この記事では、中学受験を検討しているお子さん・保護者に向け、高知県須崎市にある「明徳義塾中学・高等学校」の教育活動を紹介します。
私塾の「明徳塾」からスタートした同校は、「堂ノ浦キャンパス」と「竜キャンパス」を有する共学の中高一貫校です。学校・寮生活・クラブ活動を軸に、生徒たちの人間性と体力、知性を育んでいます。中学校からクラス制を導入し、目標や希望の進路に向けて歩んでいける環境です。生徒の約3分の1が留学生で、日常的にネイティブの英語や他言語に触れられます。
今回は、中学・高等学校の校長・㟢本(さきもと)先生と、英語科のパラティーノ先生、中高で女子卓球部の監督を務める佐藤先生にインタビュー取材し、同校の教育理念や寮生活、グローバル教育、自慢のクラブ活動などについて詳しく伺いました。
この記事の目次
明徳義塾中学・高等学校の教育理念は、「徳育を土台にした体育・知育」
最初に、明徳義塾中学・高等学校の教育理念をお聞かせいただけますか?
本校は「徳・体・知」を教育理念に、人間性・体力・知性のバランスがとれた人格の形成を目指しています。一般的には「知・徳・体」といわれますが、本校はあえて「徳育(道徳教育)」を最初にしています。
いかにすぐれた体力・知性を持っていても、人間性がないと社会的な信用を得るのは難しいでしょう。そのため、本校ではあいさつ・礼儀を含めた道徳教育に力を入れています。学校生活・クラブ活動・寮生活の3つを軸に、生徒たちの人間性を育んでいるところです。
「道徳教育」と言っても幅広いですが、特に大切にしている点を教えていただけますか?
あいさつ・マナーなどはもちろん、「親への感謝」「母国を大切にする」といった生き方に関する部分もきちんと指導しています。賛否両論ありますが、日本で生まれ育った人間として「日本を尊重する心」を持つことは重要だと考えます。日本人としての誇りを土台に、世界で活躍する人間に育ってほしいと願っています。
自立心・道徳心を養う!明徳義塾の寮生活
▲堂ノ浦キャンパス
明徳義塾中学・高等学校は、生徒の約9割が寮生活での共同生活を体験します。朝6:50からグラウンドで行われる朝礼には、900人近い生徒が集まるそうです。
朝礼では国連旗を掲揚し、寮生と教員で世界の平和を願います。さらに国旗を掲げて国歌を歌ったり、親に感謝の祈りを捧げたりと、寮生活にも道徳教育が組み込まれています。ここからは、同校の特徴である「寮生活」について詳しく伺ってみましょう。
約9割が希望する「寮生活」で、家族に負けない絆を育む
▲川薪寮
御校はコースごとに、学習するキャンパスが分かれていますよね。堂ノ浦キャンパス内の寮では、どのような生徒さんが生活するのでしょうか?
堂ノ浦キャンパスは「普通クラス」の中学生と「総合コース」「日本語コース」の高校生が、竜キャンパスは「国際クラス」の中学生と「特別進学コース」「英語コース」「中国語コース」「日本語コース」の高校生たちが学習しています。
ほとんどの生徒が寮生活を希望するため施設数も多く、堂ノ浦キャンパス内には「川薪寮」をはじめとする男子寮・女子寮の9つの寮があります。竜キャンパス内にも「養徳寮」があり男子生徒が生活してます。
間取りは寮によって異なりますが、女子寮・男子寮・養徳寮は基本的に4人部屋です。先輩・同級生・後輩と楽しい時間を過ごせます。洗濯は自分でする決まりになっていて、寮内にある全自動洗濯機を使うことが可能です。食事は寮生が食堂に集まり、友だちやクラブの仲間と一緒に楽しい雰囲気の中でいただきます。
▲食堂での昼食
寮生の生活を支えるスタッフさんは、いらっしゃるのでしょうか?
もちろんです。それぞれの寮には生活面をサポートする「寮務の先生」が在籍しています。また、学内には保健室のスタッフが常駐し、急な体調不良やケガなどに対応します。
また、「堂ノ浦キャンパス」には教員住宅もあり、7割ほどの教員がそこで暮らしているんです。担任はもちろん、クラブの監督が寮の近くで生活するケースも多く、キャンパス全体が「明徳村」のようなコミュニティになっています。
生活圏が同じこともあり、本校は教員と生徒の距離が近いんですね。うれしいことがあったら喜び、間違った道に進みそうなときには真剣に話を聞き本気で対応しています。私たち教員は常々、「家族のように生徒たちと向き合いましょう」と話し合っています。
▲女子寮
親元を離れての寮生活は不安が大きい分、なかなか環境に馴染めない生徒さんもいるかと思います。どのようにして、生徒さんとの心の距離を縮めていくのでしょうか?
結局のところ、同じ時間を過ごすことに尽きると思います。学校では教員と生徒の関係でも、寮に入ると大人と子どもの関係になるんです。授業では話さないような趣味の話や子ども時代のエピソードを語るなど、違った角度からアプローチするケースもあります。
自分に心を開く・開かないに関係なく、生徒にとってマイナスになる行動は全力で止めます。「生徒の成長のために」との1点で真剣に向き合っているうちに、少しずつ信頼関係が築かれていくんですね。
本校は日本人・外国人を問わず、保護者が明徳義塾の卒業生で「子どもにも同じ体験をしてもらいたい」と入学を希望するケースも少なくありません。最新の設備を導入しているわけでもないので、きっと「家族のような愛情で真剣に向き合う」との教育方針に共感してくださっているのだと思います。
留学生との共同生活を通し、コミュニケーション力を磨く
▲男子寮の様子。留学生がいるのはもはや当たり前の光景
明徳義塾中学・高等学校は、全校生徒の約3分の1が外国からの留学生だと伺いました。寮生活でも留学生と触れ合う機会が多いと思うのですが、日本人の生徒さんの様子はいかがでしょうか?
海外の留学生と日本人の生徒が同じ部屋になるケースも多く、最初はコミュニケーションを取るのにも苦労している様子でした。ただ、本校の生徒たちは「言葉が通じないから無理」と諦めず、ジェスチャーを使ったり、知っている単語を組み合わせたりして、コミュニケーションを取る努力をするんです。タブレットの翻訳機能を活用し、留学生の言葉を理解しようとする姿も見られました。
外国の方々と深く関わるためには、海外に出向く必要がありますよね。ただ、本校には多くの留学生が在籍しているので、国内にいながら海外留学と同じような体験ができるんです。生徒たちにもよく、「留学生と日常的にコミュニケーションを取れるのは、明徳義塾の強みだよ」と話しています。
留学生に話しかけるのは、少し勇気がいるようにも思います。生徒さんたちはどのようなきっかけで、留学生との距離を縮めていくのでしょうか?
寮生活では「整理整頓」を徹底しているのですが、ゴミの分別にも気を配るのは日本の特徴といえます。なかなか留学生に話しかけられずにいる生徒には、「ゴミの分別方法を説明してみるといいよ」とアドバイスしています。
ある中学1年生は思い切って、知っている単語を使って留学生に話しかけたそうです。留学生との会話が続いたときに、「言語・文化が違っても、コミュニケーションは成り立つ」ことを実感したんですね。気持ちが通じた「成功体験」がきっかけとなり、「もっと英語や中国語を知りたい」という意欲につながっていくのだと思います。
ネイティブに近い英語力を鍛える!明徳義塾のグローバル教育
▲アメリカ出身のパラティーノ先生は、大学時の留学を機に日本で生活している
明徳義塾中学・高等学校のもうひとつの柱は、英語を中心にしたグローバル教育です。ここからは中学校の「国際クラス」と高等学校の「国際コース」に絞り、英語の授業や留学生との交流などについて詳しく教えていただきます。
中高共通で、ネイティブ教員の英会話レッスンを実施
▲海に近い「竜キャンパス」
中学校の「国際クラス」と高等学校の「国際コース」は、どのようなコースなのでしょうか?
いずれも、「語学力を磨きたい」「世界レベルのアスリートを目指している」など、海外での活躍を希望する生徒に特化したコースです。
中学校の「国際クラス」では週に5回の英語の授業に加え、ネイティブ教員による少人数の英語レッスン(週に3時間)を受けられます。ネイティブ教員は私のほかに、オーストラリア人(2人)と中国人(3人)が在籍していますよ。
英会話レッスンには、オックスフォード大学(イギリス)やケンブリッジ大学が出版しているテキストを使用し、ネイティブに近い英語力を鍛えます。英検・スピーチコンテストに挑戦する機会もあり、スピーキング・リスニング・リーディング・ライティングと総合的な英語力を伸ばせるクラスです。
かなり英語に特化したカリキュラムになっているんですね。授業以外に、生徒さんたちが英語を話す機会はあるのでしょうか?
キャンパスにはたくさんの留学生がいるので、毎日英語でコミュニケーションを取ります。私は明徳義塾以外の学校で指導した経験がありますが、本校の生徒たちは全体的にコミュニケーション力が高いです。英語が得意・不得意に関係なく、積極的に留学生と会話をしようとしていますね。見よう見まねで話すうちに、少しずつ英語力が上達していく生徒も多いです。
ここまで中学校の英語について伺ってきましたが、高等学校の「国際コース」についても教えていただけますか?
高等学校の「国際コース」では中学校での学びを土台に、希望の進路や目標を実現する力をつけていきます。志望大学や進路に合わせて、特別進学コース(国公立大学・難関私立大学に特化)・英語コース・中国語コース・日本語コースから、好きなコースを選択することが可能です。
英語コースの生徒たちは、ほぼ全員がカナダかオーストラリアに留学します。本校は12の国と地域・115校と姉妹校提携を結んでおり、海外へのネットワークが豊富です。竜のキャンパスで学ぶ高校生は、希望者全員が留学できますよ。
▲オーストラリア留学に参加した生徒たち
高校の「英語コース」では、どのような授業を受けられるのでしょうか?
中学校と同じく、ネイティブ教員による英会話レッスンが受けられます。さらに、留学へ向けて海外のスタイルを取り入れた授業を実施しているところです。例えば高校1年生が対象の「英語コミュニケーション講座」では、グループに分かれたディスカッションや、ニュースを調べて発表するプレゼンスキルを鍛えます。
長期・短期の留学生との交流で、違いを認め合う「多様性」を養う
▲カナダ人の短期留学生との交流授業
御校は、海外からの留学生を積極的に受け入れているそうですね。具体的に、どのような国から留学生が来日するのでしょうか?
留学生は大きく、長期留学・短期留学に分かれます。長期留学の生徒たちは中国人が多く、モンゴル・タイ・韓国などが続きます。今後は、インドネシア・ベトナムからの留学生も増えていく予定です。日本の大学を目指して本校に留学してくるため、全体的に学力の高い生徒が多いですね。例えば中国人の留学生の場合は中国語・英語が堪能なので、日本語もあっという間にマスターしていきます。
一方、短期留学の生徒たちは、カナダ・オーストラリアから7週間ほど本校で学習します。2023年度は16グループ、合計260人ほどの短期留学生を受け入れました。滞在中には、本校の生徒と英語でのディスカッションなどをして交流したんですよ。もちろん、授業以外の食堂や寮でも会話を楽しむ姿が見られました。
年間を通して複数の国々の留学生が在籍する本校は、多様な言語・文化が共存する環境です。本校で生活しているうちに自然と、違いを認め合う多様性が身についていくと思います。
全員参加!明徳義塾が誇るクラブ活動
▲女子卓球部監督の佐藤先生は、明徳義塾に着任して22年目のベテラン
「全員クラブ制度」を掲げる明徳義塾中学・高等学校は、全ての生徒がクラブ活動に参加しています。卓球・野球・ゴルフ・相撲・サッカー・ソフトテニス・バスケットボール・ソフトボールなどの強豪はもちろん、初心者で立ち上げたカヌー・和太鼓といったクラブも人気です。
ここからは、特に力を入れている「女子卓球部」と、留学生に人気のあるクラブ活動について伺ってみましょう。
全国優勝経験を持つ「女子卓球部」
▲「徳・体・知」の理念を、クラブ活動の場面でもしっかりと伝える
先生は女子卓球部の監督をされているそうですが、クラブ活動ではどのような点を重視していますか?
もちろん日本一を目指して全力で練習に励んでいますが、最も大切にしているのは「チームの絆」です。強豪校と聞くと、施設の設備や練習相手にお金をかけているように感じるかもしれません。ただ、本校が重視するのは、学校・寮・クラブ活動という学生としての生活です。
卓球に限らず、どのようなスポーツも人から教わり、練習を重ねて上達していきますよね。つまり、さまざまな人の支えがあってこそ、試合の結果につながっているんです。
部員たちには常々、「先輩にしてもらったように後輩を支え、仲間を大切にしよう」と伝えています。人の支えに対する感謝を持って、練習に打ち込んでもらいたいと思っているところです。
「仲間を大切にする」と言うのは簡単ですが、実際に行動するのは難しいですよね。先生は部員さんのどのような姿を見て、仲間を大切にする心が育っていると感じますか?
練習中や試合などで「思いやり」のある行動が見えたときに、部員たちが私の指導を受け止めてくれていることを感じます。例えば、試合中にメンバーがケガをすると、準備ができていない状態でピンチヒッターにならざるを得ません。ウォーミングアップができていないので、自分のことだけを考えると「試合に出たくない」のが正直な気持ちでしょう。
ただ、部員たちは「私が代わりに出場します」と言ってくれるんですね。チーム全体のことを考えて、「今こそ、仲間のフォローをしよう」「ピンチをチャンスにしよう」と前向きに行動できる部員が多いです。
女子卓球部はインターハイで優勝(高校生・団体)した経験を持つ強豪クラブで、早朝練習や夜間練習にも励んでいます。そんな多忙な生活でも佐藤先生は部員たちに、「学校のために行動する心」を伝えていらっしゃるんですね。例えば、女子寮の花壇に草が生えたままになっているのに気付き、部員たちに「登校するときに、1〜2本でいいから草を抜きましょう」と話してくださったそうです。
部員たちのおかげで花壇の草が減り、花の美しさが際立つようになりました。指導者の細やかな気配りが、生徒たちにもいい影響を与えていくことを実感しています。
留学生には、日本文化を学ぶクラブが人気
御校は「全員クラブ制」を掲げていますが、留学生にはどのようなクラブが人気なのでしょうか?
留学生には、日本語学習と日本文化の体験を目的とした「NIPPONクラブ」が人気です。日本文化の「詩吟(しぎん)」の技術が好評で、文化庁が主催する「全国高等学校総合文化祭(全国総文)」にも6年連続で出場しています。
来日したばかりの留学生は同じ国の仲間と行動する傾向にあるのですが、クラブを機に違う国の留学生とも交流し、人間関係を広げていきます。
明徳義塾中学・高等学校からのメッセージ
▲取材に対応してくださった㟢本校長
明徳義塾中学・高等学校に興味を持っているお子さん・保護者に向けて、メッセージをお願いします。
本校は多くの留学生を受け入れており、国内留学のように日常的に外国語に触れられる環境です。国境のない学校づくりを心がけているので、国や言語、文化の違いを超えた「明徳人」としての絆を深められます。学校・寮では英語や中国語などが飛び交うため、自然とコミュニケーション力が身につきます。
留学生と関わりながら、自分を鍛えていきたい人はぜひ本校にお越しください。全国の小学5・6年生および中学2・3年生を対象にオープンキャンパスを開催しています。現在募集中のため、ぜひ来校してご自身の目で学校の雰囲気や生徒たちの様子を見ていただけると幸いです。詳しくはオープンキャンパス情報をご確認ください。
公式:オープンキャンパス情報
お話からも、海外の方々と触れ合う機会の多い明徳義塾中学・高等学校の魅力が伝わってきました。国境のない御校で学んだ経験は、きっと生徒さんたちの財産になることでしょう。
本日は、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!
明徳義塾中学・高等学校の進学実績
明徳義塾高等学校の卒業生は、国公立大学から私立大学、短期大学まで、さまざまな進路を選択しています。東京大学・京都大学・大阪大学をはじめとする国公立大学や、早稲田大学・慶應義塾大学・上智大学などの難関私立大学に進学するケースも多いです。
また、ネブラスカ大学(アメリカ)やシドニー大学(オーストラリア)など、海外の大学へも多数の卒業生を送り出しているのが特徴。海外大学への合格実績からも、日常的に海外の人と触れ合える「国内留学」のような環境が、生徒たちの英語力や国際意識を高めていることが分かります。
明徳義塾中学・高等学校の保護者からの口コミ
最後に、明徳義塾中学・高等学校の保護者から寄せられた口コミを紹介します。
口コミからも、文武両道の学校生活や、協調性を磨く寮生活の様子が伝わってきます。そのほか、「中学生と高校生が同じ校舎で生活するので、社会性が身につく」と、先輩・後輩の関わりが多い環境を評価する声も見られました。
明徳義塾中学・高等学校へのお問い合わせ
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