進化を続ける「青山学院横浜英和中学高等学校」の新たな挑戦|中高一貫校

独自の教育を実践する注目の学校を紹介する本企画。今回は、神奈川県横浜市にある中高一貫の共学校「青山学院横浜英和中学高等学校」を紹介します。

同校は、キリスト教に基づく人格教育を目的に1880年に創立されました。横浜山手の地に誕生し、1916年には現在の蒔田の丘へ移転、そして100年後の2016年には青山学院大学の系属校となり、2018年からは女子校から共学校になりました。144年の歴史を持つ伝統校でありながら、常に進化を続けています。

今回は、そんな青山学院横浜英和中学高等学校の教育方針や国際教育に関連する独自の取り組みなどについて、入試広報部長の相田先生にお話を伺いました。

キリスト教の教えを将来に活かす青山学院横浜英和中学高等学校の教育理念

青山学院横浜英和中学高等学校の相田先生

▲取材に対応いただいた入試広報部長の相田先生

編集部

まずは、青山学院横浜英和中学高等学校の教育理念についてお聞かせください。

相田先生

本校は、アメリカから来日した宣教師によって、1880年に創立された学校です。キリスト教を基盤とした人格教育を目的として運営しており、校訓は「心を清め 人に仕えよ」です。

青山学院横浜英和中学高等学校の礼拝の時間

▲朝の礼拝。聖書を読み、讃美歌を歌うことから1日がスタートする

相田先生

本校では、毎朝の礼拝から1日がスタートします。6年間毎日聖書に触れる中で、キリスト教の考え方や価値観を、自分の学校生活、あるいはもっと広い意味で将来に活かしてほしいと考えています。

その上で、教育目標として「神を畏れる」「自立する」「隣人と共に生きる」の3つの柱があり、これを基にいろいろなプログラム・カリキュラムを設定しています。ここでの「神を畏れる」はキリスト教教育、「自立する」はキャリア教育、「隣人と共に生きる」はグローバル教育を意味しています。

編集部

キリスト教教育について、御校独自のプログラムやエピソードがありましたらお聞かせください。

相田先生

本校では中学1年生・2年生、高校2年生・3年生の4回、「修養会」という2泊3日の宿泊行事を行っています。

そこではテーマを設け、例えば中学1年生では「新しい生活の中で自分をどう活かすか」といった身近なことを、高校2年生は「豊かに生きるためにはどうすればいいか」、高校3年生だと自分たちの生き方そのものについて、といった具合にテーマのスケールが大きくなっていきます。

先ほど申し上げたような、キリスト教の考え方や価値観を自分の人生や将来にどう生かしていくのかといった講演を聞いたり、ディスカッションしたりしながら、キリスト教への理解を深める機会となっています。

青山学院横浜英和中学高等学校の宿泊学習の様子

▲宿泊学習である「修養会」。テーマをもとにした講演を聞き、友達と話し合うことで、自分と他人への理解が深まっていく

編集部

普段の生活では人生や生き方について友だちと話し合う機会はないかと思うのですが、「修養会」では本音が出て、得るものがあるといった手応え、反応のようなものはありますか?

相田先生

高校生になると自分が今まで抱え込んでいたものを吐露すると言いますか、実はこうだったみたいなことを言って共感を得たり、ほっと安堵する、肩の荷を下ろすような場面があったりします。

自分の生き方や相手の生き方、お互いを知り、自分たちがどう生きていくかを話し合う中でクラスメイトとの絆も深まっているのではないかと思います。

また、キリスト教の歴史や聖書に書いてあることだけから学ぶのではなく、そこから自分の人生や生き方にどう落とし込むかを考えることは実に意味があると考えています。

世界各地に提携校を有する青山学院横浜英和のグローバル教育

青山学院横浜英和中学高等学校のシアトルサマープログラムでのキャンプファイアー

▲シアトルサマープログラムで行うキャンプファイアーの様子

編集部

御校のグローバル教育についてお聞かせください。

相田先生

本校は、早くから帰国生を受け入れており、さまざまなバックグラウンドを持った生徒たちが学んでいます。海外姉妹校の歴史も古く、中でもオーストラリア・メルボルンのフィントナガールズスクールとは1996年から提携関係を続けています。

本校の生徒が行くだけではなく、オーストラリアから本校に来て、生徒の自宅でホームステイをするといった深い関係ができています。

フィントナガールズスクールはその名の通り女子校ですが、本校は2018年に男女共学校になったので、現在ではアメリカ、カナダ、ニュージーランドの共学校ともにプログラムがあり、男女ともいろいろな国際プログラムが体験できます。

こうした海外に出ていく活動や留学生の受け入れに加え、もちろん日々の英語教育にも力を入れています。

編集部

御校のホームページを拝見したところ、本当に世界各地の多くの学校と姉妹校提携していると思いました。

相田先生

そうですね。高校だけではなく、姉妹大学もあります。中でもアメリカのカリフォルニアバプテスト大学には、毎年2週間の短期留学に行っており、この春も中1〜中3の希望者30名ほどが行きました。

カリフォルニアでホームステイしながら、現地の大学生と一緒にビジネスや経済学などのいろいろな授業を受けたり、ボランティア活動をしたりします。ボランティアは、低所得者の方に野菜を提供する農園の手伝いや、地元の小学校で児童たちと一緒に遊んで交流したりといった内容です。

そのほかカリフォルニアディズニーランドやワーナーマイカルのスタジオへ遊びに行くなど盛りだくさんのプログラムとなっています。

青山学院横浜英和中学高等学校の生徒の海外での研修

▲カリフォルニアの地で元気にジャンプ。「学び」だけでなく「楽しみ」も感じることができる

編集部

カリフォルニアに行った生徒さんの反応・感想はいかがでしたか?

相田先生

中学生なので、アメリカの大学生の授業に交えてもらう経験はなかなかできないですし、しかも英語を使わなければいけないということで、とても刺激になったそうです。また、気候も全然違うので、そうした異空間・異文化に触れるのはとても楽しかったと言っていました。

編集部

カリフォルニアバプテスト大学への短期留学は希望者とのことですが、全員参加の海外プログラムもあるのでしょうか?

相田先生

カナダのバンクーバーへの海外研修、これは全員参加で1週間行きます。ブリティッシュコロンビア大学での研修もあります。また、シアトルサマープログラムではベルビュー大学での研修の他、スターバックスやマイクロソフトの本社を見学するといったプログラムが組まれています。

青山学院横浜英和中学高等学校の姉妹校オーストラリアにあるファーン・スクールでの生徒の集合写真

▲オーストラリアにある姉妹校ファーン・スクールでの一コマ

編集部

そのほか、御校の海外留学や研修プログラムで何か特徴がありましたら教えてください。

相田先生

カナダの公立高校、ブリティッシュコロンビア州公立高校に3ヶ月や1年間の留学プログラムがあり、1年間に5名程度が留学しています。1年間留学しても成績次第では元の学年に戻ってこられるので卒業年も変わらないです。

職業や進路選択の視野を広げる青山学院横浜英和中学高等学校のキャリア教育

青山学院横浜英和中学高等学校の生徒たちがキャリア塾のワークショップに参加している様子

編集部

御校では「キャリア塾」という授業があるとお聞きしたのですが、これは具体的にどういったものなのでしょうか?

相田先生

「キャリア塾」は、将来の職業選択や進路選択のためのキャリア教育の一環として去年(2023年)から始まったプログラムで、いろいろな企業の方に来ていただいてワークショップをしてもらいます。

学校だけにいると教師としか会わないので、いろいろな業界の方と会って、いろいろな仕事があることを知ってもらおうということです。

青山学院横浜英和中学高等学校の生徒たち

編集部

キャリア塾では具体的にどういったワークショップをされているのでしょうか?

相田先生

2024年4月には、中学1年生を対象に日産の方に来ていただきました。そこではレゴのブロックを使ってグループごとに車を作るという課題が出たのですが、「できるだけ少ない回数で作ること」という制限が課されたのです。量産するためには少ない工程で効率よく作る必要があるので、それをレゴでシミュレーションしながら教わったのですね。

2023年に私が担当したときは、セガの方に来ていただきました。本校では1人1台パソコンを持っているので、それを使って「ぷよぷよ」を動かせるようにプログラミングを教わったんです。

いずれも学校の授業では体験できないことであり、生徒たちの将来の仕事探しにもつながる有意義なワークショップだったと思います。

実践を重んじる青山学院横浜英和中学高等学校の理数教育

青山学院横浜英和中学高等学校の理科の授業

▲中学の理科の授業では、およそ3回に2回は実験をおこなっている。体験を軸にした学びが同校の特徴

編集部

青山学院横浜英和中学高等学校の「理数教育」に関する取り組みについてお聞かせいただけますか?

相田先生

青山学院大学は文系に強いというイメージを皆さんお持ちだと思いますし、実際に本校生徒の7割ぐらいは文系です。割合としては理系が少ないのですが、理数教育の環境は整っています。

まず理科の実験室は、生物が2つ、科学と物理が1つずつで合計4つあります。中学理科では、講義よりも実験を重視しており、3コマのうち2コマは実験をする授業になっています。例えば実験の結果はChromebookでまとめて授業で班ごとに共有したり、班ごとの結果を出して全体で見たり、スライドを作って発表したりと活用しています。

青山学院横浜英和中学高等学校の理科の授業

▲Chromebookを使って実験の様子を動画で撮影する

青山学院横浜英和中学高等学校の理科の授業

▲録画と再生を繰り返しながら、データを検証していく

相田先生

また、特徴的なのは探究活動「探Question」です。中学生は12月までに教科書を終えて、1月から3月までの10~15回ぐらいを使って行います。グループで疑問に思ったことを調べて、それをスライドにまとめて発表する活動です。実験をしている様子をChromebookで撮影して、発表の資料に盛り込むといったこともしています。

編集部

例えばどんなテーマがあるのですか?

相田先生

例えば、一番効果がある日焼け止めはどれかということで、市販の日焼け止め5種類ほどをテストしたり、バナナはどういう条件で色が変わるのかを条件を変えて実験したり、使い捨てカイロの中身を他の材料で作れないかと検証したりというものがあります。自分たちの身近にある出来事から、疑問に感じたことを調べたりまとめたりしていますね。

青山学院横浜英和中学高等学校の理科の授業

▲実験や「探Question」の活動を通して、理系分野に興味を深めていく生徒も多い

青山学院横浜英和中学高等学校の進学実績と入試制度

青山学院横浜英和中学高等学校の相田先生

編集部

御校は青山学院大学の系属校ということで、やはり青山学院大学に進まれる生徒さんは多くいらっしゃいますか?

相田先生

今年は239名の卒業生がいましたが、73.2%にあたる175名が系属校推薦資格を取得しました。実際に進学した人数は一般受験生3名を含む141名です。推薦資格取得の条件としては、高校3年間の学業成績と学力試験、その他人物評価などです。基準をクリアすれば推薦資格を得られるという仕組みです。

編集部

系属校である御校では、青学の講座受講やプログラムを体験する機会はありますか?

相田先生

学問入門講座というプログラムがあり、希望学部の講座がオンラインで視聴できます。その他に、国際政治経済学部や理工学部の教授による出張授業や、地球社会共生学部、総合文化政策学部の学生によるワークショップなどがあります。

■進学実績(青山学院横浜英和中学高等学校公式サイト)

https://www.yokohama-eiwa.ac.jp/chukou/course/passing.html

2025年度から入試制度を変更。新しい英語のクラスも新設

編集部

2025年度より入試が変わるとお聞きしましたが、具体的にはどういった変更点があるのでしょうか?(取材は2024年5月に実施)

相田先生

大きな変更点が2点あります。1点目は入試の開催日程について、一般入試はこれまでは2月1日から3日までの3日間で行っていたのですが、2日の入試を廃止しました。できるだけ第一志望の受験生が受けやすいようにという思いから、2月1日は定員70名、2月3日は定員40名と、各日とも10名ずつ増やしました。

また、帰国生への門戸を広げようということで、12月3日に帰国生入試の1回目を新設します。定員は10名です。英語が得意な帰国生の方に受けていただきたいと考えており、ここでは英語の試験も行います。

2点目の変更点は、英語のクラス分けです。現在、英語の授業は2段階でクラスを分けているのですが、2025年度からすべて英語で授業をするクラスを新設します。このクラスは、条件を満たせば帰国生の方に限らず入れます。

入試の変更点についての詳細はホームページに掲載していますので、ぜひご確認ください

■2025年度入試の変更点について(青山学院横浜英和中学高等学校公式サイト)

https://www.yokohama-eiwa.ac.jp/chukou/news/detail/detail.php?id=4002

青山学院横浜英和中学高等学校からのメッセージ

青山学院横浜英和中学高等学校のスチューデントセンター・オリーブ

▲2022年に完成した「スチューデントセンター・オリーブ」。ホールや部室など、生徒の自主活動のためのエリアとなっている

編集部

最後に、青山学院横浜英和中学高等学校に興味を持たれたお子さんや保護者の方にメッセージをお願いします。

相田先生

本校は、これまでご紹介してきたようにさまざまな学びの機会や教育プログラムを整えています。海外に興味がある方や理系の道に進みたい方、また現時点ではいろんな分野に関心がある方など、すべての生徒が目標を見つけ、実現するための能力を伸ばしていける学校だと自負しています。

また、これもぜひお伝えしたいのですが、栄養バランスのとれたおいしい給食も自慢です。横浜英和は幼稚園から高校まであるので、約1,600人が毎日同じものを食べるんですよ。今週はインドのナンが出ていますが、多国籍メニューも定期的に食べられます。生徒からの評判もすごくいいですね。

青山学院横浜英和中学高等学校は、豊かな自然に囲まれた横浜の丘の上に位置し、「横浜みなとみらい21」を見渡せるとても環境に恵まれた場所にあります。この場所で、6年間かけて自分がやってみたいことに挑戦しませんか?興味をお持ちの方は、ぜひ説明会やオープンスクールにお越しください。

編集部

本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

青山学院横浜英和中学高等学校の給食

▲生徒も教職員も同じメニューを食べる横浜英和の給食。季節や行事ごとの特別なレシピも!

青山学院横浜英和中学高等学校の卒業生・保護者の口コミ

青山学院横浜英和中学高等学校の学校生活

青山学院横浜英和中学高等学校の卒業生や保護者の口コミから、いくつか抜粋しました。

(卒業生)生徒の学力や意欲に合わせた進路指導を行ってくれます。明るく伸び伸びとした雰囲気でクラブ活動は楽しかったし、仲の良い友だちにも出会えたし、有意義な学生生活を過ごすことができたと思います。

(卒業生)いつでもネイティブの先生と話ができるグローバルな学校です。帰国生もクラスに数人います。自習室や図書館は休日でも使えます。クラブはたくさんあり、ほとんどの人がどこかの部活に入っています。

(保護者)学習内容も設備も充実していると思います。熱心な先生が多くいますし、授業以外に補修や補講、セミナーなどを行っており、手厚いサポートがあります。校風は、穏やかで真面目な生徒さんが多いように見受けられました。

(保護者)普通に勉強していれば青学に推薦で進学できるのでお得感があります。勉強やクラブ活動で楽しく青春を謳歌していたように見えました。キリスト教の学校なので、優しい気持ちや思いやりが身についたように思います。

青山学院横浜英和中学高等学校の行事風景

▲シオン祭(文化祭)や体育祭など行事も盛りだくさん。青春のエネルギーをいろんな機会で爆発させている

青山学院横浜英和中学高等学校へのお問い合わせ

青山学院横浜英和中学高等学校の校舎

運営 青山学院横浜英和中学高等学校
住所 神奈川県横浜市南区蒔田町124
電話番号 045-731-2861〜2
問い合わせ先 https://www.yokohama-eiwa.ac.jp/chukou/contact/
公式ページ https://www.yokohama-eiwa.ac.jp/chukou/

※詳しくは公式ページでご確認ください