英語で学ぶ新コース「聖隷クリストファー中学校」グローバルスクールコースの教育とは|中高一貫校

ぽてん読者の皆さまに注目の学校を紹介するこの企画。今回は静岡県浜松市にある「聖隷(せいれい)クリストファー中・高等学校」に新設された「中学校グローバルスクールコース」を紹介します。
※2025年度には高等学校にもグローバルスクールコースを設置予定。

同校に2022年4月に新設されたグローバルスクールコースでは、国語以外のほとんどの教科を英語で学ぶグローバル教育に力を入れ、「英語を学ぶ」ではなく「英語で学ぶ」教育を実践中です。

今回は、そんな同校のグローバルスクールコースの取り組みについて、中学校グローバルスクールコース副校長の中野先生と中学校グローバルスクールコース教諭の野原先生にお話を伺いました。

“グローバルな舞台で隣人愛の精神を発揮できる人”を育成

聖隷クリストファー中・高等学校の中学校グローバルスクールコース副校長の中野先生

▲取材に応じてくださった、グローバルスクールコース副校長の中野先生

編集部

初めに、聖隷クリストファー中・高等学校の建学の精神について伺えますでしょうか。

中野先生

聖隷クリストファー中・高等学校の建学の精神は「自分のように、あなたの隣人を愛しなさい。」です。この言葉には、行動を伴う愛の実践という意味が含まれています。本校の学びを通して、生徒たちが将来、世界の様々な場所で、困窮している人々のために一生懸命働くことができる人物に成長して行って欲しいと願っています。

編集部

建学の精神が体現されているような取り組みはありますか。

中野先生

グローバルスクールコースでは、総合的な学習の一環として、私たちの生活に無くてはならない「衣」「食」「住」について探究したり、世界や私たちの身近なところに存在する貧困について学ぶ機会を設けています。

生徒たちが将来、実際に世界に出て草の根レベルの支援に携わることができるようになることを視野に入れ、途上国の現状を学ぶ機会や、自分たちで育てた作物を、世界の貧困地域の環境を意識し、自分たちの普段の日常と違った方法で調理するプロジェクトにも取り組んでいます。

聖隷クリストファー中・高等学校のキャッサバの栽培をする生徒

▲キャッサバの栽培を2024年5月に開始

聖隷クリストファー中学校グローバルスクールコースのグローバル教育

聖隷クリストファー中・高等学校の英語教育の様子

編集部

では続いて、聖隷クリストファー中学校グローバルスクールコースのグローバル教育についてお話いただけますでしょうか。

中野先生

本校では、グローバル化が進むこれからの時代に向け、「英語イマージョン教育」と「探究型の学び」を柱としたグローバルスクールコースを2022年4月に開設しました。

本コースの英語イマージョン教育とは、国語以外のほとんどの教科を英語で学ぶというものです。数学、理科、社会、体育、音楽、美術等の教科を担当するのは、英語を母語とする多国籍の教員です。

このような環境ですので、“英語を学ぶ”というよりは、“英語で学ぶ”ということが特徴です。同じく英語イマージョン教育を実践している聖隷クリストファー小学校と連結しており、合計12年間のグローバル教育を実現していく計画です。

編集部

グローバルスクールコースでは、生徒の発表も全て英語で行なわれるのでしょうか。

中野先生

必ずしもすべて英語で行われるとは限りません。場合によっては、各生徒が発表しやすい言語で発表することを可能にしています。英語習得に向けた取り組みと同時に、生徒が活発に学びを深めることも重視しているためです。

編集部

グローバルスクールコースの生徒さんの様子はいかがですか。

中野先生

少人数の環境ということもあり、生徒たちは活発に自己表現を行なっています。受動的な授業ではないので、生徒一人ひとりが自らの意見を積極的に発表する姿が多く見られます。主体性を重視する教育の中で、生徒たちは自分で調べ、自分の考えを述べたり文章にしたり、プレゼンテーションしたりする機会が多いです。

また、多国籍の教員がいることで、さまざまな意見を尊重し受け入れる雰囲気があり、子どもたちはその中で成長していると感じます。

これからの時代に必要とされる「Global School Skills」

編集部

グローバル教育で他に特徴的なところはございますか。

中野先生

もう一つの特徴として、これからの時代に必要とされるスキルを育む教育を行っています。教科の学びを通して「新しい知識を身につけるスキル」と「課題解決のスキル」を育み、それを「Global School Skills」として体系的にまとめ、そのスキルを身につけることを目指しています。

野原先生

「Global School Skills」は、6つの枠組みで構成されています。1つ目が「知り・理解する力」、2つ目が「思考する力」、3つ目が「表現する力」、4つ目が「振り返りをする力」、5つ目が「計画をする力」、6つ目が「協働する力」です。

この6つのスキルはさらに細かく分類され、各教科の授業に応じて適用されています。また、各スキルは授業ごとに提示され、生徒たちが具体的にどのスキルを学んでいるかが分かるようになっています。

編集部

何の授業でどのスキルが身につけられるのでしょうか?

野原先生

例えば、社会の授業では調査した内容を分析して自分の考えをまとめる「知り・理解する力」と「思考する力」や、スライドを作成したり発表する「表現する力」が必要になってきます。

また、総合の授業では「表現する力」「計画をする力」「協働する力」が身につきます。例えば、中学2年生の授業で子どもの貧困問題を扱った時の例でいうと、まず、日本で起きる子どもの貧困問題の現場を見て情報を収集します。その際、どのように情報を収集するのが効果的かを自分たちで考えます。収集した情報はグループでまとめ、分析し、他のインターネット情報などと比較して信頼性を確認します。最終的に、まとめた情報を発表したり、レポートとして提出したりしました。

こうした6つのスキルを身に付けながら高校2~3年生のときに、国際バカロレアのディプロマ・プログラム(DP)を行う計画です。DPのディプロマを取得することで、世界中の多くの大学への出願資格を得ることができます。

聖隷クリストファー中学校グローバルスクールコースの探究学習

聖隷クリストファー中・高等学校の探究学習で実験をする様子

編集部

続いて、聖隷クリストファー中学校グローバルスクールコースの探究学習についてお伺いします。

野原先生

探究学習については、「スキルサイクル」を重視しています。「スキルサイクル」とは、先ほどお話しした「Global School Skills」の6つのスキルがサイクル状に関連付いているものです。

まず課題や目標を「計画」し、対象を「知り・理解する」。理解したものを自分なりに「思考」し、「表現」していく。その後は「振り返り」をして改善点を見つけ、次の課題について「計画」していくというサイクルです。「協働する力」については、すべてのスキルにつながる部分ですので、サイクルのコアに位置づけています。

編集部

具体的には、どのような探究学習をされているのでしょうか?

野原先生

具体的な探究学習としては、中学2年生が2023年9月にニュージーランド研修旅行に行きました。

「スキルサイクル」を意識し、まずは事前の学習の中で、研修を通して自身がチャレンジしたいことやテーマ・課題などを目的・目標としてしっかりと決め、研修中は事前に定めた目的・目標を達成すべく行動し、現地への理解を深め、思考を表現・発表しました。

帰国後は振り返りとして研修前後の変化や学びをプレゼンテーションとして発表し、保護者や中学1年生に共有しました。この学習を通じて、課題や挑戦に対してどのように効果的に取り組むかを考え、学びを深めることができました。

編集部

印象に残っているテーマはありますか。

野原先生

生徒が取り組む課題は、「ニュージーランド研修旅行を通して体験したことを3つあげ、日本とニュージーランドにおける生活や文化を比較・対比し、それぞれの長所と短所を検討する。検討したことを選択した発表形式を用いて詳しく述べた上で、海外に行くことの価値についても触れる」という内容でした。

この課題に取り組む上で、テーマは生徒たちの自主性に任せていたので、こちらが予測しなかったものも多くありました。

例えば、「日本とニュージーランドにおける、水に対する意識の違い」や「人々の性格の違い」の他にも、「マクドナルドの違い」や「ボウリング場の違い」など、普段はあまり気に留めないことを自ら考察していくテーマは印象的でした。

聖隷クリストファー中・高等学校の中学校 グローバルスクールコース 教諭の野原先生

▲取材に応じてくださった野原先生

グローバルスクールコースでは教員と生徒の距離感が近い

編集部

聖隷クリストファー中学校グローバルスクールコースでの先生と生徒の距離感についてはいかがですか。

中野先生

少人数制ですし、小学校から成長を見ている生徒もおりますので、教員と生徒は家族のように距離が近いです。さまざまなことが起きる日々の中で、生徒たちは時に悩み、その感情をわれわれ教員に素直に表現してくれるので、その度に教員がサポートするような関係です。

多国籍の教員、本校ではインターナショナルティーチャーズと呼んでいますが、彼らも生徒に対して非常に丁寧にアプローチをしています。ですから、文化や国籍が違っても土台として持っている人としての共通性、あるいは、他国の人だからこそ持ってるような、人との距離の取り方やアプローチというものも生徒たちは同時に学んでいると思います。

聖隷クリストファー中学校グローバルスクールコースからのメッセージ

聖隷クリストファー中・高等学校の校名が入った壁

編集部

最後にぽてん読者にメッセージをお願いします。

中野先生

聖隷クリストファー中・高等学校は、聖隷の精神といわれるキリスト教の隣人愛を教育の根幹にし、自分自身の存在価値を認識し、可能性を最大限に生かして社会に貢献できる人を育成します。それは時代の変化に対応する力と、時代が変化しても変わらない大切な価値観を同時に育む教育です。

これからの時代には、多様な文化や価値観を理解し、俯瞰的な視野を持ちながら世界の人々と協働する力が求められています。そのために、私たちのグローバルスクールコースでは多国籍の教員とともに、英語でさまざまな学びを行っています。このような環境で学んでみたい方は、ぜひ進路の選択肢の一つとして本校を考えてみてください。

編集部

本日はありがとうございました!

■中学校グローバルスクールコースイベント情報
(聖隷クリストファー中学校グローバルスクールコース公式サイト)
https://www.seirei.ac.jp/elementary-school/2022gsceventslist/

聖隷クリストファー中学校グローバルスクールコースへのお問い合わせ

運営 学校法人聖隷学園
住所 静岡県浜松市中央区三方原町3453 
電話番号 053-415-8130
問い合わせ先 gscあっとseirei.ac.jp(あっとを@に置き換えてください)
公式ページ https://www.seirei.ac.jp/elementary-school/global_school_course/

※詳しくは公式ページでご確認ください