ぽてん読者の皆様に、いま注目を集める学校を紹介するこの企画。今回は、埼玉県川越市にある中高一貫校「城北埼玉中学・高等学校」を紹介します。
城北埼玉中学・高等学校は「人間形成」と「大学進学指導」を柱にした教育をしています。男子校ならではの伸び伸びとした雰囲気も魅力です。文武両道としても知られる同校は部活動でも好成績をおさめています。
今回は城北埼玉中学・高等学校の谷嶋良夫教頭と、出合英之広報部長にお話を伺いました。
この記事の目次
城北埼玉中学・高等学校の建学の精神
▲お話を伺った(左から順番に)出合先生と谷嶋教頭先生
まず始めに、城北埼玉中学・高等学校の建学の精神について教えていただけますか。
本校は1980年に開校した男子進学校です。
近藤薫明(こんどうしげあき)元城北学園理事長兼校長が半世紀以上にわたって培ってきた「心身ともに健全で自律的な努力に徹し得る人間の育成」という建学の精神を受け継ぎ、「着実・勤勉・自主」の校訓のもとに、「人間形成」と「大学進学指導」を2つの柱とした教育を行っています。現在の生徒数は中学校が約300名、高校が約550名です。
城北埼玉中学・高等学校には、「静座(せいざ)」という独自の取り組みがあると伺いました。
静座」は、開校以来続いている本校の伝統です。精神統一の「正座」や「座禅」の要素を取り入れたもので、背筋を伸ばして目を閉じ呼吸を整えて、30秒ほどかけて気持ちを落ち着けます。各ホームルームや授業の前に毎回行っていますね。
精神統一という側面が大きいかもしれません。男子校ですので、やはり休み時間とかは賑やかなのですが、静座を各授業の始まりに行うことで、気持ちを落ち着けて授業に臨めるんです。毎日、授業ごとに静座をして、それを6年間続けますよね。そうすると習慣化するので、大学受験をはじめ緊張するような日常の場面でも、静座をすることでドキドキした心を抑えられたという卒業生の声もあります。
▲静座は城北埼玉中学・高等学校の伝統
実践的な英語力が身に付く、イングリッシュキャンプ
城北埼玉中学・高等学校の特徴でもある「イングリッシュキャンプ」について教えてください。
イングリッシュキャンプは、体系的な英語の行事をつくるために生まれた4年間の統一プログラムです。基本的に全員参加で、毎年さまざまな場所に行き英語を学びます。
中学1年生は「校内ミニ留学」として、通いで4日間ネイティブの方々と一緒に少人数グループで学びの発表会を行います。中学2年生は山梨県へ行き2日間泊りがけで英語を学びます。
中学3年生は福島県にある「ブリティッシュ・ヒルズ」という英国風の宿泊施設に泊まり、英国文化に触れながら学びます。高校1年生は実践的な英語力を身に付けるため、泊まりがけでオールイングリッシュのディベートを行います。
▲イングリッシュキャンプでは、ネイティブの人々との交流も深まる
4年間かけて英語力を磨いていくのですね。生徒さんの姿勢はどのような感じですか。
イングリッシュキャンプの派生形として、本校ではオーストラリアへの短期留学も行っています。短期留学は希望制なのですが、毎年希望者がとても多いんです。定員30名のところに倍以上の希望者が来るので、抽選です。
生徒さんの学びのモチベーションを上げるために、先生方はどのような働きかけをされているのでしょうか。
英語に関しては、学びの機会をたくさん設けるようにしています。英語に対して苦手意識を持っている生徒が多いので、ネイティブの先生による少人数授業を行い、生徒自身の英語が「伝わる」経験をたくさん与えるように心がけていますね。そうした経験が積み重なると、生徒は「英語は怖くない」「自分の英語も通じる」と思えます。生徒たちの苦手意識もだんだんと薄れていくんです。
▲城北埼玉中学・高等学校には3人のALTが在籍している
実社会の課題を体験して考える「JSプログラム」
城北埼玉中学・高等学校では「JSプログラム」という体験型の学習機会を提供していると伺いました。プログラムの内容を教えてください。
先日は、埼玉弁護士会の協力のもと、「最強交渉術」と題して少人数制の模擬裁判の練習やディベートを行いました。このプログラムに参加した生徒が「第16回高校生模擬裁判選手権関東大会」で審査員特別賞をいただいたこともあります。
また、日本大学医学部や埼玉医科大学に協力してもらい、「1日医師体験」という医師志望の生徒たちが実習体験をさせていただくプログラムもあります。あとは、JAXAの見学ツアーも人気プログラムですね。
JSプログラムは強制ではなく、あくまでも生徒本人の希望で参加しています。ですが、例えば最強交渉術を通して法曹の世界や弁護士業に興味を持ったり、1日医師体験で実際の現場を見て、医師になりたいという気持ちが強くなったり、将来のことじゃなくても、生徒本人の心が動き、次の目標につながるきっかけになっています。
▲タブレットを使用した授業も行っている
ほとんどの生徒が入部。45種類ある城北埼玉中学・高等学校の部活動
城北埼玉中学・高等学校は、クラブ活動も盛んだと伺いました。
そうですね。同好会も合わせると文化部で23、運動部で22の部活があります。本校の規模としてはなかなか多い方だと思います。基本的に部活動は強制ではありませんが、ほとんどの新入生が部活に入りますね。中には高校に上がって勉強に専念するために辞める生徒もいますが、全体的に多くの生徒が部活動に興味を持っている状態です。
コンテスト金賞受賞の部も!オタク心を極められる文化部
文化部と運動部のそれぞれの特徴を教えてください。まず文化部ですが、1番人気なのは何部なのでしょうか。
文化部の1番人気は、鉄道研究部ですね。過去に鉄道のジオラマを製作し「全国高校生鉄道模型コンテスト2023」で金賞をもらいました。
どの男子校にも共通することかもしれませんが、男子校っていわゆるオタクの居場所が絶対にあるんですよ。オタクというと語弊があるかもしれませんが…。
本校には鉄道以外にも飛行機などの乗り物、模型、化学など、運動以外のさまざまなものに熱中する生徒が集まってきます。何かに熱中している生徒たちの居場所や、輝ける場所を多く提供するのが教員の役目だと思っています。部員が3~4人の文化部などもありますが、文化祭はとても盛り上がるんですよ。
熱中するものを持っている生徒は、極めている生徒が多いですね。私は社会地理担当で鉄道が好きなのですが、私がついていけないくらい詳しかったりします。その熱意が結果として現れることも多く、例えば模型部は「ハイスクール国際ジオラマグランプリ」でグランプリを2回受賞し、写真部は写真甲子園で2位に入りました。
▲模型部では情景模型なども手がける
賞を受賞する文化部が多い印象がありますが、なぜそこまで強いのでしょうか。
順位が高い方が嬉しいという気持ちもあるのかもしれませんが、ベースにやはり1つのことを突き詰めて、そこでわかったこと、つくったものを見せたいという純粋な熱意があるのだと思います。あとは、教員がその熱意のベクトルを結果につなげられるようにサポートしているという面もあるのではないでしょうか。
運動部は全国大会常連の部活も。少林寺拳法部や自転車競技部など珍しい部活が揃う
運動部にはどのような部活があるのですか。
強いところでいうと、剣道部ですね。高校は全国大会にここ数年は毎年のように出場しています。あとは少林寺拳法部も、全国大会の常連です。
運動部にも変わった部活が比較的多くて、例えば自転車競技部は他校ではあまり見かけないかと思います。自転車競技をしたい生徒たちと、サイクリングをしたい生徒たちで2つに分けていますが、自転車競技の方はインターハイに出場しています。スキー部も珍しいかもしれません。スキー部もインターハイに出場していますね。もちろんメジャーどころのサッカー部や野球部も活発です。
運動部の生徒さんに共通するものはありますか。
そうですね。やはり、集中力でしょうか。中学の時って「この子が入るからこの部活入ろう」という感じで、軽い気持ちで入る生徒も結構いるのですが、やっていくうちにどんどんのめり込んでいく。その集中力が勉強にも向かっていってますね。
もちろん体力的には疲れる部分もあると思うのですが、集中力と切り替え力というのが、運動部の生徒はすごいなと感じることが多いです。
あとは本校は男子校なので、女子マネージャーがいません。ですので、細かい洗濯や準備など、すべて自分たちで行います。各部活の顧問もその部分は徹底的に指導しているので、だんだんとそれが当たり前になってくるんですね。他校に練習試合に行った際も、本校の生徒は積極的に準備や片付けをします。
本校の式典や入学式などの準備はすべて運動部の生徒たちがやってくれるので、教員たちも大変助かっています。
▲少林寺拳法部は全国大会の常連
部活動を通して「勉強面や人間性も成長させていこう」という意識は、文化部、運動部の両方に共通していると思います。部活動を頑張っている生徒は勉強も頑張れるという点は、本校の生徒の特長かもしれません。中学生と高校生が一緒に活動する部活も多いので、高校生の先輩が中学生の後輩をうまく導いてくれている姿もよく見ますね。
部活動が盛んなことが生徒さんの学業面や人間形成に良い影響を与えているのですね。部活動以外の場での生徒さんの特徴的なエピソードはありますか?
そうですね。人助けで表彰される生徒が多いかもしれません。昨年の夏に、おじいさんが暑さでぐったりしているところを本校の生徒が見つけて、介抱して救急車を呼んだという出来事がありました。
あとは、自転車に服が絡まって困っている人を助けたりとか…そういったあたたかい話は聞きますね。面倒見が良くて、素直な生徒が多いかなと感じます。
今回さまざまなお話を伺って、城北埼玉中学・高等学校の先生方は生徒さんの様子をよく見ていらっしゃるというか、先生方も非常に面倒見が良いんだなという印象を受けました。
卒業生や保護者の方からは「教員と生徒の距離が近い」と言ってもらえることが多いのですが、そうした距離の近さが関係あるのかもしれません。近いからこそ生徒の些細な変化にも気が付くというか。
私たちは特別なことをやっている意識はないのですが、生徒や卒業生から「ちょっとつらくなってきたときに相談に乗ってくれた」「寄り添ってもらえたのが嬉しかった」といった言葉を聞けると、信頼して貰えているのだと感じます。
城北埼玉中学・高等学校からのメッセージ
最後に、城北埼玉中学・高等学校に興味をお持ちのお子さんや保護者の方へメッセージをお願いいたします。
本校は、ずっと続いている男子進学校として進路実現をできる学校でもありますし、「フロンティアコース」のように新しいものを積極的に取り入れている学校でもあります。伝統的でありながら、かつ広く視野を向けられるような学校です。
また、男子校としての良さをこれからもしっかり守っていきたいと考えていますので、ご興味をお持ちの方はぜひとも見学にいらしていただければと思います。
本日は、貴重なお話をありがとうございました。
城北埼玉中学・高等学校の進路実績
令和6年は東京大学や一橋大学をはじめ、国公立大学へ現役で39名が合格しました。
また、早稲田大学や慶應義塾大学、上智大学などの難関大学へも数多くの生徒が進学しています。中には多摩美術大学や武蔵野美術大学など、芸術分野へ進んだ生徒もいました。
城北埼玉中学・高等学校の進路実績は、以下のページで詳しく紹介しています。
大学合格実績|城北埼玉中学・高等学校
城北埼玉中学・高等学校の卒業生・保護者・在校生の口コミ
ここでは、城北埼玉中学・高等学校の在校生や卒業生、保護者の口コミを紹介します。
城北埼玉中学・高等学校へのお問い合わせ
運営 | 城北埼玉中学・高等学校 |
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電話番号 | 049-235-3222 |
公式ページ | https://www.johokusaitama.ac.jp/ |
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