ぽてんをご覧の皆様に、注目の学校をご紹介する本企画。今回は、福岡県福岡市にある共学校(一部中高一貫)「西南学院中学校・高等学校」にインタビューを実施しました。
1916年に創立した西南学院中学校・高等学校は、キリスト教を基にした人格教育を行っています。充実した実験施設を使った理系教育、探究心を育む図書館を活用した学習など、生徒たちが主体的に学ぶことを目指したカリキュラムが特徴です。
今回は同校の教育の特色や校風などについて、早川校長、理科主任の松村先生、図書部長の藤原先生、広報部長の佐藤先生にお話を伺いました。
この記事の目次
「4つのL」を掲げる西南学院中学校・高等学校の教育目標
▲インタビューに応じてくださった学校長の早川先生
まず、西南学院中学校・高等学校の建学の精神についてお聞かせいただけますでしょうか?
建学の精神は、キリスト教バプテスト派の宣教師であり本校の創立者であるC.K.ドージャー先生の遺言「西南よ、キリストに忠実なれ」という言葉に集約されていると考えています。
ただ、この「キリストに忠実」というのは少々抽象的な表現ですよね。そのため、私たちは聖書の教えに基づいて「L」から始まる4つの英単語で教育目標の形に落とし込んでいます。
1つ目は「Life(生命)」で、すべての人の命を尊重することを指しています。同様に2つ目は「Love(聖愛)」で神への礼拝と他者への奉仕を、3つ目は「Light(光明)」で真理の光を掲げることを、そして最後は「Liberty(自由)」で責任を引き受けながら自由に行動することを表します。
生徒の皆さんは、4つのLを大事にしながら学校生活を送っているのですね。この理念の背景には、どのような想いがあるのでしょうか。
生徒たちは6年間もしくは3年間の生活の中でいろいろな体験をしながら学問を修めていきますが、私は学問の目標というのは真理を探求することだと考えているんです。それによって発見されたものは、学習者に生き抜く力と本当の自由を与えてくれます。
その意味では、中学校・高校時代の教育は人生の土台の部分であり、将来の進路を決める際の方向づけになるものだと思っています。生徒たちには、西南学院のキリスト教を土台とした人格教育や学習カリキュラム、部活動やボランティア活動などを通して、確かな知性を身につけてほしいですね。
知性を身につけることで、生徒一人ひとりが真の自由を獲得することに繋がり、ひいては平和な社会の実現に向かい貢献できるような人間に成長していけるはずです。本校では、その目標を達成するために教職員一同となってサポートしています。
学校生活で学んだキリスト教精神は、卒業生にもしっかり根付いている
▲校内のチャペルでは週1回、高校では学年単位、中学校では全校生徒が一堂に会し礼拝が行われている
建学の精神や教育目標はキリスト教がベースとなっていると思いますが、生徒の皆さんの反応はいかがですか。
ほとんどの生徒が、キリスト教に対して非常に好意的な印象を持ってくれていると感じています。
それは、キリスト教の精神に触れる機会が多いことも関係していると思いますね。例えば、本校では教室での礼拝や、讃美歌の斉唱を毎日行っています。また、週1回は校内のチャペルに集まり、集団での礼拝も行っています。
長い話を聞くときには、たまに眠くなってしまう子もいるようですが(笑)、それでも多くの生徒は建学の精神を理解してくれていますし、卒業後も西南学院で学んだことを忘れずに大事にしてくれていると思いますね。
いまのお話を象徴するようなエピソードはあるでしょうか。
先日、高校の卒業生が開催した同窓会に参加したのですが、卒業生・同窓生たちは最初に讃美歌を歌うことからスタートして、最後も讃美歌的性格を持つ校歌で締めていました。それは、キリスト教学校の卒業生としての確固たるアイデンティティーを持っていることの証だと思うんです。
また、社会に出て人生の困難に直面したときに、近くの教会に行ってみたという生徒も少なからずいるようですし、中には牧師になったという卒業生も数名います。中学・高校で培ってきたキリスト教の精神は、学校を離れた後もみんなの糧になっていると実感していますね。
実験は年100回。西南学院の充実した理科教育の特徴
▲理科実験の様子。顕微鏡が1人1台あるなど、設備も非常に充実している
西南学院中学校・高等学校では、理科の授業に定評があるそうですね。その特色について教えていただけますか。
まず、本校は実験の環境が非常に充実しています。理科実験室は中学校では2つ、高校では物理・生物・化学のそれぞれの分野ごとに実験室と講義室があるんです。中学校ではカリキュラムに即する内容で実験を行う一方、高校で学ぶ範囲の実験器具を使うなど、中高一貫校の強みが活かされていると思います。
また、中学の3年間で100回以上の実験や観察を行っていますし、高校でも大学進学後に役立つような高度な実験の機会があるので、実験の量や質は優れていると自負しています。理系学部に進学した卒業生からも、「授業で実験に慣れていたのでスムーズに進行できた」という声が届いていますね。
もちろんサポート態勢も整っていて、実験の準備や指導を行う教員が常時2名いるなど、サイエンスへの関心を高め、探究心を育むのに最適な環境だと考えています。
実験を主体にした理科の授業には、どんな狙いがあるのでしょうか。
単純にカリキュラムを進めるだけなら、実験は行わずに写真や動画を見せるだけでもいいですよね。でも、その分野に興味を持ったり、理解を深めたりしていくためには、自分で手を動かして体験することが効果的なんです。だから、西南学院では計画的にできるだけ多くの実験を行うようにしています。
クラブ活動でも理科の学びを深めていけるほか、校内に「ミュージアム」も!
▲インタビューに応じてくださった理科主任の松村先生
理科の分野に関して、実験のほかに生徒の探究心を養うような取り組みはありますか。
生徒たちがサイエンスを探究していく機会は、授業だけではありません。たとえば部活動もそのひとつで、高校では物理部・生物部・化学同好会が、中学には科学同好会があります。また、校外活動として毎年「サイエンスラボ」という他校との共同実験の場を設けており、運営は各クラブのメンバーが主体的に行っています。
あと面白いのは、理科の実験室が並ぶエリアにある「バイオミュージアム」ですね。ここはいわば校内の博物館で、コウノトリやニホンカワウソなど貴重なものも含めて様々な生物の剥製が展示されています。
本校の子はもちろん、他校から訪れた生徒たちも興味深いのか熱心に見てくれていますね。教科書でしか見なかったような生きものの姿を実際に見ることで、いろんな知識を深めていくきっかけになっているようです。
▲貴重な剥製が並ぶバイオミュージアム
御校では充実した理系教育が受けられると思いますが、コースの選択や卒業後の生徒の進路にも影響してくるのでしょうか。
そうですね。本校では高2で文系・理系に分かれるのですが、中学から入った生徒においては毎年理系の人数の方が多い状況です。また、理系学部への受験も多く、医学部や研究職志望の生徒も目立ちます。
実際に中学校の生徒を見ていても、理科や数学の教科に対して関心が高く、質問ひとつとっても非常に深い内容が多いです。本校の強みである理系の教育を通して生徒たちのなかに探究心がしっかり育まれていると思いますね。
蔵書8万冊の図書館。生徒が主体的に運営し利用を促進する
▲インタビューに応じてくださった図書部長の藤原先生
西南学院中学校・高等学校の魅力の一つである、図書館についてご紹介いただけますか。
本校の図書館は開放的なアトリウムに設けられており、校舎の中心にあるのでアクセスしやすく、多くの生徒が利用しています。蔵書も約8万冊と充実していて、「読書センター」という役割を十分に果たしています。
また、この図書館には「情報学習資料センター」としての役割もあります。各教科の授業、また総合的な学習(探究)の時間の一環で調べものをするときに活用されることも多く、司書が3人常駐しているので手厚いサポートが受けられます。
それと合わせて、オンラインでの取り組みも進めています。図書館の情報サイトを開設し、蔵書検索や資料の探し方、先生のおすすめ本のコーナー、各企業や団体が実施するコンテストの案内の掲示などを掲載しており、本自体や図書館に関心を持ち行動してもらうように工夫を重ねています。
図書館の運営には、司書の先生だけでなく生徒の皆さんも関わっているのでしょうか。
はい。中高それぞれに図書委員会があり、週1日の朝読書や学級文庫の管理運営、また、さまざまな企画を手掛けるなど、主体的に活動しています。
例えば、図書委員のおすすめの本をポップに書いて展示するなどの取り組みはもちろん、図書館の利用回数に応じて貸出冊数を増やしたり、貸出期間を延長するなど、利用促進に繋がるようなアイデアを出してくれていますね。
ドームが熱気に包まれた、初めての中高合同体育祭
▲2023年には中高合同体育祭をみずほPayPayドーム福岡で初めて開催し、大いに盛り上がった
学校行事でのトピックがあれば、ご紹介いただけますか。
西南学院中学校・高等学校は学校行事も大変充実しているのですが、中でも、2023年9月に行った「中高合同体育祭」は大変盛り上がりましたね。
これまで、本校では中学校で体育祭、高校でスポーツフェスティバルという形でスポーツの祭典を別々に開催していました。中高合同で行うのは史上初めてのことで、しかも規模は約2,000人、2日制、2日目の開催場所は福岡の象徴的なスポットである「みずほPayPayドーム福岡」と、学校内外から注目を浴びるイベントとなりました。
準備段階でも、生徒たちがオリジナル競技を考えたり、クラスごとにTシャツをデザインしたりと、すごく熱がこもっていましたね。いわば、体育祭と文化祭を同時に行うようなものです。
当日は色ごとに5つの団に分かれて、騎馬戦やリレーなどの競技を行ったほか、全員で協力する応援やダンスなどはすごく迫力があり、一日中熱気に包まれていました。野球中継などのテレビでしか見ないような緑の芝生や大型スクリーンを体感できたのも、一生の想い出になったのではないかと思います。
2024年度も9月に開催予定なので、今から準備を進めていきます(取材は2024年5月)。
西南学院中学校・高等学校からのメッセージ
▲福岡市の中心部に位置する同校。PayPayドームもすぐ近く
最後に、西南学院中学校・高等学校に興味を持った受験生のお子さんや保護者の方へのメッセージをお願いします。
口コミなどでよく触れていただくのですが、本校は日常生活で笑顔の生徒がとても多い学校であることが、一番の強みだと思っています。
学校生活に満足している生徒が多いからか、好意的な評価を多くいただいており、それが保護者の皆様のあいだでも広く伝わっているようです。ありがたいことに、オープンキャンパスの申し込みがすぐに埋まってしまうくらいなんです。
西南学院に入っていただけたら、絶対に後悔をさせません。「この学校に入ってよかった」と実感できるような6年間、もしくは3年間を送っていただけると思いますので、ぜひ本校においでください。Welcome to Seinan!
抜群の立地と校内の環境だけでなく、キリスト教をベースとした人間性を育む取り組みや理系のプログラムなど、御校の魅力について本当によく理解できました。本日は、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました!
西南学院中学校・高等学校の進学実績
西南学院高等学校の2024年度の状況を見ると、京都大学に3人、九州大学に20人合格するなど、全国の国公立大学に88人が合格しています。また、私立大学では系列の西南学院大学をはじめ、慶應義塾(7人)、早稲田(16人)といった難関大に数多くの合格者を輩出しています。医学部・歯学部・薬学部も毎年100名をこえる合格者を出しています。
このような実績をあげられているのは、高校2年以降のコース選択で自分の志望に応じたカリキュラムの授業が受けられるほか、習熟度別のクラス編成であることが大きいです。また、きめ細やかな進路指導や補習、ネイティブ講師の面接練習など、教員のサポートが熱心であることも背景にあると思われます。
在学中に中・長期の留学を経験する生徒たちも年々増えており、2024年度入試は、海外大合格数が2桁の数となりました。(HP参照)
毎年、留学生を複数受け入れオンライン英会話やオンライン多読の取り組みが実を結んでいるようです。
■西南学院中学校・高等学校の進学実績(公式サイト)
https://hs.seinan.ed.jp/career/results.html
西南学院中学校・高等学校の保護者・在校生の口コミ
▲クリスマスツリー点灯式。生徒の個性が発揮できる機会が多いのが同校の特徴だ
ここでは、西南学院中学校・高等学校の在校生、保護者から寄せられた口コミを一部抜粋して紹介します。
口コミでは、生徒の自主性を尊重しながら、生徒の能力を引き出そうと取り組む学校の姿勢を評価する声が多数見られました。また、図書館などのびのびと学べる学習環境を魅力と感じているとの意見も寄せられていました。
西南学院中学校・高等学校へのお問い合わせ
運営 | 学校法人 西南学院 |
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住所 | 福岡市早良区百道浜1-1-1 |
電話番号 | 092-841-1317 |
公式ページ | https://hs.seinan.ed.jp/ |
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