「湘南学園中学校高等学校」の社会を知り生き方を学ぶ、探究学習とグローバル教育|中高一貫校

ぽてんをご覧の皆様に、注目の学校をご紹介する本企画。今回取材したのは、神奈川県藤沢市にある私立の中高一貫共学校「湘南学園中学校高等学校」です。

地域の保護者たちにより設立された同校では、子を持つ親の願いが込められた「社会に役立つ人として生きていくための」教育が行われています。30年以上前から実施されている、世の中を知るための探究学習や、世界の歴史に触れるグローバル教育など、学習する中で自分の生き方を見つけられる環境です。

今回は伊藤眞哉校長、入試広報主任の斉木翔平先生に教育方針、カリキュラムなど学校の特徴についてお話を伺いました。

地域の保護者が設立「湘南学園中学校高等学校」に込められた親の思い

湘南学園中学校高等学校の伊藤眞哉校長

▲湘南学園中学校高等学校の伊藤眞哉校長

編集部

まず、湘南学園中学校高等学校の成り立ちや、建学の精神についてご説明いただけますでしょうか。

伊藤校長

本学園は1933年、国内が戦争に向かう情勢のなか、「こんな時代だからこそ、自分たちの子どもには豊かでのびのびした教育を受けさせてあげたい」との思いで、地元の藤沢・鵠沼地域の保護者の方々が土地やお金を寄付し合い、設立された学校です。

このような成り立ちの学校ですから、建学の精神には保護者の“親としての子への願い”が込められており、他校と比べると少し欲張りな建学の精神になっております。

建学の精神は「個性豊かにして 身体健全 気品高く 社会の進歩に貢献できる 明朗有為な実力のある人間の育成」で、つまりは「どんな社会でもその子らしく、たくましく、しなやかに生きていってほしい」というものです。

編集部

とても特徴的な背景のある学校なのですね。他にも、湘南学園中学校高等学校ならではの特徴はありますか?

伊藤校長

学校の教育方針にしろ、ルールにしろ、行事にしろ、何かと「みんなで話し合って決める」という文化があります。これは本校が保護者によって設立された学校であるというところが大きく影響しており、学校の経営も保護者の代表と教員の代表で理事会を運営しています。

それぞれ異なる立場のものが集い、それぞれの目線から「子どもたちのためにどうすれば良いか」とアイデアを出し合い、学校がまわっています。

社会の人から生き方を学ぶ「湘南学園中学校高等学校」の探究活動

湘南学園ESDに取り組む生徒たち

▲地域の人々らと交流して社会のことを学ぶ「湘南学園ESD」

編集部

湘南学園中学校高等学校の探究学習について教えてください。

伊藤校長

本校では、「湘南学園ESD」を軸とした教育活動の一環として、生徒の発達段階に応じて少しずつ視野を広げていけるような探究活動を行っています。

ESD(Education for Sustainable Development)とは、環境や貧困、平和など、世界の社会課題に目を向け、持続可能な社会を目指す教育活動のことを呼ぶのですが、本校ではいわゆる「総合的な探究の時間」が学習指導要領に位置づけられる以前の1990年からこの活動を行なっていました。

当時、「やがて社会に出ていく子どもたちに、“世の中に出ていく人としての大切なもの”をできるだけ早く身につけてもらいたい」との思いで、社会の人から生き方を学べるような教育を始めました。

世の中の人たちの努力や思いを知り、自分にはどのような社会貢献ができるのか、中高6年間の総合学習を通して、生徒たちと一緒に考えていきます。

編集部

具体的には、どのような活動をするのでしょうか?

伊藤校長

中学1年生では、外部から進学した生徒、系列小学校から内部進学した生徒と、様々な出会いが生まれます。

この出会いをきっかけに、「人にはいろいろな個性があって、気の合う人もいればそうでない人もいる、でも一人ひとりの持ち味を受け入れられる人であってほしい」という思いを込めて、互いを認め合い、尊重し合う心を育む活動をしています。これまでには、障害を抱えた方、LGBTQの当事者の方など、さまざまな立場の方からお話をうかがう機会などを設けてきました。

中学2、3年生では、「地域」がいろいろな人が立場の違いを超えて協力しあって成り立っていることを学びます。

学校周辺地域、さらに広く神奈川県内に出かけて、社会に触れます。例えば、学校近くの海の保全に尽力されている方、伝統の「鎌倉野菜」を育てている農家の方などに取り組み内容をうかがい、さらに実際に作業を体験したりしながら社会を知り、持続可能な未来を考えるための土台を作ります。

編集部

高校ではどのような活動をするのでしょうか?

伊藤校長

中学時代から視野を広げて国内外、もしくはSDGsなど、自分たちの関心あるテーマに沿って、探究していきます。

具体的には、5、6人のチームを作って、企業やNPO、行政機関などに自らアポイントメントをとり、訪問します。学んだ結果は学年報告会で発表します。

社会は多くの人に支えられていること、物事は一朝一夕に進まないことなど、生徒たちは今まで知らなかった現実を目の当たりにして、「将来、社会に出たときにどう生きていけばいいか」などを考えるきっかけになっているようです。

編集部

こうした探究活動を通して、生徒の皆さんの変化などはありましたか?

斉木先生

「湘南学園ESD」での学びが進路に影響した生徒もいます。例えば、JICAに入り、発展途上国で現地の人と関わりながら、現地の暮らしがよくなるように尽力している生徒などです。

また、6年間かけて取り組む探究的な学びですが、「もっと探究の学びを深めたい」という生徒が出てきています。

それに応えるものとして、2025年度からの高校2年生を対象に、新たに3種類の探究型の授業を新設します。週4時間、1年間かけて自分のテーマを探し、知りたいことを深掘りしていくものです。腰を据えて考える機会となりますので、今後、さらに生徒たちの探究心は深まっていくんじゃないかと期待しています。

湘南学園中学校高等学校の斉木翔平先生

▲湘南学園中学校高等学校の斉木翔平先生

世界の歴史を目で見て学ぶ「湘南学園中学校高等学校」のグローバル教育

湘南学園中学校高等学校のバンクーバー研修旅行で外国人と話す生徒

▲バンクーバー研修旅行の一コマ。

編集部

湘南学園中学校高等学校のグローバル教育の特徴について教えてください。

伊藤校長

中学3年生の段階で全員で海外研修旅行を実施していますが、それに加えて春休みや夏休みを活用してカナダやオーストラリアなどに一定期間滞在し、語学研修に加え、現地文化に触れるグローバルセミナーを設けています。そのなかでも特徴的なのは、ポーランド、リトアニアを訪れる「ヒストリーツアー」というものです。

ヒストリーツアーとは、英語の語学力アップというよりは、人間の営みがもたらした切なく、はかない歴史から世界観や歴史観といった多くのことを感じ取ることを目的にしたものです。

多くのユダヤ人が迫害されたホロコーストの歴史を、ゆかりの場所をめぐりながら学んでいきます。多くの命が奪われたアウシュヴィッツや、第二次世界大戦中、リトアニア領事代理として多くのユダヤ人の命を救った杉原千畝氏の記念館などを訪れます。

現在は、ウクライナ侵攻の影響で実施を見合わせていますが、状況が落ち着けばぜひ再開したいと考えています。

編集部

グローバル教育全体を通して、生徒の皆さんにどんな変化が生じているのでしょうか。

伊藤校長

グローバルセミナーなどをきっかけに、海外留学を志す生徒が目立ちます。行先も、メキシコやブラジルなど様々です。帰国後も語学の勉強に力を入れようというモチベーションにもつながっているようです。

昨年からは土曜日の放課後に、留学経験がある生徒が後輩や保護者向けに、留学生活の良かったところ、大変だったところなどのリアルを語る「留学フェア」を始めました。海外に目を向ける生徒がさらに増えればいいなと思っています。

湘南学園中学校高等学校からのメッセージ

湘南学園中学校高等学校の体育祭で表彰台に立つ生徒

▲中学高校の合同で開催される体育祭。

編集部

最後に、湘南学園中学校高等学校に興味をお持ちの読者の方へメッセージをお願いします。

斉木先生

本校は生徒たちの主体性を特に重んじている学校です。そんな環境ですので、生徒たちは「自分で何かをやり遂げよう」という姿勢がとても強いです。

学園で大きな行事である体育祭、学園祭、合唱コンクールは、企画から当日の運営まで生徒たちが一体となって取り組み、生徒の挑戦する姿勢が養われています。教職員と生徒の距離はとても近いのも特徴で、生徒の相談に対しては、「やってごらん」「一緒にやろうか」と後押しを惜しまないムードが根付いていると感じています。

ぜひ一度ご来校いただき、学校の雰囲気をご覧ください。

伊藤校長

日々、子どもたちと接するなかで、湘南学園で教鞭を取れてよかったと感じるのは、一人ひとりが秘めている持ち味や潜在的な可能性を発見したとき、そしてそれを伸ばすことができたときです。本校ではそんな場面が日常的にみられます。

教職員それぞれ、子どもたちが新しいことに積極的にチャレンジし、自分らしい人生を送れるよう、精いっぱい応援してまいりますし、本校にはその環境が整っていると確信しています。ぜひ、一度学校・入試説明会にお越しいただき、本校の魅力に触れていただければと思います。

編集部

本日はありがとうございました!

東北研修旅行で記念写真を撮る湘南学園中学校高等学校の高校2年生の生徒

▲社会を知るための取り組みが豊富な同校。高校2年生の研修旅行では東北の被災地を訪れた。

湘南学園中学校高等学校の進学実績

たくさんの蔵書がある湘南学園中学校高等学校の図書室

▲生徒たちの知識欲を満たす、豊富な蔵書がある図書室

湘南学園中学校高等学校の卒業生はその大半が四年制大学に進学。2023年度は一橋、筑波、横浜国立などの国公立大学のほか、早稲田、慶應義塾、上智、東京理科などの難関私立大学にも合格者を輩出しています。

■湘南学園中学校高等学校の進学実績(公式サイト)

https://www.shogak.ac.jp/highschool/esd_top/carrier/jisseki/

湘南学園中学校高等学校の卒業生・保護者・在校生の口コミ

ここでは、湘南学園中学校高等学校の在校生、卒業生、保護者から寄せられた口コミを一部抜粋して紹介します。

(保護者)「自分から働きかけていくことの大切さ」「仲間と協力していくことの大切さ」「自分たちは社会の一員であること」などなどを実体験として学ぶことができる学校。

(在校生)生徒主体で動ける学校で、生徒の働きかけにより校則を変えられたり、プロジェクトを設立して功績を残すこともできる。自分の頑張り次第で、より良い学園生活を送れるようになる。

(保護者)小規模な学校なので、先生の目も行き届きやすい。とにかく生徒の自主性を尊重するという点がよい。

(卒業生)学園祭や合唱コンクール、体育祭、新入生歓迎会などイベントがとても充実していて、中身もとても濃い

口コミで特に評価の声が目立ったのは、生徒が自ら体育祭などの学校行事を企画運営にとどまらず、予算管理まで主体的に担うなど、生徒の自主性、積極性を育める学校である点です。また、環境面では学校周辺が静かで教育環境としては最適との指摘が多数ありました。

先生方のインタビューでも触れられていましたが、先生に相談しやすく、全体的に温かい雰囲気のある学校である点も、支持されている理由の一つと考えられます。

湘南学園中学校高等学校の合唱コンクールの写真

▲毎年1月に行われる学年の締めくくりの行事、合唱コンクール

湘南学園中学校高等学校へのお問い合わせ

運営 学校法人湘南学園
住所 神奈川県藤沢市鵠沼松が岡4-1-32
電話番号 0466-23-6611(代)
資料請求・お問い合わせ https://mirai-compass.net/usr/
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公式ページ https://www.shogak.ac.jp/highschool/

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