳥プロジェクト」です。

飛鳥プロジェクトでは、1年生のときは首長や行政職員、住民の方のお話やフィールドワークから明日香村の魅力と課題の洗い出しを行い、2年生から具体的なアクションプランを考えていきます。3年生ではRESAS(リーサス)という地域経済分析システムを使い、統計データを用いたより具体的な施策を考えて提案する、というプログラムになっています。

編集部

生徒の皆さんからはどのような提案が生まれていますか?

伊藤先生

明日香村にあるカフェを外からお客様を呼び込む観光資源と捉えた観光プランの提案や、少子化対策としての移住・定住施策などの具体的な提案が生まれています。

実際に明日香村の村役場に行って、7、8人の行政職員の前でプレゼンテーションを行っているんですよ。行政の方も本校の生徒の提案にすごく真剣に向き合ってくださり、改善策の提案や評価を行ってくださいます。大人の方が生徒の提案を真剣に受け止めてくださることはすごくありがたいことですし、生徒の成長にもつながっているのではないでしょうか。

クエストカップ全国大会でグランプリ3回!確かな実績を残す秘訣

クエストカップでグランプリを受賞した聖心学園中等教育学校の生徒の様子

▲クエストカップでグランプリを受賞した聖心学園中等教育学校の生徒の様子

編集部

聖心学園中等教育学校では探究学習の一環として、教育と探求社が主催する「クエストエデュケーション」にも参加されているとのことですが、こちらはどのような取り組みなのしょうか。

伊藤先生

クエストエデュケーションは、国内大手企業にご協力いただきながら、企業から与えられたミッションに挑戦する探究活動です。本校では中等4年生、5年生がクエストエデュケーションに参加し、中等5年生では5年間の探究学習の集大成としてクエストエデュケーションの全国大会「クエストカップ」に挑戦します。本校は2019年からの5年間で、クエストカップの企業探究部門の最優秀賞グランプリを3回獲得しました。

2022年のクエストカップでグランプリを獲得したのが、 フォレストアドベンチャー様に対して行った「ヌーディスト・フォレスト・アドベンチャー」というプランです。文字通り、全員がヌーディストになって森での活動を楽しもうという、かなり斬新な内容となっています。一昔前なら教員が事前に止めるところですが、そこはぐっと我慢して、プレゼンテーションがまとまっていく様子を見守りました。

最終的には「今の時代に必要な突破力のあるプレゼンテーションだった」と評価いただいてグランプリを獲得できたため、我々教員にとっても慣習や偏見に捉われず生徒の発想を尊重することが大切なんだという学びになりましたね。

編集部

クエストカップという外部の大会で、5年で3回のグランプリを獲得しているのは本当にすごいことだと思います。御校の探究学習が高いレベルを実現できている要因は何だと思われますか?

伊藤先生

5年間というプログラムの中で、先輩の姿を見てモチベーションを高めながら取り組めることが大きいと思います。本校では1年生から5年生までの全員が1年間の探究の成果を発表する「聖心探究学習合同発表会」を実施しています。そこで先輩のプレゼンテーションを見て良いところを吸収できるからこそ、どんどん内容がブラッシュアップされているのではないでしょうか。先ほどもいったように、分からないことがあれば気軽に先輩に聞きにいける空気感があるのもポイントです。

編集部

なるほど。通常中高一貫校であっても中学と高校で別々の探究学習を進めるケースも多いと思いますが、5年間のプログラムとなっていることでより上の学年から良い部分を吸収できるのは大きいですね。

伊藤先生

はい。またクエストカップでの優勝をきっかけに、その企業に実際に就職した生徒もいるんですね。そういう先輩の成果があることで、「この探究学習の取り組みが将来社会で働くことにつながるものなんだ」と実感できることも、生徒がモチベーション高く取り組む一因になっていると思います。

聖心学園中等教育学校の探究学習の発表会「探究合同発表会」の様子

▲年に1回実施される「探究合同発表会」(聖心カップ)の様子

編集部

御校は探究学習の評価指標として「協働」「対話」「知識」「知性」「創造」「自信」の6項目を設定されているとのことですが、こちらもまさに将来社会に出て働いていく際に求められるものですよね。

伊藤先生

その通りです。この評価指標「6つのC」(6項目の英語表記の頭文字Cを取った言葉)に4つのレベルを掛け合わせた「6Cs」はアメリカの発達心理学者が考案したもので、社会活動を行う上で重要なスキルとされています。この探究学習を社会に貢献できる力につなげていくためにも、本校では6Csの評価指標を活かして生徒のさらなる成長につなげていきたいと考えています。

聖心学園中等教育学校からのメッセージ

聖心学園中等教育学校入試広報室室長の伊藤先生

▲インタビューにご対応いただいた伊藤先生

編集部

最後に、聖心学園中等教育学校に興味を持ったお子様、保護者に方に向けてメッセージをお願いします。

伊藤先生

本校ではただ知識を備えているだけでなく、道徳心や礼儀を持って世の中に貢献していくために知識を使えるような人材の育成を目指しています。目の前の勉強はとても大切ですが、それだけにとらわれず世の中に対する広い視野を身につける、そんな教育に魅力を感じる方はぜひ聖心学園中等教育学校に来ていただければと思います。

編集部

伊藤先生、本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました!

聖心学園中等教育学校の進学実績

聖心学園中等教育学校の校舎外観

聖心学園中等教育学校の過去5年間の合格実績を見ると、京都大学や大阪大学といった難関国公立大学への合格者を輩出しています。関西圏の難関私大である関関同立(関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学)への合格者も毎年数多く出しており、関西圏を中心に、全国での多様な進路が実現しています。

■聖心学園中等教育学校の進学実績(公式サイト)
http://www.seishingakuenchuto.ed.jp/proceed/university/

聖心学園中等教育学校の生徒・保護者からの口コミ

聖心学園中等教育学校の新入生宿泊研修の様子

▲「新入生宿泊研修」をはじめ、さまざまな体験ができることが学校生活の魅力という声も

ここでは、聖心学園中等教育学校の生徒や保護者から寄せられた口コミを一部抜粋して紹介します。

(生徒)高校受験がない分ゆとりがあるため、体験学習などの機会が多く楽しい。

(生徒)中学と高校の範囲を中等5年生までに終え、6年生では受験勉強に集中できるため、進路希望を叶える上で嬉しい環境がある。

(生徒)先輩と後輩がとても仲が良い。小規模だからこその雰囲気の良さに魅力を感じる。

(保護者)先生からの学習サポートがとても手厚い。担任だけでなくさまざまな先生との距離が近く、誰にでも相談できる環境があるようで安心できる。

(保護者)良い意味で、とてもゆったりとした環境のもとでのびのびと学校生活を送ることができる。

生徒と保護者の両方から、小規模校だからこその生徒同士の仲の良さ、教員からの手厚いサポートなどの利点が多く聞かれました。高校受験がないゆとりのある環境や、先取り学習など、中高一貫校のメリットを感じている生徒も多いようです。

聖心学園中等教育学校へのお問い合わせ

運営 学校法人聖心学園
住所 奈良県橿原市久米町222番地
電話番号 0744-27-3370
問い合わせ先 http://www.seishingakuenchuto.ed.jp/contact/
公式ページ http://www.seishingakuenchuto.ed.jp/

※詳しくは公式ページでご確認ください