ぽてん読者の皆さまに、今注目の学校を紹介するこの企画。今回は神奈川県横浜市の私立中高一貫共学校「日本大学高等学校・中学校」を紹介します。
日本大学高等学校・中学校は1930年に日本大学の付属校として開校した、90年超の歴史を持つ伝統校です。日本大学の付属校の中でも学力はトップレベルで、日本大学だけでなく多くの難関大学への合格者を輩出しています。
また、日本大学での「学部訪問」をはじめ、さまざまな施設での体験学習を通じて、生徒が楽しみながら興味を広げていける環境があるのも特徴です。
今回は広報部主任の藤原くみ子先生に、同校の教育理念や体験学習、理数教育の特徴、多様な進路を叶える学習サポートについてお話を伺いました。
この記事の目次
「情熱と真心」で高みを目指す日本大学高等学校・中学校
▲インタビューにご対応いただいた広報部主任の藤原先生
まずは御校の教育方針を教えていただけますか?
本校は創設当時から「情熱と真心」の校訓を大切にしてきました。この「情熱と真心」には「物事に情熱を燃やして取り組み、人とのふれあいに真心を尽くす」という意味が込められています。
本校は教員を目指す卒業生も多く、卒業生の本校教員は口を揃えて学生時代からこの「情熱と真心」を大切にしていたと話しています。教員自身も情熱を持って生徒に接し、厳しいことも楽しいことも学校生活の中で一緒に体験していこうという思いを持って教育活動を推進しています。
この思いを具現化するために掲げているのが、「Aiming high!」という教育スローガンです。「Aiming high!」には「目標を持って、常に高みを目指そう」という意味があります。大人になっても活かせる力を身につけ、しっかりと自分の人生を自分自身で切り拓いていく人材を育成するのが本校の目標です。
相撲観戦、座禅体験など生徒のやる気と興味を引き出す体験学習
▲中学生が大相撲を観戦する様子
御校の教育活動の特徴について伺います。特に中学校で体験学習に力を入れているそうですが、どのような教育プログラムなのでしょうか。
中学校では各学年にテーマを設けて、さまざまな体験学習を展開しています。例えば「サイエンス」なら国立科学博物館やパナソニックセンター、「日本文化」なら浅草や鎌倉、歌舞伎・能の鑑賞、相撲観戦など、それぞれのテーマに沿った学びが得られる場所に足を運んで体験学習を行います。
実際の体験学習の一連の流れを教えていただけますか?
例えば鎌倉の場合は、生徒各自で鎌倉について興味のあることを調べてクラスで発表するという事前の調べ学習を行いました。その後、実際に現地に足を運んで、班行動で鎌倉の街を見てまわったり、全員で座禅プログラムをしたりといろいろな体験をしました。
▲鎌倉の体験学習での座禅の様子
そして、事前学習、現地での体験を踏まえた上で、改めて自分なりに気づいた点、興味を持った点について資料にまとめてプレゼンテーションを行う、というのが本校の体験学習の一連の流れです。
プレゼンテーションはクラス内で行う場合も、保護者の方も招いて大きな規模で行う場合もあります。調べたことをまとめるだけでなく、自分の意見を相手に伝える力を中学生のうちから磨いていくことも目的の1つです。
▲体験学習では、グループやペアなどさまざまな形でプレゼンを行う
クラスの皆でいろいろな場所に体験に行くことで、授業とはまた違う楽しい学びの機会となりそうですね。
その通りです。体験学習では基本的に生徒に自由に見てもらっているため、友達と楽しく過ごす機会になっています。
学習だからこそ、楽しみながらいろいろなものに触れて、そこから自ら学ぼうとする意欲や将来につながるような興味を引き出せたら、というのがこの体験学習の狙いです。
実際、本当にいろいろな観点での学びが生まれています。例えば鎌倉では街中の自動販売機の数に着目した生徒もいました。生徒の感性を活かした柔軟な学びが生まれる点も、本校の体験学習ならではの魅力だと思います。
また、体験学習にはキャリア教育の要素も組みこんでいます。一例として、ディズニーアカデミーのおもてなしを学ぶプログラムも実施しました。キャストの方たちのおもてなしを学び、その後にディズニーシーに行って実際のおもてなしを体験するという内容になっています。
ディズニーがテーマのキャリア教育であれば、中学生も興味が持ちやすそうですね。
繰り返し取り組むプレゼンで、口下手だった生徒も話し上手に
こうした体験学習は、年間どのくらい行っているのでしょうか。
短いスパンでテンポよく行っていて、多いときは年間で3~5周のプログラムを行っています。早いサイクルでたくさん経験できるのが本校の体験学習の最大の特徴です。
御校の体験学習を通じて生徒さんの成長はどのように感じますか?
本校の中学から育っていった子どもたちは、人前で話すことがとても上手です。それが、顕著に感じられるのが、高校3年生の大学入試のタイミングだと思います。
今は大学入試でプレゼンテーション、ディベートなどを求められる場合もあり、その際に本校の生徒たちの対話力が活きています。「人前で話すのも資料をつくるのも、数多くプレゼンテーションを経験してきているから苦にならない」と、卒業生からもよく聞きます。
実際にプレゼンを使った入試で合格した生徒からは、「周りの受験者の発表を聞いている段階で合格を確信した」という話も聞きました。
プレゼンテーションは、体験学習だけでなく各教科の授業や夏休みの宿題の成果発表などにも取り入れているため、本当に数多くの経験を積むことができます。自分自身も発表はもちろん、人の発表を聞く機会も多くなるため、話し方や伝え方の技術が自然と身についていると感じます。人前で話すことが苦手だった生徒も、着実に成長していますよ。
生徒が入試問題を作成!?実験やアウトプット重視の理数系教育
▲中学1年の1月には、1泊2日で「つくばサイエンス研修」も実施
続いて理数教育について伺います。御校の理数教育はどういった特徴がありますか?
先ほどもお話した通り、(2023年度)中学1年生の体験学習では「サイエンス」のテーマを設けています。早い段階から理科や科学への興味を喚起する取り組みを行っていることで、理系進学を希望する生徒も増えていますね。
また、理科の授業では実験も行いながら授業を展開していますが、様々な入試形態で入学した生徒がいるため、専門的な実験をどんどん進めていくというよりは、実験を通じて理科の面白さを知ってもらうことに重点を置いているのが特徴です。
数学でも特徴的な取り組みは何かあるのでしょうか?
数学では中学3年間の学びの集大成として、生徒たちが入試問題作成に挑戦します。実際に入試で出題するわけではありませんが、どのような問題なら面白いかを生徒が考え、配点や解法も決めます。
体験学習でもプレゼンテーションを行っているように、理数教育でも受け身で学ぶだけでなく必ずアウトプットする機会をつくるというのは工夫をしている点です。
▲生徒が入試問題を作成(スクロールで写真がご覧いただけます→)
ロボットプログラミングに歯の治療体験。日大の理系学部で専門的な学びを先どり
日本大学と連携した理数系教育のプログラムもあるとのことですが、どのようなものなのでしょうか。
付属校の強みを活かし、日本大学の理系学部と連携した体験プログラムを実施しています。中学校で行っている「学部訪問」では生物資源科学部や理工学部、生産工学部といった理系学部も訪れ、専門的な施設や研究分野を実際に体験しています。
理系学部では、具体的にどのような体験をするのでしょうか。
生徒に人気なのはロボットのプログラミング体験です。理工学部で、2、3人のチームをつくり自分たちでロボットを組み立ててパソコンを使って動かすという体験ができます。生徒たちも楽しみながら参加しているようです。
また、生物資源科学部では実験を行い、生産工学部ではドローンを飛ばす体験を行うなど、さまざまな学部があるからこそ幅広い学びを体験できるのが魅力です。本校の生徒は受け身ではなく積極的に質問する子が多いため、日本大学の学生には驚かれています(笑)。
日大の全16学部86学科と連携した「学部訪問」で視野が広がる
▲総合大学の日本大学だからこそ、さまざまな体験ができる(スクロールで写真がご覧いただけます→)
今お話にあった日本大学との連携の取り組みは、理系学部だけに限った話ではないようですね。
はい。学部訪問は、文系学部も含め日本大学の全16学部86学科と連携して実施しています。学部によっては人数制限が設けられている場合もありますが、中学校の3年間で可能な限り多くの学部を回ります。
文系学部でいうと例えば国際関係学部では、留学生と交流をしたりしていますね。
学部訪問では、どんな学びを得られているのですか?
ある卒業生は「自分の興味のあった分野だけでなく、いろいろな体験ができたのがとても面白かった」と言っていました。学びの視野を広げる良い経験となっているようです。
内部進学だけではない!多様な進路希望を叶える「ハイブリッド進学」
中学校のときの学部訪問で興味を持ち、そのままその学部を志す生徒さんも多いのでしょうか。
もちろんそういう生徒もいます。ただし、近年では他の大学への進学を希望して入学する生徒も非常に増えています。
本校では6年後の進学先を日本大学だけでなく、他の大学も含めて幅広い進路選択が可能な「ハイブリッド進学」を掲げ生徒たちをサポートしています。2023年度には高校の卒業生の半分弱が他大学に進学しており、実際に結果に結びついてきています。
進学希望に応じたコース分けはどのようにしているのですか?
高校から本格的にコースが分かれるのですが、実は中学3年生からプレコースがスタートするため、実際は中学2年生で自身の将来を考えてコースを選択しはじめます。
具体的には、国公立大学などを目指す「特別進学コース」、日本大学や難関私立大学を目指す「総合進学コース」、英語を活かして海外大学などを目指す「スーパーグローバルクラス」に分かれます。それぞれのコースで、別の学校といってもいいくらい雰囲気やカラーが異なっていますね。
進路選択をサポートする上で大切にしていることは何ですか?
どのような進路を選ぶにしても基礎学力は大切になるため、中学校の段階で基礎学力を定着させることは非常に重要視しています。主要教科はどの科目もとても丁寧に指導していて、日々確認テストや宿題、課題に繰り返し取り組んでもらい、学力の定着を図っています。
このように学習面はかなり徹底した指導をしているため、生徒からは「ちょっときつい」という声が出ることもあります(笑)。だからこそ、体験学習など楽しさを意識した取り組みも多いんです。
クラスで楽しい思い出をたくさんつくって息抜きをしつつ、教科の学習はしっかりと繰り返し行う。そのメリハリが本校の特徴といえるかもしれません。
日本大学高等学校・中学校からのメッセージ
▲生徒同士のつながりを生む行事の1つ、林間学校の様子
最後に、日本大学高等学校・中学校の興味を持ったお子様、保護者の方に向けてメッセージをお願いします。
日本大学高等学校・中学校は楽しい学校です!生徒も教員も、日々を楽しみながらのびのびと学校生活を送っています。中学1年生で行く林間学校など共同作業を行うことも多く、学年全体で仲良くなるのも特徴です。大人になってもつながりが続くような友人関係をつくっていただけるのではないかと思います。
その一方で、将来の目標に向けて希望する大学に進学できるよう、学習面でのサポートを手厚く行っています。
楽しく6年間を過ごしながら、将来に向けて可能性を広げていける環境が日本大学高等学校・中学校にはあります。大人になっても活きる力を、一緒に楽しみながら磨いていけると嬉しいです。
多彩な体験学習や日大付属校としての大学とのつながりの強さ、柔軟な進路指導など御校の特長がよく理解できました。藤原先生、本日はありがとうございました!
日本大学高等学校・中学校の進学実績
日本大学高等学校の2023年度の進学実績をみると、現役進学率は94.9%と非常に高く、その中で日本大学以外の国公立・難関私立大学等に進学した割合は42.4%となっています。私立では最難関である早慶ICU上理(早稲田大学・慶應義塾大学・国際基督教大学・上智大学・東京理科大学)に40名の合格者を輩出しています。
また日本大学の進学をみると様々な学部への進学者がおり、生徒それぞれの希望に応じた多様な進路が実現していることがうかがえます。理工学部、生物資源科学部を筆頭に、医学部や歯学部、薬学部など理系学部への進学も多く生まれています。
さらに2021、2022年度の2年間には、東京工業大学に計6名の合格者を出すなど、国公立の理系大学への進学実績も挙げています。
■日本大学高等学校・中学校の進学実績(公式サイト)
https://www.yokohama.hs.nihon-u.ac.jp/senior/course/results/
日本大学高等学校・中学校の生徒・保護者の口コミ
ここでは、生徒や保護者から寄せられた日本大学高等学校・中学校の口コミを一部抜粋して紹介します。
学習面ではかなりしっかりと指導をされるという声が多く聞かれました。その分学力の向上や進路など、結果に結びついているようです。また授業だけでは経験できないさまざまな貴重な体験ができる点に魅力を感じる人が多いことも伺えました。
日本大学高等学校・中学校へのお問い合わせ
運営 | 学校法人日本大学 |
---|---|
住所 | 神奈川県横浜市港北区箕輪町2-9-1 |
電話番号 | 045-560-2600(代表) |
問い合わせ先 | 中学校:https://www.yokohama.hs.nihon-u.ac.jp/junior/inquiry/ 高等学校:https://www.yokohama.hs.nihon-u.ac.jp/senior/inquiry/ |
公式ページ | https://www.yokohama.hs.nihon-u.ac.jp/ |
※詳しくは公式ページでご確認ください